こんにちは、SAKETIMES編集部、最年少酒匠の山口奈緒子です!
2014年のIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)のSAKE部門で、最優秀のSAKEに贈られるチャンピオン・サケ受賞酒が7月17日(日本時間)に発表されました。今年のチャンピオン・サケは、岐阜県の平田酒造場が出品した「飛騨の華 酔翁(すいおう)」というSAKEが選ばれました。
※IWCについてはこちらの記事をご覧ください。
今回は、そのチャンピオン・サケについてのご紹介をしようと思います!
1. チャンピオン・サケとは?
IWCのSAKE部門におけるチャンピオン・サケとは「最優秀」にあたるお酒です。
IWCのSAKE部門は、お酒のカテゴリーごとに6つの審査に分かれています。
・純米の部
・純米吟醸・純米大吟醸の部
・本醸造の部
・吟醸酒・大吟醸の部
・古酒の部
・スパークリングの部
・オーディナリー(普通酒)の部
この各審査の中で特に優秀なものには「トロフィー」が贈られます。トロフィー受賞酒については5月14日に発表されていました。このトロフィー受賞酒の中から最優秀賞である「チャンピオン・サケ」が選ばれるようになっていて、その発表が7月17日にあったのです。
2. 今年のチャンピオン・サケは「酔翁(すいおう)」
IWC2014のチャンピオン・サケには、平田酒造場が出品した「飛騨の華 酔翁」というお酒が選ばれました。古酒の部からの選出です。
平田酒造場は明治28年に酒造業をはじめ、「酒は製造というより育てるもの」とのコンセプトのもと、手造りにこだわりをもっている酒蔵です。「品質第一」をモットーに岐阜県の飛騨という寒冷な地で造られるお酒は、格調高い味・コク・香りすべての面において飲み手を魅了し続けています。
今年のIWC・SAKE部門の出品数は261蔵・全725銘柄で、酔翁はその中から最優秀として選ばれました。杜氏(とうじ)が長年の勘で温度を調節をしながら19年間熟成させており、コハク色でやや甘口の味わいです。
19年の多大な労力を考えると、容易なものではありませんね。
3. チャンピオン・サケにも選ばれた「日本酒の古酒」の歴史
世間では「日本酒の古酒」はまだ認知度が低いように思います。
ワインではヴィンテージという概念があり「何十年もののワイン」などを聞いたり目にしてもあまり驚かないとは思いますが、日本酒はワインのように長く熟成させるイメージが一般的ではありません。また、無ろ過生原酒の流行もあり、より一層「早飲みのお酒」という印象を強めていると思います。
しかし、江戸時代までは「古酒ほど貴重」でした。
当時の文献にも、長く寝かせた酒ほど貴重とされ、熟成年数に応じて値段も高く取引されていたことが記されているのです。
ではなぜ古酒が姿を消してしまったのでしょう?
これは、明治時代の酒税が大きく影響しているのです。
明治政府が課した「造石税(ぞうこくぜい)」と言われる酒税は日清・日露戦争の戦費をまかなうための1つの資金調達源とされていました。造石税の対象者である酒蔵は、過酷を強いられました。お酒を造るだけで課税される仕組みになり、熟成を経た美味しい古酒を販売する余裕がなくなってしまったのです。また、当時の酒飲みの多くは「酔う」ことが目的で、味よりも量が必要でした。よって、割高である長期熟成酒は自然と姿を消していきました。
こんな歴史的背景があり、日本酒から古酒の概念が遠ざかってしまったのですね。
4. これからは古酒の時代!?
日本酒の古酒のイメージが一般的ではないという一方で、一部の日本酒好きからは注目されているのも事実です。
飲食店でも古酒を取り扱うところが増えており、品川にある日本酒の古酒専門のバーも人気を集めています。
そしてIWCの認知度がさらに広まってきている中、今回のIWCで「19年寝かした古酒」がチャンピオン・サケに選ばれたということもあり、これからさらに「古酒」が盛り上がってくるのではないかと考えています。
みなさんも日本酒を飲みにいったときに古酒があれば、ぜひ召し上がってみてください!きっと古酒独特な官能的な味わいに酔いしれてしまうことでしょう。(ちなみに私は古酒が大好きです!)
以上です!
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