若き日の魯山人も逗留

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蔵元の冨田酒造は天文年間の創業。日本最大の湖、琵琶湖の湖北に構える国内でも最古の歴史を誇る蔵の一つです。大正年代、若き北大路魯山人が長い間逗留した蔵としても知られ、魯山人による扁額が飾られています。江戸期からある酒蔵を今も利用しながら、骨太で米の旨みを存分に感じられる辛口酒を醸しています。

歴史的合戦から命名

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七本鎗の名前は、戦国時代、本能寺の変の翌年(1583年)、織田信長を暗殺した明智光秀を討伐した羽柴秀吉と、信長の重鎮だった柴田勝家が、跡目を巡って合戦した「賤ヶ岳の戦い」で活躍、秀吉の天下取りへのきっかけとなった7人の若武者、加藤清正、福島正則らを称えて「賤ヶ岳の七本鎗」と称されたことから、名づけられています。

現在使用している酒造好適米は地元産の「玉栄」「山田錦」「吟吹雪」「渡船」の4種類。地元の米と水での酒造りにこだわっています。2001年から地元の篤農家とともに、酒米の契約栽培を始め、地元の農業高校とのコラボレーションしたお酒も醸し、2004年に復活した、山田錦の親系統である酒米「滋賀渡船」も積極的に使用し、2010年からは無農薬栽培米での醸造にも取り組んでいます。

玉栄と山田錦を掛け合わせた「吟吹雪」

この銘柄に使用されている「吟吹雪」は「山田錦」を母、滋賀県の奨励品種「玉栄」を父に交配を行い、1998年に吟吹雪と命名されました。特徴として、新酒時は硬さの目立つ玉栄に山田錦のふくらみや柔らかさを加えた感じでしょうか。滋賀の各蔵元では吟醸酒で使用するケースが多いようです。

このお酒は、「吟吹雪」を55%まで精米。フルボディの七本鎗の中では、やわらか味を感じます。やはり、吟吹雪の特徴が出ているのでしょう。米の旨み、ふくらみを感じながらも、スッキリとした味わい。しかし、そこは七本鎗、しっかりとした酸が引き締め、切れ味の良い辛口酒になっています。和食全般に幅広く合わせられると思います。

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