日本三大銘醸地の西条で創業
大正元年(1912年)、初代蔵元となる前垣壽一氏により創業され1963年(昭和38年)に現会社名となりました。広島県東広島市の西条町は神戸の灘、京都の伏見と並ぶ日本三大銘醸地です。JR西条駅近辺には8蔵の酒蔵が集中しており、アクセスも良く、日本酒好きにはたまらない一大観光地と言えるでしょう。
同蔵も事前予約で酒蔵見学ができ、蔵内の酒泉館では、数十種類のお酒の飲み比べができます。
純米仕込みのパイオニア
賀茂泉と言えば、純米酒を復活させた蔵元としてお馴染みかと思います。昭和40年、蔵元2代目の前垣壽光氏が、戦前の窮乏期に失われた、本来の酒造りの復活を目指し、混ぜ物のない、米と米麹だけの酒造りを開始しました。
試行錯誤の末、商品化するには5年以上の時間を要しましたが、昭和46年(1971年)、純米醸造の「本仕込賀茂泉」として世に送り出されました。
当時は純米など特定名称の表記はなかったため、「無添加酒」と謳って販売されました。昭和48年(1973年)には純米酒の啓蒙のため「純粋日本酒協会」を設立するなど、文字通り純米仕込みのパイオニアと言って良いでしょう。
ぬる燗でユルユルと呑める吟醸酒
このお酒は広島県産の八反、新千本を精米歩合58%まで磨き、日本酒本来の旨みを出すため、炭素濾過をしていません。そのため、ほんのり琥珀色に染まっています。
賀茂泉を代表するブランドで、ふくよかな米の旨みと爽やかな酸味のバランスが良く、切れ味の良さも相まって、呑み飽きしません。その優しい味わいは「女酒」と言われる広島酒らしさを堪能できると思います。
スローフードジャパン燗酒コンテスト2013で金賞を受賞し、蔵元もぬる燗を薦めています。じっくり腰を落ち着けて、鰻や穴子の白焼きなどシンプルな酒肴と合わせると乙なものかも。純米吟醸ながらユルユルと呑める、ちょっと贅沢な晩酌酒と言えるでしょう。
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