廃業の憂き目も戦後に復活
創業は元禄2年(1689年)と古いです。もちろん歴史あれば苦難もあり、日本が戦争に突入していた、昭和18年(1943年)に一度は企業整理で廃業の憂き目に遭いました。しかし、戦後の昭和23年、先代の佐藤光男氏らが蔵を買い取り300石から復活、昭和56年にはNHK朝の連続ドラマ「まんさくの花」が秋田県横手市を舞台に放送されたことを機会に、同蔵の代表酒ともなった吟醸酒「まんさくの花」を発売し、現在でも人気を博しています。
4年連続金賞受賞
生産石高1400石の小規模蔵ですが、搾ったお酒はすべて瓶詰めしてから火入れを行い貯蔵し、吟醸酒以上にはすべて瓶貯蔵を行っています。近年はシングルモルトにヒントを得て、タンクごとに酒米や酵母など造りを変え、一切ブレンドせず、季節限定品として発売しています。平成26酒造年度の全国新酒鑑評会では4年連続の金賞に輝きました。
雪国の酒蔵らしく、お酒の雪室貯蔵も行っています。冷蔵庫などがなかった昭和30年代まで鮮魚店などが行っていた冷蔵方法で、平成12年(2000年)に復活させました。搬入したお酒に約60tの雪をかけて埋立て、断熱材としてオガクズを巻き、最後に藁葺屋根をかけます。3月に新酒を搬入し7月初旬に雪室純米として世に送り出します。
芳醇ながら優しさ感じる味わい
真人(まなびと)は「まんさくの花」「日の丸」とともに蔵を代表するブランド。「できるだけ自然」をコンセプトに真人山山麓で減農薬有機栽培を行っている農家が生産した美山錦を精米歩合55%まで磨いて生酛造りで醸されています。その味わいはやはり、代表ブランドの「まんさくの花」と違い、しっかりした酸と、芳醇なボディと複雑味が特徴です。しかし、そこにも、同蔵の特徴である、やさしさやまろやかさも感じられます。常温からお燗で映える食中酒と言えそうです。
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