こんにちは、SAKETIMES編集部、日本酒マスターの山口奈緒子です。

みなさん、日本一おいしい市販酒ってなんだと思いますか?
「そんなのたくさんあってわからないよ。」「そんなの決められないよ・・・」と思っている方、実は「SAKE COMPETITION」というコンテストで、世界一おいしい市販酒を決定しているのです。

※市販酒には、すでに発売されている市販酒と今後販売が予定されいる市販酒も含みます。

SAKETIMESでは10月29日に行われた「SAKE COMPETITION 2014 表彰式」に参加してきました!!
前編と後編の2回にわたって、SAKE COMPETITION 2014 表彰式の様子をお伝えしたいと思います。

 

1. SAKE COMPETITION とは?

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SAKE COMPETITION実行委員会は、1990年代からさまざまな日本酒の普及活動を行っており、2012年から日本酒のコンテストである「SAKE COMPETITION」を開催しています。
日本酒のコンテストというと一番有名なもので「全国新酒鑑評会」などを思い浮かべると思います。
では、「全国新酒鑑評会(以下、鑑評会と記載)」と「SAKE COMPETITION」、この2つの違いとはどのようなものなのでしょうか?

この2つは「市販酒であるか、そうではないか」つまり私たちのような「一般消費者の手に届くお酒か、そうではないか」という点が大きな違いです。

鑑評会は、その酒蔵の最高峰と言われる大吟醸が中心で、鑑評会用に通常の市販酒よりも手間をかけて造られたお酒が出品されます。それはもともと、このコンテストが「技術の研鑽」のために開催されていたことが背景としてあるからです。ですから、たとえ一般消費者の手に届かないお酒でも、別の造りをした最高峰の日本酒を競わせるこの大会はとっても意味のある大会ということですね。

しかし、それはプロの世界の話。私たち一般消費者はそのようなお酒を飲む機会はほとんどないですし、普段飲むお酒は、大吟醸のみならず純米吟醸、純米酒、本醸造・・・その場や気分に合わせて飲むお酒の種類も変えていると思います。このSAKE COMPETITIONは、私たちが酒屋などで購入できる日本酒のコンテストなのです。

お酒は嗜好品ですし、自分のおいしいと思うものが最高のお酒と言うことができると思います。しかしながら、嗜好品という部分で基準が設けにくいからこそコンテストによって1つの基準が定義されることはとても重要なことだと、私は考えます。

 

2. 部門別に決まる!

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さて、私たちの買うことができる市販酒のコンテストということは理解していただけたと思うのですが、どのような基準で審査されるのでしょうか?

SAKE COMPETITIONでは、以下の5部門に分かれています。

 

◎純米酒部門

特定名称酒で「純米酒」表示がされている日本酒。また、「特別純米酒」や「山廃純米酒」、「生酛純米酒」も出品可能です。

 

◎純米吟醸酒部門

特定名称酒で「純米吟醸酒」表示がされている日本酒。「山廃純米吟醸酒」や「生酛純米吟醸酒」も出品可能です。

 

◎純米大吟醸酒部門

特定名称酒「純米大吟醸酒」表示がされている日本酒。「山廃純米大吟醸酒」や「生酛純米大吟醸酒」も出品可能です。また「大吟醸純米」など「純米大吟醸酒」と判断できる表示でも出品は可能です。

 

◎Free Style Under 5000の部

特定名称酒に限らず清酒表示がされている日本酒で、市販価格(外税)上限の目安が1800mlで5,000円、または500ml〜900mlで3,000円のものです。未検査米・等外米を使用、または精米歩合非表示などで特定名称酒を表示できない日本酒を含む「普通酒」、醸造アルコール使用の「吟醸酒」、「大吟醸酒」、「古酒」ももちろん、「純米酒」、「純米吟醸酒」、「純米大吟醸酒」の出品も可能です。

 

◎Free Style の部

特定名称酒に限らず清酒表示がされている日本酒で、しかも市販価格(外税)上限無制限のものです。未検査米・等外米を使用、または精米歩合非表示などで特定名称酒を表示できない日本酒を含む「普通酒」、醸造アルコール使用の「吟醸酒」、「大吟醸酒」、「古酒」ももちろん、「純米酒」、「純米吟醸酒」、「純米大吟醸酒」の出品も可能です。

 

このそれぞれの部門で、1位〜10位(Free Style部門は1位〜5位)まで決まるのです。

 

3. プレゼンターはそうそうたる顔ぶれ

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今回のSAKE COMPETITION 2014 表彰式では、プレゼンターに5名の著名人や文化人を起用しています。

元サッカー日本代表の中田英寿氏をはじめ、俳優の袴田吉彦氏、タレントの伊澤エイミー氏、日本でも有数の日本酒卸業会社・株式会社岡永 代表取締役の飯田永介氏、また舞妓さんがプレゼンターとして、各部門の受賞蔵に楯(たて)を贈呈されていました。

中田氏は言うまでもなく、今国内外で日本酒の魅力を広める活動をされていることで有名ですよね。
このように日本酒業界以外でも日本酒を普段から愛飲し、魅力を発信してくれているプレゼンターの方々を起用していることもSAKE COMPETITIONの特徴です。今までの日本酒のあまり華やかな舞台に出て来なかった日本酒業界の現状を考えると、比較的若く、30代・20代に影響を及ぼすことができる著名人・文化人が第一線で日本酒の魅力をアピールすることによって、日本酒のイメージも少しづつ変わっていくのではないかと思います。

 

4. 「SAKE COMPETITION 2014」は過去最大の規模

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第3回目になるSAKE COMPETITIONですが、なんと今回は過去最大の規模にまで成長しています。
日本全国から280の酒蔵がエントリー、856点の日本酒が出品されました。この数は一昨年(300酒蔵エントリー、778点出品)や昨年(252酒蔵エントリー、657点出品)と比較してみても、過去最大であり、この出品数は世界一の規模を誇っています。

そんなSAKE COMPETITIONですが、1度の審査で決められているわけではありません。
9月12日(金)の予審、13日(土)の決審の2回に分けて審査されています。審査員は全国の技術指導の先生方、蔵元、その他日本酒業界などで活躍される有識者で構成されており、総勢30名で各部門のNo.1を決定しているのです。

海外での日本酒人気が高まる中で、このように日本でも有数の有識者によって厳正に審査されているのです。

 

以上です!

今回はSAKE COMPETITIONの前編ということで、SAKE COMPETITIONの概念的な部分であったり、今年の開催が一昨年や昨年に比べどのような規模であったかという点を重点的にご紹介しました。後編では実際にどのような酒蔵が各部門の賞を獲得しているのか、また、SAKETIMESの視点での注目酒蔵特集・SAKE COMPETITIONを開催する意義など、もう一歩踏み込んだ情報をお伝えしたいと思います。

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