新宿区歌舞伎町にある「居酒屋うまいもん 本店」。店内に入ると、壁一面に貼られた「きき酒セット」のメニューが目に入ってきます。銘柄やテーマごとに構成された12種類のセットには「十四代」「獺祭」「新政」「而今」「飛露喜」など、プレミアムな日本酒がズラリ。冷蔵庫には、なんと常時100本以上の日本酒が適温で保存されています。
こちらの店では、産地直送の鮮魚や肉、野菜の持ち味を活かした料理とともに、季節限定品やプレミアムな日本酒をリーズナブルな価格で味わうことができます。
圧倒的な存在感の「きき酒セット」
「高校を卒業してすぐに上京し、15年間、料理人として働いたあと、地元の福島県で店を開いたのが始まりでした」と語るのは、店主の齋藤博重さん。経営は順調だったようですが、2011年に起きた東日本大震災の影響で店を閉めることになってしまいます。新宿区歌舞伎町で現在の店を構えたのは、2012年のことでした。
「福島で店をやっていたときから日本酒を扱っていましたが、新しい店の目玉にしたかったので、特に力を入れることにしたんです」。当時、旬の美味しい食材を使った料理だけでは、埋もれてしまうと考えていたのだそう。そんな齋藤さんが考案したのは、これまで築き上げてきた酒屋とのつながりを活かした、プレミアムな日本酒を中心にした「きき酒セット」です。
きき酒セットは、60ml×3種類。1セットがちょうど1合分になっています。ひとつひとつに銘柄の写真が添えられているのも特徴のひとつ。ラベルを眺めながら飲みたいという日本酒好きの気持ちを心得ていますね。実際、たいへん好評なのだとか。
「銘柄にこだわらず、味そのものを楽しんでほしい」というねらいもあり、銘柄別の飲み比べだけでなく、プレミアムな日本酒を入れた「山田錦」「辛口」「うすにごり酒」などのセットもあります。
また、季節限定のお酒を中心にそろえて、商品をこまめに入れ替えています。日本酒は常時45種類ほどで、1種類につき2〜3本をストック。お客さんがいつ来ても、お目当ての日本酒を飲んでもらえるように、プレミアムなお酒を含めて、品切れを出さないように努めているのだとか。
「日本酒以外のお酒も置いていますが、ピーク時は全席の7割近くに日本酒をお出しすることもあるくらい、きき酒セットが好評です。週に2種類は、新しく入れ替えるようにしています」。それぞれが別々のきき酒セットを頼んで、少しずつ回し飲みしながら楽しむ人もいるそうです。
また、きき酒セットとは別に、日本酒の飲み放題コース(10種類と25種類)も用意しています。こちらも、ハイスペックな季節限定酒を多くそろえています。メニューには、初心者でもわかりやすいように銘柄ごとの解説が書かれ、春酒には桜のマーク、秋のお酒「ひやおろし」には紅葉のマーク、新しく仕入れたものにはNEWのマーク、辛口のお酒には唐辛子のマークを付けるなど、きめ細かい工夫がされています。もちろん、スタッフもていねいに質問に答えてくれます。
旬の食材を活かした、飽きの来ないメニュー
プロの料理人でもある齋藤さんは、これまで見てきた料理のなかで自分が良いと思ったものを、納得できる鮮度と価格で提供しています。「コンセプトは、自分が行きたい店」と語るように、毎日のおすすめ料理は、"自分がその日に食べたいもの"を厳選しているのだそう。品ぞろえが豊富なため、調理スタッフは3人体制。こまめに書き換えられるメニューにも注目です。
一方で、宴会コースだけは通年食材で固定しているとのこと。冬のみに提供される水炊き、すき焼き、ふぐ鍋、もつ鍋などのコースが特に好評だそうです。
「季節感のある日本酒と料理を美味しく味わえるのはもちろん、ていねいな接客や、リーズナブルな価格が当店のウリだと思います」と、齋藤さん。どれかひとつでも欠くことがないように努めているようです。
この日のおすすめは「ホタルイカとレタスのしゃぶしゃぶ」。身が透き通っていて、鮮度の良さがうかがえます。レタスのシャキシャキとした食感が楽しく、美味しい日本酒といっしょに味わうことで、旨味が膨れ上がりました。
プレミアム日本酒を含む多彩なきき酒セットと、店主・齋藤さんの目利きと職人技で提供される旬の料理。「居酒屋うまいもん 本店」で、旬の味を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(文/乃木章)
◎店舗情報
- 店舗名:「居酒屋うまいもん 本店」
- 住所:東京都新宿区歌舞伎町1-12-6 歌舞伎町ビル1F
- アクセス: JR新宿駅東口から徒歩約7分
- 営業時間:[月~土] 18:00~翌4:30 (L.O. フード 3:30、ドリンク 4:00)
- 定休日:日曜、8月14~16日
- 席数:40席(個室あり)、全面喫煙可
- 電話番号:03-3232-3500