2024年6月21日(金)、日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」の創業10周年パーティーが開催されました。

SAKETIMESを運営するClearの代表・生駒龍史とSAKETIMESの編集長・小池潤による講演や、日本酒メディアの関係者によるトークセッションが行われ、酒蔵を中心に約70名が参加しました。

SAKETIMESの実績とともに日本酒産業の10年間のトレンドを振り返り、日本酒の未来を考えるきっかけとなったパーティーの様子をレポートします。

日本酒産業の10年間を振り返る

創業10周年パーティーの会場は、渋谷駅の近くにあるイベントスペース「クオーツギャラリー」。参加者の方々には、ウェルカムドリンクとして、アルミ缶の日本酒ブランド「KURA ONE」が振る舞われました。

最初の企画は、小池と生駒による特別講演。「日本酒市場の10年間を振り返る」というテーマで、SAKETIMESが歩んできた10年間の日本酒市場のトレンドについて、以下のキーワードをもとに解説が行われました。

  • 精米歩合
  • 熟成・ヴィンテージ
  • ベンチャー・スタートアップ
  • クラフトサケ
  • 酒蔵の新設・復活
  • 業界大手の挑戦
  • 新しい容器
  • ペアリング
  • テロワール
  • クラウドファンディング
  • イベント
  • 海外市場

SAKETIMESによる日本酒業界のトレンドの分析は、以下の記事にもまとめられています。ぜひご覧ください。

その他、SAKETIMESの10年間の実績として、過去の月間PV数(閲覧数)・UU数(読者数)の最高記録や、特に人気だった記事なども紹介されました。創業からこれまでに公開した記事が6,700本を超えたという話には、参加者から驚きの声が上がります。

「日本酒の魅力は『美味しいこと』だけではありません。造り手の想いなど、まわりにある情報を知ることも、日本酒体験のひとつであると私は考えています。これからも、記事を通して、日本酒を『知る』という体験を提供していきたいと思います」(小池)

特別講演の最後には、同じ日本酒業界の一員として、小池から参加者へのメッセージが語られました。

「主にコロナ禍を通して、『日本酒の価値とは何か』『日本酒の存在意義とは何か』『日本酒の未来はどこにあるのか』という大きな問いに改めて直面した関係者は、少なくないのではないでしょうか。

その答えはすぐに出せるものではありませんが、答えにたどり着こうとする過程の新たな一歩が、日本酒の可能性を広げていくと信じています。そして、日本酒のこれからにつながる新たな可能性を伝えていくことが、SAKETIMESの役割です。日本酒の未来をいっしょに考えていきましょう」(小池)

日本酒メディアの存在意義とは?

続いては、編集長の小池と日本酒メディアの関係者によるトークセッション。

この10年間、SAKETIMESはさまざまな日本酒情報を発信してきましたが、社会とともに日本酒産業が変化していく中で、専門メディアとしての役割も変わってきています。SAKETIMESがどのようなメディアであるべきかを改めて考えるために、このトークセッションが企画されました。

登壇したのは、同じ日本酒メディアである「SAKE Street」の編集長・二戸浩平さんと、SAKETIMES・SAKE Streetのそれぞれにライター・編集者として関わっているSAKEジャーナリスト・木村咲貴さん。

「日本酒産業におけるメディアの存在意義」をテーマに、さまざまな意見が交わされました。

SAKEジャーナリストの木村咲貴さん(左)と「SAKE Street」編集長の二戸浩平さん(右)

SAKEジャーナリストの木村咲貴さん(左)と「SAKE Street」編集長の二戸浩平さん(右)

まずは、主にSNSの普及などによって、誰もが簡単に情報発信できるようになった現在、メディアとして(ジャーナリストとして)、どのようなことを大事にしているのでしょうか。

「誰もが情報発信できる時代だからこそ、情報を発信する側が伝えたいことと、情報を受け取る側が知りたいことのバランスを意識する必要があると思います。そのバランスをとるという点に、メディアの役割があるのではないでしょうか」(小池)

「私が気をつけているのは、その情報発信が日本酒全体のためになるかどうか。100年後にも日本酒が存在し続けるために何を発信すべきか、常に考えています」(木村さん)

「私も誰かの役に立つ情報発信をしたいという思いがあります。自分自身が知りたいことも大事ですが、特に困ってる人に適切な情報を届けたいなと。ただ、日本酒は専門用語が多くて、誰にでもわかりやすい記事を作るのはなかなか難しいと感じることもあります」(二戸さん)

