日本酒好きなら知らない人はいない?!入手困難な美酒

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日本酒好きには、知らない方はいない美酒として知られるようになった而今。「ポスト十四代」などと言われる蔵のひとつで、一般の方には入手困難な銘酒ともなりました。

三重県西部の伊賀盆地にある木屋正(きやしょう)酒造の創業は文政元年(1818年)。江戸後期に初代大西庄八氏が造り酒屋「ほていや」を譲り受け、屋号を「木屋正」と改めスタートさせました。創業当初から長い間、地元・伊賀地方で「高砂」「鷹一正宗」の銘柄を展開していました。

「今をただ精いっぱい生きる」道元禅師の言葉が銘柄名の由来

同蔵の転換点は現蔵元兼杜氏の6代目・大西唯克氏が蔵に戻ってからです。大手乳業メーカー勤務を経て、2002年に広島の酒類総合研究所で半年間、酒造りの基礎を学んだあと、蔵を継ぎました。当時は蔵の経営は芳しくなく、県外での営業でも当時の主力銘柄「高砂」の評判はあがらず、研究者やお客様には「悪い見本」とも言われたとか。平成16年(2004年)に自らが杜氏になり酒造りを開始。悪戦苦闘しながら全工程を最新の注意を払いできあがったお酒を「而今」と名付けて出荷したところ、初年度から好評を得ることになりました。

銘柄の由来は永平寺を開いた道元禅師が残した言葉で「過去にも囚われず未来にも囚われず、今をただ精いっぱい生きる」という意味があり、蔵の家訓ともなっています。初めて而今を出荷した当初は蔵全体でわずか120石の生産でした。

現在は而今だけで700石以上を醸していますが、それでも生産が追い付かないという人気ぶりです。近年は海外にも出荷しています。

“ハレの日”に呑みたい至高の逸品

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仕込み水は蔵の井戸に引いた名張川の湧水を使用。この純米大吟醸は、レアな而今の中でも特に、滅多に口にできない、超限定品だと思います。伊賀産山田錦を48%まで磨いています。筆者も昨年初めにお猪口でちょっと飲ませていただいたことがあるだけです。お酒の味の好みは人ぞれぞれですが、而今をひと口呑めば、好みは別にして「あ、いい酒だ」とわかるお酒です。左党はもちろん、初心者や女性にもおすすめできます。ピュアな香りで透明感があり、繊細で引っかかるところがなく、ジューシー。

この純米大吟醸は、蔵のフラッグシップであり、而今の特徴をより研ぎ澄ましたような、至高の逸品だと思います。運よく手に入れられたら、記念日など、“ハレの日”に呑みたいお酒ですね。

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