「マッサン」のルーツは個性派食中酒蔵
竹鶴酒造といえば日本酒ファンにはおなじみの蔵ですが、NHK朝の連続ドラマ「マッサン」の大ヒットで脚光を浴びた、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝氏の生家としても注目されたのは記憶に新しいところ。
享保18年(1733年)に酒造業を始めた老舗蔵。自然の恵みを生かす酒造りをモットーとしています。早くから純米酒造りに力を入れており、平成9年に純米原酒シリーズの「小笹屋竹鶴」、平成14年には「清酒竹鶴」シリーズも発売し、純米蔵として揺るぎない地位を築きました。竹鶴の特徴は非常に腰が強く、小気味の良い酸が利いた個性的な味わい。
今回ご紹介する「生酛純米」は蔵の個性が凝縮された「ザ・竹鶴」と言えます。
生酛作りとは?
石川達也杜氏を中心に生酛作りに取り組み始めたのが平成16年度から。
一般的なお酒は「速醸酛(そくじょうもと)」といい酒母の育成と雑菌の混入防止のため、乳酸を人工的に添加しますが、自然界に存在する乳酸を取り込んで生酸(せいさん)を行わせるのが生酛仕込みと言われます。
生酛は酵母の力が強いので長期発酵にも耐え、濃醇かつ切れのある味わいになると言われています。酒母を作るのには「山卸し」という大変な手間と労力のいる作業があり、蔵人たちの情熱と汗の結晶が生酛のお酒なのです。加えて竹鶴は酵母無添加という「自然のままに醸す」こだわりを見せています。
燗で生きる個性、晩酌のお供に
「清酒竹鶴 生酛純米」は数年寝かされて出荷されます。県産の雄町米を精米歩合7割の低精白で米のうまみを引き出し、ドッシリとした酸と腰の強さは竹鶴本来のものです。
常温から熱燗でさらにさばけがよく柔らかい味わいになり、眠っていた旨みが引き出されます。竹鶴生酛には純米原酒の「小笹屋」シリーズもありますが、こちらの方が度数は低く、普段呑みに丁度良いでしょう。
税込4000円以上のお酒ですが、どんな酒肴にも合わせやすいので、ちょっと贅沢な晩酌におすすめです。
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