春といえば、苦みを含んだ新芽野菜の滋味深い味わいも楽しみのひとつ。春野菜は栄養価が高いのもうれしいですよね。なかでも菜の花はビタミンCが豊富。肌荒れの気になる季節の変わり目に食べたい食材です。

創作料理や時短・簡単レシピが人気の昨今ですが、ときには時間と手間をかけて料理するのも楽しいものです。それが酒の肴ともなれば、楽しみも倍増。

ということで、本日は菜の花と湯葉を使った一品をご提案します。特に変わった技があるわけではないけれど、丁寧に出汁をひいて、器に盛って、春の青さを味わってみてはいかがでしょうか。

菜の花と湯葉のおひたし

<材料>約4人分

  • 乾燥湯葉...80~90g
  • 乾燥椎茸...小さめのものをひとつ
  • 水...2カップくらい
  • 昆布...5~6cm角くらい
  • かつおぶし...ひとつかみくらい
  • 菜の花...60gくらい
  • みりん...50ml
  • しょうゆ...50ml
  • 酒...少々

材料の分量は目安です。「お汁たっぷりが好き」「湯葉をもっと食べたい」などのお好みに合わせて、自由にアレンジしてみてください。

1. 乾燥湯葉をもどす

乾燥湯葉を水につけてもどします。だいたい20分ほどつけておけば柔らかくなるでしょう。湯葉はもどすと1.5倍ほどの大きさになるので、それを考慮して食べたい量を決めてくださいね。

2. 出汁を用意しておく

乾燥椎茸と昆布を水につけてしばらく置きます。

水の量は 1 で用意した湯葉がつかるくらいの量があればじゅうぶんです。時間をかけてじっくりもどせばより良い出汁がとれますが、時間のないときは昆布に何カ所か切れ目を入れておくというやり方も。椎茸に柔らかさが出てくればOKです。

昆布と椎茸がもどったら、沸騰させないように火を入れましょう。細かい泡がふつふつ出てきたら沸騰直前の合図です。

火を止めてから、かつおぶしをひとつかみ鍋に入れます。かつおぶしが自然と沈んできたら、ザルで漉して、出汁の準備は完了!

3. みりんと醤油を煮切る

みりんと醤油を煮切ったものを用意します。量は 2 で用意した出汁の10分の1ほどでいいでしょう。

鍋でみりんを煮立たせ、アルコールが飛んだら、同量の醤油を加えてくつくつ煮込みます。灰汁が浮いてくるようなら、取り除いてください。少量であれば、そんなに長時間煮込む必要はありません。

4. 出汁を合わせる

2 と 3 の工程で作った、出汁・みりんと醤油を煮切ったものを 10:1 の割合で合わせましょう。2 のだしが 400ml なら 3 は 40ml ほど、ということです。味見をしながら、お好みの濃さを探ってみてください。

もし余っても、うどんや素麺の出汁に使ったり、すまし汁を作ったり、他の野菜を煮たりするのにも利用できるので、指定の分量より多めに作っておくのもおすすめです。ただし冷蔵庫で保管して、早めに使い切ってくださいね。

5. 出汁で湯葉を煮る。菜の花は軽く湯通し

1 でもどした湯葉を鍋に入れ、ひたひたにつかるまで 4 で合わせた出汁を注ぎます。

酒を少々加えて、火を入れます。弱火でことこと煮ると、浮かんできた湯葉の表面が乾いてきますので、時々上下をひっくり返してください。

菜の花は軽く湯通しして、ザルにあげておきます。

6. 茹でておいた菜の花を軽くあたためる

菜の花が冷めてしまっている場合には、湯葉と同じ鍋に入れて少しあたためます。

7. お気に入りの器に盛って完成

器に盛ったら完成です。

少し深さのある器に、まず湯葉を高さを出すようにして盛り、その上に菜の花を添えると綺麗に盛りつけることができます。

8. お酒といっしょに美味しくいただきましょう!

できあがったら、冷めないうちにいただきましょう。

菜の花の香りとほのかな苦みが、出汁の染み込んだ湯葉とよく合います。春にしか味わえない贅沢な一品ですね。

合わせるお酒は、出汁の香りと寄り添うような口当たりの優しいものを。

おすすめは「亀齢 ちょぼ 特別本醸造」(亀齢酒造 / 広島)のお燗です。あたたかく深みのある味わいが口のなかにゆったりと馴染んでゆきます。コストパフォーマンスも良いこのお酒、普段の食卓にぴったりなのです。

時短とは言い難いレシピですが、時間のあるとき、いえ、時間がないときにこそ、焦った気持ちを落ち着かせるために手間をかけて料理をしてみてはいかがでしょうか。

無理のない範囲で、時々こうして手をかけて肴を作るのも、晩酌を楽しむためのおすすめの方法です。ぜひ試してみてくださいね!

(文/小鳥あんず)

この記事を読んだ人はこちらの記事も読んでいます