風薫る季節となりました。木々の緑は深まり、畑の野菜たちはぐんぐんと背を伸ばしています。

この時期に美味しい野菜は数多くありますが、その中のひとつが空豆。分厚いさやに守られて、厳しい冬を耐え抜いた豆には、たくさんの栄養と旨味がつまっています。

旬の空豆を天ぷらに

<材料>2~3人分

  • 空豆1パック(6~8さやくらい)
  • 塩少々
  • 水 30mlほど
  • 酒 90mlほど
  • 氷 ひとつかみ
  • 天ぷら粉 30gほど

<下準備>

油は170℃程度に温めておいてください。
天ぷら用の鍋がなければ、深めのフライパンなどで代用できます。

1. 空豆をさやから出して、皮をむく

空豆のさやは固く、少しむきにくいですが、1カ所に切れ目が入ればすんなりと開きますよ。

さやから取り出した豆も、さらに柔らかい皮に包まれています。写真のように、包丁の「あご」と呼ばれる角張った部分で軽く切れ目を入れてから、手で皮をむきましょう。

皮をむきおわった空豆は、最初のさやに収まった状態から考えると、ずいぶんと小さくなったように感じられます。ですが、味がしっかりとした豆なので、これだけの量でもじゅうぶん楽しむことができますよ。

2. 空豆を洗って、水分をふきとる

むきおわった空豆を水洗いして、キッチンペーパーなどで水分をとってください。

3. 軽く塩を振る

空豆に軽く塩を振り、下味をつけます。

4. ボウルに氷・お酒・水を入れたものを準備

ボウルに氷とお酒を入れて、少し水も加えます。

時間があれば、氷を使わずに、お酒と水を混ぜたものをあらかじめ冷蔵庫で冷やしておいてもかまいません。その場合は、氷がないぶん、少しだけ多めに水を入れてください。

◎お酒を入れる理由

お酒を入れるのは、天ぷらの衣をカリッとさせるためのひと手間です。衣をカリッと揚げる技はたくさんありますが、お酒を入れる方法は、アルコールの揮発性や沸点の低さを利用したものです。

家庭で天ぷらをしようと思っても、なかなかお店のように大量の油は使えません。油が少量だと、食材を投入すると温度が下がってしまい、衣に火が通りにくくなってモタっとした重い衣になってしまうことも。

しかしアルコールを加えておくと、少量の油で温度が下がっても、沸点が低いのでカラッとした天ぷらができるというわけです。

◎冷やす必要があるのはなぜか

また、氷を入れるなどして冷やすのも、衣を軽く仕上げるため。

天ぷら粉と(4)を混ぜたときに温度が高いと、グルテンという物質が発生してしまいます。グルテンはねばりを出す性質があり、衣を重たくしてしまう原因に。それを防ぐため、温度を上げないように冷やしておくことが大切なのです。

5. 空豆に天ぷら粉をまぶす

空豆が軽く衣をまとう程度に、天ぷら粉(分量外)をまぶしましょう。このひと手間を加えることで、次の行程で食材にしっかりと衣がつきます。

これは、油の準備ができるころ、揚げる直前におこなってください。

6. 天ぷら粉と(4)を混ぜたものに空豆を浸し、油の中へ

この行程は素早く行うのが大切。あまり時間を置いてしまうと、衣が重く仕上がり、食感が損なわれてしまいます。

油が準備できたのを確認して、天ぷら粉を入れたボウルに、(4)を少しずつ注ぎましょう。写真のように、少ししゃばしゃばするくらいまで注いだら、水分と粉は完全に混ぜきらず、箸で軽く混ぜる程度にとどめます。

そこへ空豆を一瞬浸したら、そっと油の中へ。

空豆が油のなかで浮いてきたら、箸先でそっと掴んでみで、カリッとした感触があればOKです。

◎完全に混ぜないわけ

水分と粉を完全に混ぜ切らないのは、これも天ぷらの衣をカラッと仕上げるため。ここでしっかり混ぜてしまうと、グルテンが生まれてしまい、衣をモタっとさせてしまいます。

7. 器に盛り完成

お気に入りの器に盛ったら完成!

少し余白がでる大きさの器に、高さが出るよう意識して盛るときれいに仕上がりますよ。器の端にお好みで塩を添えておいても良いでしょう。

汗ばむ5月は冷酒の美味しい季節!

空豆が美味しくなる5月は、気温もだんだんと上がりはじめる季節です。

うっすら汗をかくような日には、ほどよく冷えたお酒で喉を潤したい。ということで今回は、京都・佐々木酒造が醸す「聚楽第(じゅらくだい) 純米吟醸」の冷酒をいただきました。

やさしい口当たりとすっきりとした喉越しは、旬の空豆が持つ濃い味わいを損なうことなく、そっと引き立ててくれます。アルコール度数は高くなく、甘みも少なめなので、天ぷらとの相性も抜群!食欲が湧いてきて、どんどん箸が進みますね。

京都洛中の豊かな地下水に育まれた「聚楽第 純米吟醸」、短い春の余韻を彩る、おすすめのお酒ですよ。

少し面倒に感じる手順も、だれかのため、またはいつも頑張る自分のためにと思えば、ひと手間ひと手間がなんだか愛おしく感じられてきます。気ぜわしい毎日がつづいたら、ちょっと深呼吸。いつものおつまみをちょっと”丁寧に”つくって、特別な晩酌の時間を過ごしてみませんか?

(文/小鳥あんず)

<関連商品>

関連記事