1985年に誕生し、「淡麗辛口」という日本酒の新たな方向性を確立した新潟県・朝日酒造の「久保田」シリーズ。キレの良いすっきりとした味わいが特徴で、全国の日本酒ファンから大きな支持を集め、地酒ブームを牽引してきた存在です。

2020年5月に会社創立100周年を迎えた朝日酒造は、「久保田」の発売35周年の節目を機に、同ブランドのリニューアルを進めています。

今回はそんな「久保田」のラインナップから、通年商品として販売されている10種類を厳選し、SAKETIMES編集部で飲み比べ、官能評価をしました。それぞれ、どのような味わいなのでしょうか。

『久保田 萬寿』

久保田 萬寿

−テイスティングコメント

グラスに注いだ時の香りには、果物のような吟醸香の甘みと、栗のような香ばしい甘みが感じられます。

全体的に透明感があってなめらかな味わいで、キレの良いきれいな純米大吟醸酒です。中盤にかけて旨味がじわりと広がっていきますが、余韻はアルコール由来の心地良い苦味が穏やかに続きます。

◎商品詳細

  • 商品名:『久保田 萬寿(まんじゅ)』
  • アルコール度数:15%
  • 原料米:五百万石、新潟県産米
  • 精米歩合:麹米50%、掛米33%
  • 販売価格(税込):720ml・4,004円/1.8L・8,921円
  • 購入リンク:朝日酒造 ONLINE SHOP

『久保田 萬寿 自社酵母仕込』

久保田 萬寿 自社酵母仕込

−テイスティングコメント

ベーシックな「萬寿」と系統の近い味わいですが、比べてみるとアルコール感が弱く、さらになめらかな印象でした。旨味や甘みのボリュームも強くなっているため、コクと深みの感じられる、まろやかな味わいの一本です。通常の「萬寿」との違いは、自社酵母を使用していることに由来しているのでしょう。

◎商品詳細

  • 商品名:『久保田 萬寿 自社酵母仕込』
  • アルコール度数:15%
  • 原料米:五百万石
  • 精米歩合:麹米40%、掛米40%
  • 販売価格(税込):720ml・11,000円
  • 購入リンク:朝日酒造 ONLINE SHOP

『久保田 千寿』

久保田 千寿 吟醸

−テイスティングコメント

爽やかで青竹のような香りです。「萬寿」よりも吟醸香は抑えめですが、甘みのある香りが確かにはっきりと感じられます。

「萬寿」よりもさらに透明感があり、クリアでなめらかな味わいです。ドライな味わいで、嫌なアルコール感もなく、すいすいと飲めてしまう一本です。まさに、「淡麗辛口の代表」と言えるでしょう。

◎商品詳細

  • 商品名:『久保田 千寿(せんじゅ)』
  • アルコール度数:15%
  • 原料米:五百万石
  • 精米歩合:麹米50%、掛米55%
  • 販売価格(税込):300ml・550円/720ml・1,188円/1.8L・2,673円
  • 購入リンク:朝日酒造 ONLINE SHOP

『久保田 千寿 純米吟醸』

久保田 千寿 純米吟醸

−テイスティングコメント

「千寿」とは異なり、白米のような旨味のある香りや、バナナなどの熟した果実のようなボリュームのある甘い香りを感じます。ただ、「久保田」シリーズの中でも香りは穏やかなタイプです。

味わいの系統は「千寿」と近く、きれいですっきりとしたなめらかな印象ですが、「千寿」よりも全体的なボリュームは大きいです。濃い味付けの料理と合わせる時は、こちらが良いかもしれません。

◎商品詳細

  • 商品名:『久保田 千寿 純米吟醸(せんじゅ じゅんまいぎんじょう)』
  • アルコール度数:15%
  • 原料米:五百万石
  • 精米歩合:麹米50%、掛米55%
  • 販売価格(税込):300ml・715円/720ml・1,430円/1.8L・3,080円
  • 購入リンク:朝日酒造 ONLINE SHOP

『久保田 百寿』

久保田 百寿

−テイスティングコメント

香りは、爽やかな果実を思わせる甘みと、「千寿」と同じような青竹を思わせる青々しさがあります。

口に含むと、グラスに注いだ時と同じような香りが口いっぱいに広がり、中盤にかけて穏やかな旨味がじんわりと広がっていきます。ただ、後口はドライでキレ抜群。「千寿」と同じ系統ですが、味わいは明確に異なるため、飲み比べてみるとおもしろいかもしれません。

◎商品詳細

  • 商品名:『久保田 百寿(ひゃくじゅ)』
  • アルコール度数:15%
  • 原料米:五百万石、新潟県産米
  • 精米歩合:麹米60%、掛米60%
  • 販売価格(税込):720ml・1,012円/1.8L・2,211円
  • 購入リンク:朝日酒造 ONLINE SHOP

