2024年12月、日本酒を含めた「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。この登録をきっかけに、世界中で日本酒に対する関心が高まっていくことが期待されています。
そんな日本酒の海外展開について、2024年(1〜12月)の輸出実績が発表されました。2025年1月30日(木)に発表された財務省「貿易統計」のデータをもとにSAKETIMESが集計した、2024年の日本酒の輸出実績をお伝えします。
輸出金額・数量ともに前年比106%と増加!
2024年の輸出金額は434億円で前年比106%、輸出数量も3.1万klで前年比106%となり、金額・数量ともに昨年を上回る結果となりました。
2023年は、コロナ禍の反動で大きく伸長した2022年に対して前年割れし、日本酒の輸出金額の伸長は13年連続でストップしていましたが、2024年は回復しています。
輸出単価は2023年まで14年連続で伸長していましたが、2024年は前年割れという結果となりました。輸出単価の伸長を牽引してきた香港の下降が回復しなかったことが理由です。
過去最高のアメリカ、停滞する中国と香港、成長が著しい韓国
2024年の輸出金額を国別・地域別にみると、上位5カ国で全体の約80%を占めています。そのうち、アメリカを除く4カ国はアジアです。
輸出単価が停滞している背景には、輸出金額が第3位で輸出市場のシェアが11.8%という香港の下降があります。
香港は2010年から輸出単価が右肩上がりで、他の国と大きく差をつけて一時は単価2,870円まで伸長しましたが、2024年は単価2,539円と少し下降しました。
香港国内で起きた大規模な抗議デモに対する取り締まりの強化を受けて富裕層が国外流出したことによる国内経済の悪化や、コロナ禍以降に訪日が可能になったことと円安の影響で、日本食や日本酒を香港国内ではなく日本を訪れて楽しもうとする傾向があることなどが背景にあるようです。
2024年の金額・数量の伸長を牽引しているのが、輸出金額・輸出数量ともに第1位で、全体の約25%を占めるアメリカです。前年比で、輸出金額は128%、輸出数量は123%と、ともに昨年を超えて好調です。
アジアの4カ国の動向を見ると、日本酒の輸出市場を大きく牽引してきた中国と香港は下降が続き、コロナ禍の影響が少なく11年連続で輸出金額が伸長してきた台湾も昨年から微減。
しかしその一方で、韓国は近年に至っても高い成長率が続いていることがわかります。
世界中で高まる日本酒への関心
輸出金額の上位5カ国以外に目を向けてみると、世界中で日本酒への関心が高まっていることがわかります。地域別に見ると、アジアと北米ほどの規模には至らないものの、近年は西欧が飛躍的に伸長してきています。
日本酒の輸出先国数は右肩上がりに増加し、2024年の実績では80カ国。2005年からの累計では、109カ国に輸出しています。
SAKETIMESでも日本酒の海外進出に関するさまざまな動向を紹介していますが、これからさらに期待が高まる高価格の日本酒や、現地醸造を中心としたローカライズ、和食だけではない世界各国の料理とのペアリングなど、多種多様な取り組みがあります。
今後、日本酒がどのように世界に広まっていくのか、さらに期待が高まります。
(文:SAKETIMES編集部)