北陸新幹線の延伸で注目！福井県でおすすめの日本酒─黒龍酒造の直営店の新ブランド「ESHIKOTO」【SAKETIMES編集部注目の一本】

2024.07.09

日本酒レビュー

SAKETIMES編集部

2024年3月、北陸新幹線が敦賀駅まで延伸し、首都圏から福井県まで最短で3時間弱で行けるようになりました。今、旅行先のひとつとして、福井県が注目されています。

そこで、SAKETIMES編集部は、読者のみなさんに飲んでほしい福井県の日本酒をピックアップ。4週にわたって紹介します。

第4回は、福井県永平寺町にある黒龍酒造の直営店・石田屋のオリジナルブランド「ESHIKOTO」から、「ESHIKOTO AWA 2020 Extra Dry」「ESHIKOTO 永五百万石」です。

福井県に行かないと買えない限定商品！

「ESHIKOTO（えしこと）」は、「黒龍」や「九頭龍」を醸している黒龍酒造の直営店・石田屋のオリジナルブランド。

2022年6月、黒龍酒造がある福井県永平寺町に、同社の日本酒を中心とした北陸地方の食や文化の魅力を伝える「ESHIKOTO」という複合施設をオープンしたことでも話題になりました。

今回は、その「ESHIKOTO」でしか販売されていない限定商品「ESHIKOTO AWA 2020 Extra Dry」「ESHIKOTO 永五百万石」を試飲しました。

「ESHIKOTO AWA 2020 Extra Dry」は、瓶の中で発酵を進めることで炭酸ガスを発生させる「瓶内二次発酵」という製法で造られています。地下の貯蔵庫やセラーなどの低温環境で、最低でも15ヶ月もの間、じっくりと発酵してから出荷されています。

「ESHIKOTO 永五百万石」は、日本酒の伝統的な製法である「生酛造り（きもとづくり）」をベースにした新しい製法で造られています。原料の「五百万石」は福井県を代表する酒米のひとつで、すっきりとシャープな味わいになりやすい傾向があります。

「黒龍」のような「気品」を感じる一本

まずは「ESHIKOTO AWA 2020 Extra Dry」を飲んでみましょう。

グラスに注いだ時の香りは甘酸っぱい印象。梅のような上品な酸味とともに、ベリー系の果実を思わせるチャーミングな酸味も感じられます。スパークリングの泡とともに豊かな香りが立ち上がり、期待感を高めてくれます。

飲んでみると、スパークリングの泡がきめ細かく、シュワシュワとした炭酸が心地良い刺激をもたらしてくれます。

香りと同様に、甘酸っぱい印象を受けました。透明感のあるシンプルな味わいですが、穏やかな旨味も感じられ、米から造られた日本酒であることが、確かにはっきりとわかります。

後半に青々しくさわやかな苦味が感じられ、余韻は短くドライ。一般的な日本酒と比べてアルコール度数がやや低いため、軽快で飲みやすく、さらに上品な酸味とほど良い炭酸が食欲を刺激してくれるので、しっかりと冷やして食前酒として楽しみたい一本だと感じました。

続いて、「ESHIKOTO 永五百万石」も飲んでみましょう。

ジューシーな果実のような甘味のある香りです。洋梨やマンゴーなどの濃厚な果実のニュアンスを感じました。その一方で、百合などの白い花を思わせる、穏やかで上品な甘味もあります。

飲んでみると、甘味の印象は穏やか。「ESHIKOTO AWA 2020 Extra Dry」と同様に、香りや味わいを構成する要素はシンプルで洗練されています。アルコールの刺激が少し感じられ、ドライでキレの良い一本でした。

黒龍酒造が造る日本酒には、リーズナブルな定番商品から高級なプレミアム商品まで、シンプルでありながら気品のある堂々とした味わいを感じますが、この「ESHIKOTO 永五百万石」にも、同じようなイメージを抱きました、

良い意味で料理と合わせる必要のない洗練された一本ですが、上品でシンプルな味わいのため、淡白で繊細な味の料理と合わせるのが良いでしょう。白身魚の刺身やカルパッチョ、柑橘類などのフルーツを入れたサラダ、蒸し鶏などとの相性が良いかもしれません。

「ESHIKOTO」の外観（写真提供：石田屋二左衛門）

今回紹介した「ESHIKOTO AWA 2020 Extra Dry」「ESHIKOTO 永五百万石」は、どちらも福井県の新しい観光施設「ESHIKOTO」でしか販売されていませんが、地元の料理やおつまみと合わせれば、さらに格別な体験ができるでしょう。ぜひ、実際に現地を訪問して、特別な一本を味わってみてください。

（執筆・編集：SAKETIMES編集部）

◎商品概要