呑み屋でしばしば見かける枡。
酒器の代表格として一般的に知られていますが、実は本来の役割は別のところにありました。
枡は生活の尺度として日本人のパートナーだった
枡の本来の姿は、計量具です。701年の大宝律令で度量衡の制度ができ、その頃から穀物などの量をはかる際に枡が使われていたようです。そんな昔から私たちの生活の尺度として枡が使われていたんですね。
枡ではかっていたのは、米、油、塩、麦、酒など。
今の私たちがイメージする、”枡=日本酒”の関係。これは、江戸時代に商人がお酒を売るときに計量具である枡でお酒を量り売りし、そのまま試飲したことが枡でお酒を飲む風習の原型と言われています。枡が酒器として利用されはじめたのは江戸時代に入ってからと、枡の長い歴史においては比較的新しい役割なのですね。
時代ごとに役割を変え、日本人の生活と馴染み深い枡。
最近では、カルチャー誌で雑貨として取り上げられ、おしゃれな雑貨店や居酒屋で枡をよく見かけるようになりました。
なかには、こんなカラフルな枡も。
かつての計量具の役割は薄くなりましたが、その代わりに今の私たちの生活を彩る日用雑貨に変身しているのですね。
作りにも注目!環境にやさしいプロダクト
木そのままの見た目を使い、四角形に整えられた形も美しいですが、魅力を掘り下げてみると環境に配慮した作りに秘密がありました。
枡は、本来ならば捨てられるはずだった建築材の端材を使い作っています。つまり、枡を新しく作る際に新しい木は切り倒さないのです。
捨ててしまうはずだった廃材が、実用性を備えた生活用品に生まれ変わるというストーリーをもつ枡。日本人のアイデンティティーに基づいたエコロジーな製品なんです。
そして、枡で日本酒を飲むときに気にしてほしいところは材質です。
材質は、国産天然のひのきをおすすめします。ひのきに含まれる「フィトンチッド」が爽快感で”癒しの効果”が期待できます!
さらに、ひのきの香りは日本酒の味わいにも嬉しいメリットをもらたします。
それは、香りがあまりないお酒でも枡に注ぐことでひのきの香りを感じながら飲めることです。
枡を購入する際は、ぜひ材質にもこだわってみてくださいね。
枡で彩る小粋な日本酒ライフ
手になじみどこかホッとする枡で、お酒を飲んでみませんか?
ハレの日や晩酌で雰囲気を出したいとき、日本酒を枡で飲んでみると写真映えするイマドキの雰囲気を演出してくれます。
ポピュラーなサイズは一合です。容量は180ml。枡でぐいっと飲む姿はなんとも粋です。
日本酒に枡を合わせるだけで、こんなにも雰囲気が出るフォトジェニックなワンシーンが演出できます。
ちびちびとお酒を嗜みたい、と思った方にオススメなのが、五勺枡。
容量も90mlとぐい呑サイズなのがポイントです。
そのまま枡に口をつけたり、枡の中にグラスを入れたりと枡の粋な飲み方を生活で試してみてくださいね。
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