新潟県で開催されている国内最大級の日本酒イベント「にいがた酒の陣」。

酒蔵の軒数がもっとも多い新潟県のほとんどの酒蔵が出展し、過去には2日間で約14万人を動員するなど、たくさんの日本酒ファンから愛されているイベントです。2004年から開催され、2024年に20周年を迎えました。

2025年の「にいがた酒の陣」は、3月8日(土)〜9日(日)の2日間。各日、午前の部(10:00〜13:00)と午後の部(14:00〜17:00)に分かれ、各回4,500名が参加します。

今回は、SAKETIMES編集部が初日の様子をレポートします。

新潟県には、魅力的な日本酒がたくさん!

「にいがた酒の陣」の会場となる「朱鷺(とき)メッセ」へのアクセスは、JR新潟駅からバスで約15分。当日はイベントの臨時バスが約5〜10分に1本のペースで出ていました。徒歩の場合は約25分。バスの車窓からは、歩いて向かう参加者の姿がちらほらと見えました。

バスの車内では、「去年は〇〇酒造の日本酒が美味しかった」「今年はどういう順番で回ろうか」など、これから始まる日本酒の祭典にわくわくしている声が聞こえてきます。

会場に入ると、まずは試飲用のおちょこや和らぎ水などを受け取ります。

発売から数時間後に完売となった入場チケットは、昨年と同様に「A」「B」の2種類。Aチケットは指定席(イス有)、Bチケットは自由席(立食)となっています。

試飲のスタートは開場の30分後。開場した直後は、イベント限定の商品を購入しようと、お目当てのブースを目指して急ぐ参加者の姿が見えました。

毎年のように長い行列ができる「天領盃酒造(天領盃)」「北雪酒造(北雪)」「朝日酒造(久保田)」「加茂錦酒造(加茂錦)」「阿部酒造(あべ)」「宮尾酒造(〆張鶴)」の6蔵は、今回は会場左端のゾーンに配置されています。どのブースも、開場して早々に長蛇の列ができていました。

そしていよいよ、待ちに待った試飲がスタート!

さて、編集部も試飲していきましょう。

最初の一杯は、ポップで華やかなラベルに惹かれて、笹祝酒造(新潟市)の「キャンディショップ ナマエディション」をいただきました。「にいがた酒の陣」限定の生酒バージョンとのことですが、低アルコールで飲みやすく、甘味と酸味のバランスが優れた味わいです。

雪椿酒造(加茂市)のブースは、すべてが純米大吟醸酒という豪華なラインナップ。5種類の異なる酵母を使用した日本酒を飲み比べることができます。

津南醸造(津南町)のブースでは、「郷 GO」シリーズの最高峰「GRANDCLASS 魚沼コシヒカリEdition」をいただきます。四合瓶(720mL)で8,800円(税込)という高級酒ですが、なんと試飲は無料。洗練された透明感の中にやわらかい旨味を感じる、気品のある一本でした。

たからやま醸造(新潟市)は、2024年に廃業の危機を乗り越え、事業継承によって再始動した酒蔵。新体制で造った日本酒を試飲することができ、じんとくるものがありました。

妙高酒造(妙高市)のブースには、日本酒をベースにしたピーチウーロンという変わり種の「妙高ぴんく」という商品も。日本酒だけでなく、各蔵のリキュールを飲み比べてみるのも楽しいですね。

カラフルで大きなガラガラが目立っているのは、高野酒造(新潟市)のブース。ガシャポンを設置している酒蔵もあり、各社さまざまな工夫で参加者を楽しませてくれます。

菊水酒造(新発田市)のブースでは、おなじみの「菊水ふなぐち」の着ぐるみが出迎えてくれました。

編集部が気になっていたのは、石塚酒造(柏崎市)の「yami90」。降り積もった雪を溶かし、その水を仕込みに使用するという新しい手法で造られた一本です。

しかし残念なことに、他のブースを回っているうちに完売となってしまいました。特にイベント限定の商品は、あとで飲もうと思ってスルーしてしまうと、あっという間になくなってしまうことがあるので気を付けましょう。

日本酒を飲み疲れてしまった時は、ソーダ割がおすすめ。弥彦酒造(弥彦村)では、炭酸水のウィルキンソンとコラボした「ぽん酒ボール」が提供されていました(有料)。王紋酒造(新発田市)や麒麟山酒造(阿賀町)のブースでも、日本酒のソーダ割が用意され、日本酒の新たな楽しみ方を提案しています。

冷やしても温めても美味しいのが日本酒の特徴。池浦酒造(長岡市)では、竹に注いで温めた日本酒を提供。ほっこりとしたやさしい旨味を感じる燗酒が、身体にも心にも染み渡ります。

有料試飲で特別な日本酒を味わおう!

「にいがた酒の陣」は、入場チケットがあれば、無料でさまざまな日本酒を飲み比べられることが魅力ですが、ブースによっては特別な商品を楽しめる有料試飲もあります。イベント当日にしか飲めない限定酒や、普段は手が出ない高級酒にふれるチャンスですよ。

青木酒造(南魚沼市)の有料試飲では、毎年異なるアーティストとコラボする「鶴齢 Years Bottle」シリーズを、年代ごとに飲み比べることができます。

新潟市にあるクラフトサケ醸造所「LAGOON BREWERY」の有料試飲は、飲んだ人が値段を決める「満足度制」を採用。

各蔵の有料試飲は、キャッシュレスに対応しているブースもありますが、現金のみという場合もありました。有料試飲に興味がある方は、小銭を用意しておくといいかもしれません。

日本酒といっしょに、おつまみを楽しもう!

料理やおつまみをいっしょに味わうことも、「にいがた酒の陣」の楽しみ方のひとつ。会場で特に目を引いていたのは、鮎の塩焼き。独特の爽やかな香りや苦味が日本酒と相性抜群で、すいすいと杯を重ねてしまいそうです。

新潟市の老舗蒲鉾屋「竹徳かまぼこ」にも、長い行列ができていました。ひとつひとつに食べ応えがあり、満足感の高いおつまみになりそうです。

また、おつまみは各ブースだけでなく、駅弁スタイルで会場を回るスタッフからも購入できます。

物販ブースで編集部が注目したのは、ステンレス製のおちょこ「しゅってんころりん」。イベント限定でストラップタイプが販売されています。別売の長いストラップを付ければ、酒器を首から提げることができ、より快適に試飲を楽しめます。

ちなみに、新潟第一酒造(上越市)のブースでも、手作りのおちょこストラップが販売されていました。

参加者の中には、和らぎ水やおつまみをまとめて持ち運べるように、オリジナルのグッズを作成したという人も。それぞれの工夫で最大限に楽しもうとしている姿に、「にいがた酒の陣」に対する愛を感じました。

好きな酒蔵の日本酒を端から端まで飲み比べたり、知らない銘柄との新たな出会いを楽しんだり、おつまみとのペアリングを試してみたり......思い思いの過ごし方で楽しめるのが「にいがた酒の陣」のおもしろさかもしれません。

「にいがた酒の陣」は、本日(3月9日)も開催されます。新潟県の日本酒を楽しみ尽くしましょう!

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