『久保田 純米大吟醸』

久保田 純米大吟醸

−テイスティングコメント

今回飲み比べた「久保田」シリーズの中でもっとも強い甘みを感じました。

気分を高揚させてくれるような、甘やかで華やかな吟醸香が特徴です。ただ、過度な甘みではなく、中盤から余韻にかけては「久保田」らしいキレがあります。全体のバランスがすばらしい一本です。ラベルに『香り、甘み、キレが融合したモダンな純米大吟醸』との記載がありますが、まさにそのとおりですね。

◎商品詳細

  • 商品名:『久保田 純米大吟醸』
  • アルコール度数:15%
  • 原料米:五百万石
  • 精米歩合:麹米50%、掛米50%
  • 販売価格(税込):300ml・825円/720ml・1,672円/1.8L・3,630円 ※化粧箱なし
  • 購入リンク:朝日酒造 ONLINE SHOP

『久保田 紅寿』

久保田 紅寿

−テイスティングコメント

香りは穏やかですが、深みのある旨味と甘みが感じられます。

ベーシックな「久保田」と比べると、全体的に味わいに厚みがあります。飲み口は、きれいですっきりとしていますが、中盤から余韻にかけて、旨味を強く感じました。「久保田」シリーズの中では、旨口のタイプに分類されるかもしれません。

多少の複雑味があるため、燗映えもしそうです。「久保田」らしさもありつつ、これまでに飲んだ他の「久保田」とはまったく印象の異なる一本でした。

◎商品詳細

  • 商品名:『久保田 紅寿(こうじゅ)』
  • アルコール度数:15%
  • 原料米:五百万石、新潟県産米
  • 精米歩合:麹米55%、掛米55%
  • 販売価格(税込):720ml・1,650円/1.8L・3,641円
  • 購入リンク:朝日酒造 ONLINE SHOP

『久保田 碧寿』

久保田 碧寿

−テイスティングコメント

香りは「紅寿」と似ていますが、「碧寿」のほうが甘みの印象が少し強く、さらに、甘い香りの奥に栗のような香ばしさや土っぽさがありました。

飲み口は他の商品と同様になめらかです。中盤から終盤にかけて、野性味のある少し荒い旨味や甘みが感じられますが、それでも全体的にはきれいな味わいです。スパッとキレの良い後味ですが、中盤から終盤にかけての味わいには飲みごたえがあります。

◎商品詳細

  • 商品名:『久保田 碧寿(へきじゅ)』
  • アルコール度数:15%
  • 原料米:五百万石
  • 精米歩合:麹米50%、掛米50%
  • 販売価格(税込):720ml・2,453円/1.8L・5,533円
  • 購入リンク:朝日酒造 ONLINE SHOP

『久保田 スパークリング』

久保田 スパークリング

−テイスティングコメント

2021年4月に出荷開始した、「久保田」シリーズの新商品です。

スパークリング日本酒の中には、開栓に時間がかかってしまうものもありますが、簡単に開栓することができました。グラスに注いだ時の香りは、甘みの印象が強く、蜜のたっぷり入ったりんごのイメージです。

飲んでみると、泡が細かくやわらかいです。「久保田」らしいすっきりとした味わいがベースになっていますが、全体的に甘酸っぱい味わいで飲みやすく、食前酒にぴったりです。

◎商品詳細

  • 商品名:『久保田 スパークリング』
  • アルコール度数:12%
  • 原料米:五百万石
  • 精米歩合:麹米65%、掛米65%
  • 販売価格(税込):500ml・1,320円
  • 購入リンク:朝日酒造 ONLINE SHOP

『久保田 ゆずリキュール』

久保田 ゆずリキュール

−テイスティングコメント

果物系のリキュールの中には、甘みが強すぎてベタついた印象を受けてしまうものもありますが、「久保田 ゆずリキュール」は全体的にすっきりとしたドライな味わいで、淡麗辛口を特徴とする「久保田」シリーズの延長線上にあることがよくわかります。

フレッシュで爽やかな甘みだけでなく、ゆずの皮を思わせる心地良い苦味が特徴です。すっきりとした味わいを活かすために、ロックやソーダ割で楽しんでいただくのがおすすめです。

◎商品詳細

  • 商品名:『久保田 ゆずリキュール』
  • アルコール度数:9%
  • 販売価格(税込):720ml・1,430円
  • 購入リンク:朝日酒造 ONLINE SHOP

「久保田」10種類を飲み終えて

久保田飲み比べ

今回飲み比べた全商品に共通して感じられたのは、洗練されたクリアでなめらかな味わいとキレの良さでした。特に、編集部でテイスティングをした際、「久保田 千寿」の透明感とキレを再評価する声が多く、この商品が、淡麗辛口を代表する「久保田」のひとつの真骨頂なのかもしれません。

紹介した商品は、朝日酒造のオンラインショップや全国の酒販店で購入することができます。ぜひ、お気に入りの一本を探してみてください。

(文/SAKETIMES編集部)

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