「ワインと日本酒の情報発信を比べると、日本酒は製法や原料など、造り手の視点が中心ですが、ワインは農業やペアリングなど、造り手以外の視点がメインなんです。偏りをなくすためにも客観的な視点をもつことが大事だと思いますね」(木村さん)

SAKE Street

SAKE Street

そんな中、木村さんと二戸さんは、SAKETIMESの10年間を以下のように評価します。

「SAKETIMESのすごい点は、大手酒蔵の誤解を解いたことだと思います。“大手”というだけでネガティブな印象を持たれがちですが、実は高い技術を持っていることをメディアとして伝えた意味は大きかったのではないでしょうか」(木村さん)

「社会的に意義のある記事を作ってきたメディアですよね。ある酒蔵で火災が発生した時、いち早く的確な情報を伝えていて、感銘を受けました」(二戸さん)

日本酒業界におけるメディアの存在意義については、どのように考えているのでしょうか。

「SAKETIMESとしては、ただ記事を読んでもらうだけでなく、記事をきっかけにどのような変化を与えられるかをもっと大事にしていきたい。記事を読んで実際に日本酒を買ってみるとか、イベントに行ってみるとか。具体的な行動につなげていくことも、メディアの役割だと考えています」(小池)

「酒蔵が発信できる時代に、メディアが存在する意味とは何だろうと考えてみると、まずは自分たちが読み手に近い場所に立って、誰よりも飲み手を知っている存在にならないといけないのだろうと思いますね」(二戸さん)

「昔のメディアの情報発信は一方通行でしたが、いまは双方向が当たり前になりました。酒蔵の情報を伝えるだけでなく、消費者からのフィードバックもきちんと吸収して、またより良い発信につなげる。そんな循環を作り出していきたいです」(木村さん)

これからの10年への挑戦

特別講演とトークセッションを終えて、最後に生駒からのあいさつがありました。

「SAKETIMESを創業した10年前、こんなにたくさんの方々に祝福していただける日が来るとは思いませんでした。いまこの場で、どんなことでも誠実に取り組み続けることで、想像を超えた未来をつくることができるんだと感じています。また新しい未来に向かって、SAKETIMESは挑戦を続けていきます」(生駒)

特別講演とトークセッションの後に行われた懇親会では、酒蔵各社に用意していただいた日本酒が提供されました。

日本酒産業を牽引し続ける大手酒蔵や新進気鋭のクラフトサケ醸造所、そして造り手を製造や販売の面で支える醸造機器や販促サービスの会社、さらにテレビやウェブのメディア関係者など、さまざまな交流が生まれ、参加者は閉会の直前まで楽しんでいました。

参加者からは「日本酒業界の関係者が集まる会のなかで、これほどの多様性は経験したことがない」「SAKETIMESがなかったらおそらく出会えていなかった人たちと交流することができた」という声もありました。

情報を発信する側と受け取る側の関係が一方通行ではなく双方向に変化しているなかで、このような新しい交流の機会をつくっていくことも、SAKETIMESが日本酒メディアとして担っていくべき役割のひとつなのかもしれません。

SAKETIMESはこれからも、日本酒の未来をつくるために、日本酒体験を豊かにするさまざまな情報を発信していきます。どうぞご期待ください。

(取材・文:渡部あきこ)

10周年記念酒のプロジェクトに挑戦中!

SAKETIMESは創業10周年を記念して、「蓬莱」の渡辺酒造店(岐阜県飛騨市)とコラボしたオリジナル日本酒を発売しました。現在、応援購入サービス「Makuake」にて、2024年7月21日(日)まで支援を募集中です。

SAKETIMES』10周年記念酒

今回は、渡辺酒造店の全面協力のもと、SAKETIMES編集長の小池が理想の美味しさを追求した一本をお届けします。酒米や精米歩合の異なる7つの原酒を渡辺酒造店に用意していただき、組み合わせや比率を変えながら、試作を重ねました。

最終的にたどり着いたのは、小池が日常酒として愛してやまない定番商品「蓬莱 家伝手造り 純米吟醸」に、山田錦で醸した原酒と、赤磐雄町で醸した原酒を加えた計3種類のブレンド。

「蓬莱 家伝手造り 純米吟醸」の飲み飽きしない味わいに、山田錦と赤磐雄町の豊かな旨味や心地良い甘味がプラスされ、さらに味わい深い一本になりました。

現在、応援購入サービス「Makuake」にて支援を募集中です。自宅での晩酌はもちろん、友人とのパーティーなどにも寄り添ってくれる一本に仕上がっていますので、ぜひ手にとってみてください。

◎プロジェクト概要