初めまして、スペイン マドリード在住で利き酒師、スペインワインソムリエの大倉です。
私はスペインの方に日本酒がどのように受け入れられているのか、現地からスペイン人の声を直接お伝えし、少しでも多くの方に日本酒のかっこよさをお伝えできればと思っています。
今回はスペインで和創作料理の先駆者リカルド サンス氏にインタビューしました。始めに彼の経歴を短く紹介をさせいただきます。
彼は2000年にマドリードでレストランkabukiをオープン。当時スペインで和食レストランのオーナー兼料
理長がスペイン人というのは、おそらくはじめてだったと思います。私の知る限りでは日本人か中国人が和食を提供していました。2002年、通過がユーロに換わる頃に、彼はスペイン人によるスペイン人の為の和食ということで、和地中海創作料理に挑戦し、大ヒットしました。今ではスペイン全国でレストランkabukiは4軒、kabuki系列店が4軒、全部で8軒あり、2007年にスペインで和食レストラン初のミシュラン星を1つ獲得し、2015年現在では4軒のうち3軒がミシュラン星1つを取得しています。
また、2009年にロンドンで開かれた世界の寿司職人が競う、7人の寿司サムライの一人に選ばれるという経歴を持ち、2013年には日本のテレビ朝日の正月番組『世界への挑戦状!!行け!ジャパンプライド』で銀座 久兵衛の寿司職人、今田洋輔氏、二川敏勝氏と対決するということもありました。
そんなリカルドさんに今回日本酒についてインタビューさせてもらえる機会をいただきました。前編はリカルドさんの日本での日本酒体験をお伝えしたいと思います。
日本で初めて日本酒を飲んだ際の印象
日本に訪問すると決まった時点で食事の時は日本酒を飲む事は想像していたよ。しかし1番最初に驚かされたのは日本のビールの種類の多さかな。僕は食前にはとりあえずビール派なので色々試したが、どれもちゃんと個性があり楽しめた。食前のビール以外は全てお店の人のオマカセ。そしたら当然日本酒になったね。今では数種類の日本酒のメーカーは覚えたが、当時(2000年)は日本酒の好みの味が持てるほどの経験が無いような状態だったから、食事と日本酒のマリアージュ(料理と飲み物のマッチング)は店まかせ。残念なことに飲んだ日本酒のメーカーは全く覚えてないよ。テクノロジー大国日本に訪問してもテクノロジーは苦手で写真を撮るような事はしなかったし、あの頃の携帯は大きかったし、カメラ機能自体ついていなかったんじゃないかな。でもサービスされた全ての日本酒は各料理を引き立てる役目をしていたね。日本酒が主役になるのではなく、日本酒を飲むことにより料理の味の奥深さを引き出すみたいな感じかな。もちろん生魚の生臭さや癖のある味などの部分を消してくれるような作用をする日本酒もあったね。
長野県の宮坂醸造 真澄訪問の体験談
2013年の11月に長野県の宮坂醸造に見学に行く機会があり、初めて酒蔵訪問をしたよ。他の蔵は知らないので何とも言えないが、酒蔵はスペインにあるワイン醸造所とは違い蔵そのものが美術館であり活動している芸術館だね。比べてはいけないのかもしれないが、スペインのワイン醸造所は近代的で研究所みたいに造られている所が多いようだが、酒蔵は昔ながらの道具や醸造法を使っていたりして、見たり聞いたりしているだけで何世紀も昔にタイムスリップしたみたいに感じる事ができたよ。ぜひ、日本の皆様にも酒蔵訪問を勧めるね、特に日本の皆様だからこそね。日本酒は飲む場、人を和み、飲むだけでも楽しいが、今まで飲んできた日本酒、これから飲む日本酒の造っている現場に行き、自分の目でどのように造られているか知る事によりまた違った角度から日本酒を楽しめると思うよ。
今回(前編)はリカルドさんの日本での日本酒体験をお伝えさせて頂きました。後編ではリカルドさんのスペインでの日本酒活動についてお伝えしたいと思います。
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