蔵元5代目の兄弟が良酒を醸す小さな人気蔵
三浦酒造の創業は昭和5年(1930年)。年間生産石高500石で、家族と蔵人たちが「和醸良酒」の精神で銘酒を醸す、大人気の蔵です。東には八甲田山、西に岩木山という名峰がそびえ、南には世界自然遺産の白神山地を臨む弘前市に、蔵はあります。弘前公園は日本有数の桜の名所として有名ですね。同蔵は現在4代目の父・三浦慧社長の下、兄・剛士さん、弟・文仁さん兄弟が2000年前半、20代の若さで蔵に入り、自ら酒造りを手掛けるようになりました。
銘柄の由来は、津軽藩祖大浦為信が合戦の場で兵士の士気を鼓舞するために唄った「ホウハイ節」にあやかったものです。岩木山・赤倉山系の伏流水と契約栽培された酒造好適米を中心に、小仕込みにこだわって醸しています。三浦酒造だけが、契約栽培し使用する蔵こだわりの「豊盃米」をはじめ、「華吹雪」そして、今回紹介する「華想い」などの県産米を中心に「山田錦」なども使用し、小さな規模の蔵としては極めて稀な大型の自家精米機で精米し、繊細な造りを実践しています。
吟醸酒用に開発した県産米「華想い」
「華想い」は青森県が開発した酒造好適米。平成14年(2002年)に県奨励品種になりました。酒米の王様「山田錦」を母に、これも県産米の「華吹雪」を父として開発されました。昭和61年(1986年)に県の奨励品種だった「華吹雪」も一定の評価をされていましたが、高精白に向かないため、吟醸酒用に開発されたのが「華想い」です。酒質として口当たりが良く、香り高いのが特徴のようです。
豊盃で最も香り高く初心者にお勧め
同銘柄は文字通り「華想い」を55%まで磨いて、酵母も青森県オリジナルの「まほろば吟」を使用した、まさに“オール青森”のお酒です。
グラスに口を近づけると、豊盃の中では最も香り高い印象。完熟いちごを思わせる吟醸香を感じます。ふくよかかつフルーティーな味わいと適度な酸のバランスが良いです。後味は余韻を感じさせながらスーっと消えてゆく感じです。ほかの豊盃のような旨みが凝縮した密度の濃さや酸を感じるというより、透明感やフルーティーさが目立ち、豊盃の中では最も派手さ感じるお酒だと思います。日本酒初心者の方や女性、ワインが好きな方に特に好まれそうな印象。何かおつまみに合わせるというより、デザート酒として楽しむのがよいかもしれません。口などより、切り子やワイングラスなどで呑みたくなりますね。
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