新潟県新潟市で開催されている、国内最大級の日本酒イベント「にいがた酒の陣」。

酒蔵の軒数が全国でもっとも多い新潟県のほとんどの酒蔵が出展し、参加者は各蔵の日本酒を飲み放題で楽しめます。次回の開催は、2024年3月9日(土)〜10日(日)を予定しています。

新潟県酒造組合の50周年を記念して2004年にスタートしたこのイベントは、2024年に20周年を迎えます。2019年には、2日間で延べ約14万人を動員するなど、たくさんの日本酒ファンから愛されています。

「にいがた酒の陣」の会場入口

今回は、そんな「にいがた酒の陣」の楽しみ方を紹介します。

「にいがた酒の陣」を楽しむためのポイント

①両手を空けられる格好で参加しよう!

各蔵のブースでパンフレットをもらったり、気に入った日本酒を購入したりと、会場で荷物が増えるかもしれません。当日は、会場で配布されるおちょこを片手に、各蔵のブースで日本酒を注いでもらう形式のため、リュックサックやショルダーバッグなど、両手を空けられる格好がおすすめですよ。

②現金や電子マネーを準備しよう!

基本的に、すべての日本酒が飲み放題ですが、限定酒や高級酒は有料の場合もあります。商品の購入も含め、電子決済が可能かどうかは酒蔵ごとに異なるので、現金の準備をしておきましょう。

③テーマをもってブースを回ろう!

2024年の「にいがた酒の陣」には、新潟県内の78酒蔵が出展します。限られた時間の中ですべてのブースを回るのは難しいため、事前にテーマを決めて参加すると、効率良く楽しめるでしょう。

例えば、特定の地方(上越・中越・下越・佐渡)のブースを重点的に回る、新潟県の酒米(五百万石や越淡麗など)を使用している日本酒を優先的に試飲する、会場限定の日本酒を探してみるなど、さまざまな楽しみ方がありますよ。

④酒蔵との交流を楽しもう!

2024年のテーマは「話せばもっと好きになる。」。実行委員会によると、酒蔵と参加者が交流しやすいように、例年よりも試飲ブースが広く設計されているとのこと。酒蔵関係者は、イベント公式のピンク色の手ぬぐいを身に付けているため、積極的に話しかけてみてください。

「にいがた酒の陣」のメインビジュアル

⑤和らぎ水といっしょに楽しもう!

日本酒を楽しむ時は、飲み過ぎや酔い過ぎを予防するために、和らぎ水を飲むことが大事。ミネラルウォーターは会場で購入できるため、充分な量の和らぎ水を飲むように心がけましょう。

2023年は感染症対策の一環で、使い捨てプラカップでの試飲となりましたが、今年はオリジナルデザインのおちょこが配布されます。和らぎ水を持っていると、にごり酒を飲んだ後など、おちょこをゆすぎたい時にも重宝しますよ。

⑥二次会を楽しもう!

新潟県内には、魅力的な居酒屋がたくさんあります。二次会を楽しめるように、余力を残して試飲するのがおすすめです。会場では、新潟県内の飲食店で利用できるクーポンが配布されるそうなので、ぜひ活用してみてください。

編集部のおすすめ酒蔵

さらに、SAKETIMES編集部がおすすめする、2024年の「にいがた酒の陣」で注目の酒蔵を紹介します。

先行販売や限定販売に注目!

菊水酒造(新発田市)のブースでは、代表商品「菊水ふなぐち」の着ぐるみを着たスタッフが登場するなど、さまざまな工夫で参加者を楽しませてくれます。2024年は、同シリーズ初の大吟醸仕込み「菊水大吟醸生原酒ふなぐち」が会場で先行販売される予定です。

また、武蔵野酒造(上越市)のブースでは、2020年に発売した新ブランド「NOROSHI 狼煙」の会場限定商品が販売されるとのこと。他にも、先行販売や限定販売を行う酒蔵があるかもしれません。各酒蔵のSNSなどをチェックしてみてください。

「にいがた酒の陣」の会場の様子

次世代の若手蔵元に注目!

