日本酒の楽しみ方・可能性をどんどん広げていきたい、その気持ちを酒蔵と共有できることはとても心強いです。
そんな熱い気持ちをもつ酒蔵、広島県竹原市の「藤井酒造」より、6代目蔵元・藤井義大氏を招いた会が3月12日(土)に開催されました。
その名も「日本酒vsワイン ホーム&アウェイ!フレンチ編」
東京・外苑前のフレンチビストロ「Bistro Lemon House」で催されたこの会へ参加してきました。
水にこだわる!地域の伝統と文化を守りながら日本酒を醸す藤井酒造
総勢26名のお客様は、ふだんはワイン会に参加している方がほとんどで、日本酒派のわたしはアウェイ側。
望むところ、と意気込んで登場した藤井氏でしたが、心なしか表情も固め。
食事の前に、藤井氏から蔵とお酒の紹介がありました。
おそらく会場のほとんどの人に馴染みがなかった、広島県竹原市の地理と風土。
古くからこの土地に根付く藤井酒造は水にこだわりを持ち、水とともに技術を培ってきました。
また、ここで生活する人々の文化と伝統を創り上げ、これからもその伝統を守っていく蔵であることを、静かに、そして熱く語っていました。ワインの世界でいう「テロワール(土壌や気候などのお酒を取り巻く自然環境全体)」の概念は、日本酒でも全く同じ。会場もすっかりほだされ、アウェイ感が払拭されていきました。
ワイングラスで美味しいラインナップ。「龍勢」一本で勝負!
藤井酒造と言えば「宝寿」も有名ですが、今回は「龍勢」一本にしぼってきました。
ラインナップは左から順に
-「龍勢 蔵生原酒 特別純米中取り」
-「龍勢 純米吟醸 白ラベル」
-「龍勢 生酛純米 備前雄町」
-「龍勢 別格品 生酛純米大吟醸」
ワイングラスで提供することを考えた冷酒のベストメンバーですね。
かなり希少なラインナップでした。
特に「別格品」は、図々しくも口開けに立ち会ったのですが、その香りだけで昇天しそうになりました。
提供される順番からいって、肉かチーズとのマリアージュが楽しめそうです。期待大!ワインは以下の通り。
[スパークリング]
- Blanquette de Limoux Cuvée Framçoise NV/Antech(ブランケットド リムー キュヴェ フランソワーズ NV/アンテッシュ)
[白ワイン]
- Alsace Pinot Gris Bruderbach Le Menhir2013/Loew(アルザス ピノ グリ ブルダーバッハ ル メニール2013/ローヴ)
- Saina-Véran Cuvée Prestige2014/Roger Lassarat(サン ヴェラン キュヴェ プレスティージュ2014/ロジェ ラサラ)
[赤ワイン]
- Gigondas Cuvée Tradition2012/Gour de Chaulé(ジゴンダス キュヴェ トラディション2012/グール ド ショレ)
- Château Fleur Lescure2011/Saint-Emilion(シャトー フルール レスキュール2011/サンテミリオン)
料理は以下の通り。
[アミューズ]
- 山菜とキノコのグレッグ
- グジェール
- ブータン・ブラン
[冷前菜]
- 塩麹と酒粕でマリネしたフォワグラのテリーヌ
- 自家製パンデエピスと桜のコンフィチュールを添えて
[温前菜]
- 鶏胸肉のブイヨン&ポワローのブレゼ エルブ・ド・ジャポネーズ
[魚料理]
- 鱸のポワレ オランデーズソース 法蓮草のソテーを添えて
[肉料理]
- 琉球ロイヤルポークのハーブロースト インカの目覚めのフリットと共に
[チーズ]
- 桜ロワイヤル(白カビチーズ)
- シェルシュールシェル(シェーブル:山羊乳チーズ)
ソムリエとシェフに説明いただき、いよいよ乾杯です!
日本酒 vs ワイン、マリアージュ対決開始!
この日の主催及び運営のイベントプロデューサー村上正樹氏とともに、藤井氏みずからサービスに回られました。
乾杯はスパークリングワインが役を果たしましたが、その後ほどなく1杯目の日本酒「蔵生原酒」がサーブされました。
日本酒は本数が4本で、料理の数と合わないこともあり、アミューズ・冷前菜・温前菜の3品を最初の蔵生原酒と合わせていただいたのですが、これが大好評でした!特に冷前菜の、酒粕マリネのフォアグラテリーヌはあん肝のニュアンスを感じる逸品で、蔵生原酒とのマリアージュはワインの存在感を凌駕する勢いでした。
白ラベルは、卵とバターの風味たっぷりのオランデーズソースと合わせた魚料理とともに。
備前雄町は肉料理。
コース終盤になってくると、お腹がいっぱいになってくるのもあるのかもしれませんが、味わいも香りも深くなってくる生酛系純米日本酒よりは、赤ワインの底力がじわじわ押し寄せてきた感じです。
ひいき目かもしれませんが、単独では日本酒なのですが、料理とのマリアージュと言う意味ではトータルバランスのよい赤ワインの方を手に取ってしまいます。
さて、締めのチーズですが、これは日本酒にもワインにも肩透かしを食ったような結果になりました。
日本産白カビチーズと、すっきりな口当たりのシェーブル(熟成の若い山羊乳チーズ)だったので、ワインも日本酒も重すぎました。「別格品」は早めに室温に戻していただくなど、状態よく美味しくいただけただけに残念・・・。
ぜひハードチーズとのマリアージュをリベンジ願います!
マリアージュ対決、会場の反応は・・・?
勝敗を決める採点があったわけではないのですが、会場全体の雰囲気をくむと、前半は日本酒、後半は徐々にワインが追い上げていき、最後には五分五分だった、というところでしょうか。
日本酒にもワインにも、そしてフレンチにも、新しい楽しみ方を見出してくれた刺激的な会だったことには間違いありませんでした。
この会ですっかり意気投合されたと言う藤井氏と村上氏。
またお二人で場所を変えたおもしろい会を企画中とか。そちらもまた楽しみですね!
Bistro Lemon House
住所:東京都港区北青山2-9-15
電話:050-3754-3713(予約専用) 03-6447-0177(予約変更・問い合わせ)
営業時間:火~日18:00〜22:30(21:30L.O.) 月曜定休
藤井酒造株式会社
住所:広島県竹原市本町3丁目4-14
電話:0846-22-2029
E-mail: houju@fujiishuzou.com
URL: http://www.fujiishuzou.com/
(文/山本清子)
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