こんにちは、SAKETIMESライターの山口直樹です。
普段は北陸・新潟の日本酒と食材に拘りぬいたお店「方舟」にて飲食店の現場に立っています。
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銀座に位置する日本酒専門店の支配人を務めており、以前には高級フランス料理店、一流店でのバーテンダーも経験。また、「日本酒学講師」「酒匠(さかしょう)」の他に「調理師免許」「ワインソムリエ」などの資格を保持し、料理知識も含め、飲食のプロフェッショナルとして活躍中。
今回は、ワインソムリエが考える日本酒の魅力についてご紹介しようと思います。
1. 世界最高峰の醸造技術。すごいぞオリゼー君!
日本酒を造る為の醸造技術は、世界に類を見ない高度な技術です。
その一つが、並行複発酵と呼ばれる世界的にはあまりみられない行程です。何が並行かというと主たるアルコール発酵(アルコールを生成する発酵)とそもそもアルコールを作る原料となる糖分を作る発酵をなんと同時に行っているのです。
アルコールを生成するには、まず原料となる糖分が必要となりますが、日本酒の原料である「米」には、元々は糖分が存在しません。
でも、皆さんもお米を食べていて口の中で咀嚼(そしゃく)していると「甘い」と感じる事が有ると思います。これは唾液に含まれるアミラーゼの作用により、米のデンプンが糖に変化する化学反応が口の中で起きているからなのです。
日本酒造りにおいて、その役割を果たすのは日本の国菌である「麹」です。
近年様々なところで注目を浴びる麹菌ですが、まだ顕微鏡も無い時代から脈々と受け継がれてきた日本酒文化の中で大切にされ続けてきました。
漫画「もやしもん」で有名になったオリゼー君、実は国菌と呼ばれるほど偉いのです。
2. 幅広い温度帯で楽しめる日本酒の無限の可能性
ソムリエの仕事の中にはワインの品質管理や、料理と相性の良いワインの選定など様々有りますが、実は一般の方があまり知らない重要な仕事が、ワインの提供温度管理です。
多くのワインが14度前後のセラーで保存されていますが、飲用に相応しい温度はボトルごとに異なり、オーダーが入ったお酒をどうやって最適温度に持って行って維持するかというのは、実はソムリエの腕の見せ所。
だいたい、5℃~18℃くらいの温度でボトルのコンディションとお客様の好み、料理との相性を考えて温度の設定を行います。
この仕事、実は古くから日本酒の世界にも有ったんです。日本酒の世界では「お燗番」と呼ばれ由緒ある料亭などでは重要な仕事となっています。
驚くべきはその温度範囲。日本酒の場合は最適飲用温度の幅が5℃~55℃前後とその幅がワインの比では有りません。しかも温度帯毎に名前が付いていてその文化が脈々と受け継がれています。
1本の日本酒×50℃の温度幅=無限の可能性。お燗番恐るべしです。
3. 日本食文化発!「UMAMI」の存在
和食が世界文化遺産に認定されました。その中で世界の料理人や美食家が注目しているのが「旨味」です。
旨味という概念は海外の食文化には基本的に根付いていなかったという事で日本発信の味わいなのです。海外でも訳す言葉が無い為、そのまま「UMAMI」と呼ばれています。今やフランスの三ツ星レストランのシェフやソムリエもこの旨味に注目し日本に勉強に来るほどです。
そして、日本酒はこの旨味こそが特徴である世界に類を見ない飲料です。この旨味の存在こそが豊かな日本食文化を形成し、和食と日本酒が相性の良い理由となっています。
「UMAMI」は世界から見ると、クールジャパンなのです。
以上です!
ワインソムリエが考える3つの日本酒の魅力、いかがでしたか?日本酒にはまだまだたくさんの魅力がありますが、以上にあげた3つは日本酒を語るときに欠かせないポイントです。
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