4月24日(日)に東京の飯田橋にて開催されたFBO(料飲専門家団体連合会)主催の「Style J.sake」に参加してきました。昨年までは「地酒祭り春の陣」として開催されてきましたが、今年から「Style J.sake」という形に変更し、従来よりも日本酒の味わいを参加者の方々に学んでいただく内容になりました。

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私は Good encounter ~好みの酒に出会う「酒仙人データーベース体験」~ のスタッフとして参加しました。このブースは日本酒の4タイプ分類(薫酒・爽酒・醇酒・熟酒)の違いを実際に試飲することで体験していただき、日本酒の基本的なタイプの違いを知っていただくことを目的としています。

日本酒ブームの光と影

現状、日本酒全体の消費量は増えていませんが、近年の和食ブームとの相乗効果で日本酒に対する関心が高まっていることをブースで接客する中で感じました。

アルコール飲料全体の消費量が減少しているので、今後日本酒の消費量だけが大きく増えることは考えにくいです。しかし、消費者の日本酒に対する関心が高くなっていることは、今後の発展において重要なことだと思います。他のブースとくらべても、参加者が日本酒に強い興味を持っている姿を目にすることができました。

一方少し残念だと感じたことは、私がいたブースは銘柄でお酒を選ぶのではなく、お酒のタイプごとの味わいの違いを知るためのものでしたが、相変わらず銘柄を見て試飲されている方が多かったことです。
FBO主催ということで、参加者は何らかの形で日本酒と関わっている方が多かったでしょう。市場で流行りの銘柄を知ることも大事ですが、"日本酒の味わいの基本”を知ったうえで流行りの日本酒の味わいを知ることとがより重要だと思います。

今、日本酒業界で求められるものとは

流行を生み出す要素は、大きく分けて2つあると考えられます

1. 大手メディア
2. 一般消費者の口コミ

私は販売側として焼酎ブームも経験していますが、ブームを客観的に見ていて感じたことがあります。

ブーム当初は大手のメディアが大手の焼酎専門店と組んで火をつけました。その中でいくつかの幻の銘柄が誕生し、その後、焼酎全体のブームへと繋がっていきました。そして、消費者の口コミにより流行りの焼酎が登場し、さらに健康面から、一般消費者まで焼酎ブームが広まっていきました。

一方、日本酒が注目されている現状を、私は決してブームとは思いません。

現状は、日本の食文化に対して消費者が関心を持ち、その中で日本酒にも注目が集まっているように感じます。そのため、今後さらに日本酒の味わいに関しての説明が消費者から求められていくのではないでしょうか。販売側の人間は今までのように単に流行りの日本酒の味だけを知っていれば何とかなることはなく、日本酒全体の味わいの基本がわかったうえで、流行りの日本酒の味わいを説明することができ、かつ、なぜこの日本酒が流行しているのかを理解して説明することが求められていくと考えます。

その背景にあるのが、日本全体で観光客を増やしていこうという動きと、日本酒だけではなく和食や日本の農産物・加工食品に対する関心を高めて、重要な産業へと成長させていこうという動きです。

日本酒に対する注目度が高まっている中で、今後日本酒の消費量を増やすためには、味わいだけでなく日本の歴史・文化といったもっと大きな視点から日本酒を理解していくことが求められるのではないでしょうか。

(文/石黒建大)

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