広島県の高原に位置する酒蔵
三輪酒造の創業は1716年(享保元年)。広島県で3番目に長い歴史をもつ酒蔵です。蔵のある神石高原(じんせきこうげん)町は、岡山県との県境に接した中国山地の山間に位置する、人口約1万人の小さな町。標高およそ500mという爽やかな高原地帯にあり、県内でもっとも高い位置にある酒蔵なのだとか。
裏山にある井戸からは軟水が、敷地内の井戸からは中硬水が出ているため、用途に応じた水の使い分けができる珍しい蔵です。造り手が6人の小規模な酒蔵ですが、食事と合わせることで真価を発揮するお酒として、高く評価されています。
主要銘柄は創業から一貫して「神雷(しんらい)」です。名前の由来は町名の「神石」と、かつて酒蔵に雷が落ちたときに大きな被害がなかったことから。さらに「"信頼"して飲んでいただきたい」という思いも込められているのだそう。
「軟水と中硬水を使い分けた、米の風味が豊かで清涼感のある酒質」「広島県産の酒米『千本錦』『八反錦』を中心とした純米酒」という大きな2つの特徴をもった銘柄です。
ゆるりと飲んでほしい低アルコール酒
紹介する「神雷 純米酒 じゅうさん・と」は、米の旨味と後口のキレを両立させた芯のある味わいで、かつ軽やかに飲めるお酒に挑戦した一品です。
原料には65%まで磨いた広島県産の八反錦を使用。原酒でありながらアルコール度数を13度台後半に抑え、それでいながら、米の旨味や豊かな風味を残しています。
ラベルのイラストも印象的です。日々の喧騒から解放された男女たちが、思い思いに盃を重ねている姿が描かれています。「ゆるりと飲んでほしい」という酒蔵の思いを表現するように、杜氏の三輪裕治さんが書き下ろしたのだそう。
ポテンシャルの高い食中酒
やさしい味わいで、穏やかな果実香が感じられます。適度に締まりのある米の旨味と、上品で透明感のある酸味が心地良く広がります。広島のお酒らしい柔らかさもあり、爽やかさとまろやかさの両立が印象的です。ホッとする味わいで、ついつい盃を重ねてしまいそう。
食中酒としてのポテンシャルが高く、刺身などの和食から、塩味の焼鳥やしゃぶしゃぶなどの肉料理まで、幅広く合わせることができます。
やや熱めの燗にすれば、優しくゆるりとしたひと時を楽しめるでしょう。酒飲みから初心者まで受け入れてくれる「じゅうさん・と」、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。