水を大切に扱う酒造り
白瀧酒造の創業は安政2年(1855年)、ペリーが来港し日米和親条約を結んだ翌年のこと。初代・湊谷藤助氏が、湯沢の谷地に湧く豊富な清水に着目し、造り酒屋を始めたとのこと。
新潟でも屈指の豪雪地帯・越後湯沢ゆえに豊富な湧水に恵まれ、日本有数の米どころでもあり、酒造りには最適な環境でした。現在は、「現代の名工」に選ばれた河合高明杜氏の孫弟子にあたる山口進吾杜氏を中心に、創業当時から水を大切に扱う酒造りを営んでいます。
吟醸酒ブームに登場した「上善如水」
「上善如水」が登場したのは1990年です。昭和後期から続く吟醸酒ブームの波に乗り、またたく間に広く知れ渡りました。淡麗辛口が主流の新潟酒の中で、スッキリしてフルーティーなお酒として人気を呼びます。当時、コンビニエンスストアなどでも手に入りやすいものでした。まさに水のような透き通った味わいだったと、鮮やかに記憶している方も多いのではないでしょうか。
現代の若者や女性に最適なNEW上善如水
今や蔵の代表銘柄となった上善如水。生原酒や貴醸酒などさまざまなバリエーションの商品を発売していますが、今回紹介するスパークリングは、上善如水が登場して25年目の、2015年4月に誕生しました。日本酒が再びブームを迎えている現在、若い女性などに上善如水を知ってもらいたいと開発されたものです。
量産されているスパークリングタイプの清酒はアルコール度数が5〜8度と低いものが多いですが、こちらは11〜12度と比較的高め。したがって、低アルコールのものよりも日本酒フレーバーが残っています。米の旨みもしっかり感じますし、後口も切れるというより甘味を残し余韻が長い印象です。ただ、炭酸ガスも強めなので甘味が舌に残ったりはしません。ドライなシャンパンや瓶内二次発酵のスパークリング日本酒よりも、良い意味で味わい深いです。
このようなタイプは食前、食後酒向きだと思いますが、適度なドライさと日本酒らしい旨みもあるので食事にも幅広く合わせることもできます。洋食はもちろん、和食でも脂っこいお刺身、煮魚、すき焼きなどに合いそうです。変化球としてレーズンチョコレートを合わせてみたところ、お酒がシャンパンや白ワインのようになり、意外なほどにマッチしましたよ。絶妙なバランスに仕上げた蔵の技術に感服します。これからの時期、クリスマスのパーティー酒としても最適でしょう。コスパも良く、スーパーなどで気軽に買えるのもうれしいですね。