自然仕込に拘る老舗蔵
滋賀の鈴鹿山脈から流れる愛知川の伏流水を仕込み水として使用。地元竜王町の酒米での酒造りにこだわる、吟醸酒として名を馳せる酒蔵です。名杜氏の瀬戸清三郎氏が引退して、2010年度から石川敬三氏が当時31歳の若さで後継の杜氏として就任。
それから少しずつ進化を続けています。米作りにも取り組んでいて、酒米の70%を地元竜王町産を使用、その一部は栽培期間中無農薬無肥料栽培で自然と共生を図る生産を行っています。
今回ご紹介の生酛は、石川杜氏になってから山廃造りをすべて酵母無添加(蔵付酵母)の生酛に変更したことによって誕生したお酒で、歴史は浅く、また生原酒は季節限定となります。
山廃と生酛の違いは?
山廃と生酛は2つ合わせて「生酛系」などと呼ばれることが多いです。生酛は酒母を作る段階で自然の乳酸を呼び込み雑菌の混入防止と発酵をうながします。両者の違いは、半切桶で蒸米と麹と水を櫂で摺り合わせる「山卸し」と呼ばれる作業の有無です。その作業を省略したのが「山卸廃止酛」、通称で山廃と呼ばれています。
生酛由来の心地よい酸味、生でも燗もおススメ
100%地元竜王町の酒造好適米を使用。筆者はこの生酒は飲んだことがなかったので、酒蔵に問い合わせたところ、「心地よい酸味、どっしりとした旨み、優しい甘味」との回答が得られました。飲み方は冷やから常温を中心に、お好みで燗にしても楽しめるとのこと。食事にも幅広く合わせられ、魚、肉料理、何でも引き立てるオールマイティー酒と言えるでしょう。
酒蔵さんからは「近江牛のしぐれ煮、鯉の甘煮、鮒ずし(滋賀の郷土料理)」に合わせてみてほしいとお答えいただきました。
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