新潟県の若手蔵元として存在感を放っているのが、「あべ」の阿部酒造(柏崎市)や「天領盃」の天領盃酒造(佐渡市)。2023年に初めて開催された、全国の酒販店員が審査する日本酒アワード「酒屋大賞」にもノミネートされ、数ある銘酒蔵の中で、それぞれ3位と6位に輝きました。新潟県外でも人気を博している、期待の若手です。

新ジャンル「クラフトサケ」に注目!

近年、新しいジャンルとして盛り上がっている「クラフトサケ」。日本酒の製造方法をもとに、果物をはじめとする副原料を加えて発酵させるなどのアレンジを取り入れることで、これまでにない香りや味わいを生み出します。

そんな「クラフトサケ」の醸造所は、新潟県にもあります。それが、2022年にオープンした、LAGOON BREWERY(新潟市)。県産の洋梨やぶどうを使用したどぶろく、トマトやバジルを使用したマルゲリータ風のお酒など、独創的な味わいを楽しんでみてください。

LAGOON BREWERYの新ブランド「翔空」

国内外のコンテストで評価された酒蔵に注目!

峰乃白梅酒造(新潟市)の「峰乃白梅 純米吟醸」は、世界一美味しい市販酒を決めるコンペティション「SAKE COMPETITION 2023」にて、純米吟醸部門の第7位に輝きました。着実にレベルを上げている酒蔵です。

また、苗場酒造(津南市)の「醸す森 純米大吟醸 生酒」も、香港の国際日本酒コンクール「Oriental Sake Awards 2023」の生酒部門でチャンピオンを獲得。2023年3月には、二段仕込みの新ブランド「深然-MIZEN-」を発表するなど、新しい挑戦を続けています。

地元だからこそ出会える銘酒に注目!

新潟県には、県外では見かける機会の少ない銘酒がたくさんあります。県内のほとんどの酒蔵が出展するこの機会に、まだ飲んだことのない、地元の銘酒を探してみてください。SAKETIMES編集長の小池は、原酒造(柏崎市)の「越の誉」、緑川酒造(魚沼市)の「緑川」、竹田酒造店(上越市)の「かたふね」をおすすめします。

「にいがた酒の陣」20周年の思い

「にいがた酒の陣」の実行委員長を務める、麒麟山酒造の代表取締役社長 齋藤俊太郎さんに、本イベントが20周年を迎えることに対する思いをお伺いしました。

「にいがた酒の陣」の実行委員長 齋藤俊太郎さん

「にいがた酒の陣」の実行委員長 齋藤俊太郎さん

「正直、このイベントが20年も続くとは思っていませんでした。当時、新潟県酒造組合のイベントがマンネリ化してしまっていた中で、何か新しいことができないかという思いで開催しましたが、当初は打ち上げ花火のように、1回きりの想定だったんです。

これまでの20年間、参加者の方々に楽しんでいただくために、ステージイベントなど、試飲以外のコンテンツに注力している時期もありましたが、十数万人の参加者が満員電車のようにひしめき合う会場をみて、酒蔵との交流を通して、新潟県の日本酒の魅力を知っていただくという当初の目的が果たせていないのではないかという思いもありました。

コロナ禍をきっかけに参加人数を制限したことで、酒蔵と参加者が余裕をもって交流できるようになったと思います。昨年は、感染症対策の一環としての制限でしたが、今年は酒蔵と参加者の交流の活性化を目的とした制限。主催者としては、当初の思いに立ち返ったことで、より理想的なイベントになるのではないかと感じています」

参加人数の制限によって、より安心して楽しめるイベントになった「にいがた酒の陣」。酒蔵との交流を通して、新潟県の日本酒の新しい魅力を見つけてみてください。

(文:SAKETIMES編集部)

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