日本酒の新容器「スマートパウチ®」を編集部が体験!—新潟県・菊水酒造が提案する、さらに豊かな日本酒生活【地方大手酒蔵の新たな挑戦】

近年の日本酒業界では、新しいトレンドが次々と生まれ、日本酒を取り巻く状況は目まぐるしく変化しています。

その中でも、日本酒の売上を長年支えてきた普通酒などの定番商品の落ち込みは激しく、特に地元を中心に定番商品で勝負してきた“地方大手”の酒蔵は、変革の時を迎えています。

SAKETIMESの連載「地方大手酒蔵の新たな挑戦」では、そんな“地方大手”の中で、変革の一歩として新しい取り組みをしている酒蔵を取材しています。

菊水酒造の外観

画像提供:菊水酒造

第3回は、新潟県新発田市の菊水酒造。全国のコンビニやスーパーで見かける、金色のアルミ缶の日本酒「菊水ふなぐち」でおなじみの酒蔵です。

日本酒の容器は、一升瓶や四合瓶をはじめとしたガラス瓶が一般的ですが、菊水酒造は新たな容器としていち早くアルミ缶を採用。さらに近年は、注ぎ口の付いたパウチ容器「スマートパウチ」に注力し、次世代の容器の可能性を探っています。

今回はそのスマートパウチに注目し、日本酒の新たな容器としてのメリットを紹介します。

アルミ缶日本酒のパイオニア!菊水酒造の新たな挑戦

菊水酒造の創業は1881年。代表商品の「菊水の辛口」は、新潟県の日本酒の代名詞である「淡麗辛口」を象徴するようなすっきりとした味わいで、地元だけでなく全国にファンをもっています。

1972年に日本初のアルミ缶入り生原酒として発売された「菊水ふなぐち」は累計出荷数量が3億本(2017年11月時点)を超えるロングセラー商品で、アルミ缶日本酒のパイオニアとして、現在も愛され続けています。

そんな菊水酒造が次世代の新たな容器として注目しているのが「スマートパウチ」。パウチとは、主にレトルト食品などをパッケージする際に用いられる、中身を密封できる袋のことです。

菊水酒造「スマートパウチ」

画像提供:菊水酒造

菊水酒造では、このパウチに「スマートタップ」という注ぎ口の付いた容器を採用し、2014年に「菊水白 スマートパウチ」、2016年に「菊水ふなぐち スマートパウチ」を発売しました。これらの発売は、従来の一升瓶の売上が低迷していたことがきっかけだったのだそう。

「一升瓶は重いうえに、家庭用の冷蔵庫には入れにくい。飲み終わった後に捨てるのも面倒で、現代の生活スタイルには合っていないのではないかと考えました。そこで、瓶に代わる新たな容器を探し始めたんです」(菊水酒造 研究開発部 宮尾俊輔さん)

そして見つけたのが、ワインの容器として流通していたフランス製の自立するパウチ。日本に取り寄せてお酒を詰めてみると、瓶のデメリットを解消してくれることがわかりました。宮尾さんによると、スマートパウチには、主に5つの利点があるそうです。

  1. 光や空気を遮断するため、最後の一滴まで新鮮なおいしさを維持することができる。
  2. 軽くて割れないため、持ち運びが簡単。
  3. 容量に対してコンパクトなサイズのため、家庭用の冷蔵庫にも入れられる。
  4. だれでも簡単に、好きな量を注ぐことができる。
  5. 飲み切った後は容器を丸めて、簡単に捨てられる。

「スマートパウチは光や空気を遮断するので、フレッシュなおいしさを最後の一滴までキープすることができます。開封しても、注ぎ口の特殊な構造によって、中身が空気に触れることはありません。1,500mLという大容量ですが、少しずつ飲んでも劣化しないので、好きな時に好きな量を楽しんでほしいですね」(宮尾さん)

菊水酒造「スマートパウチ」

画像提供:菊水酒造

注ぎ方も、注ぎ口に指を引っ掛けて上から軽く押すだけと簡単。宮尾さんによると、片手で簡単に操作できるため、キッチンスペースの近くに置いて料理酒としても使用するお客さんもいるそうです。また、液切れが良いという点も、この容器ならではの魅力と言えるでしょう。

さらに、当初は家庭での利用を想定していましたが、持ち運びやゴミ捨ての利便性から、キャンプなどのアウトドアシーンに活用するお客さんもいるとのこと。

菊水酒造「スマートパウチ」

画像提供:菊水酒造

実際にスマートパウチを購入したお客さんからは「この便利さを一度体験してしまったら、もとの一升瓶には戻れない」という声も届いています。特に新潟県内においては、すでに「菊水白」は一升瓶よりもスマートパウチのほうが売れているのだそう。新たな容器は、確実に広がってきています。

SAKETIMES編集長がスマートパウチを体験!

日本酒の新たな容器として、さまざまな利点を備えたスマートパウチ。そのメリットを体験すべく、SAKETIMES編集長の小池が、実際にスマートパウチを購入し、普段の生活に取り入れてみました。

最初に感じたのは、持ち運びやすさ。特に一升瓶の場合は、かばんからはみ出してしまうなど、持ち運びに苦労することがありました。しかし、スマートパウチはある程度の柔軟性をもった容器のため、他の荷物が入っているかばんにもすっぽりと収めることができます。瓶よりもずっと軽いため、体力的な負担も少ないと思いました。

帰宅したあと、少し冷やしてから飲もうと思い、スマートパウチを冷蔵庫へ。ここでも、パウチならではの収納のしやすさを感じました。四合瓶の日本酒はドアポケットに収納することが多いのですが、スマートパウチなら庫内の空いた場所に入れることができます。注ぎ口の位置を工夫すれば、冷蔵庫に入れたまま注ぐこともできそうです。

特に夏場は、ドアポケットに冷たい飲み物を入れることが多く、スペースが限られてしまうため、ドアポケット以外に収納できるのは、大きなメリットだと思います。もちろん、菊水酒造のスマートパウチのシリーズは、常温でもおいしく飲めるラインナップのため、必ずしも冷蔵する必要はありません。

さらに、スマートパウチの上部にある持ち手の部分をフックなどに引っ掛けることで、いつでも気軽に日本酒を飲める環境が整いました。飲み過ぎには注意しなければなりませんが、さながらウォーターサーバーのような感覚です。

写真はライターからの提供

実際に注いでみると、指先で軽く押すだけで簡単にお酒が出てきます。重い瓶を持ち上げて蓋を開けて、こぼさないように注いでいたことを考えると、とても楽になりました。小さめのおちょこで1〜2杯だけ飲みたい時にも、適量を出せるので便利です。

小池家では、友人や知人を集めたホームパーティーを行うことがありますが、そうした大人数が集まる場でも、スマートパウチは活躍するのではないでしょうか。それぞれが好きな量を楽しめるという点は、大きなメリットです。

些細なことかもしれませんが、不注意で瓶を倒してしまったり、蓋が見当たらなくなるというハプニングを防げることも、スマートパウチの利点だと感じました。

さらに後日、近くの公園や海岸に持ち出してみましたが、なんといっても持ち運びしやすく、外飲みのさまざまなシーンに寄り添ってくれる容器だと思います。持ち運びが便利なことで、日本酒を楽しむシーンが広がったような気がします。

飲み切った後のゴミ捨ても簡単で、プラスチックゴミとして廃棄できる点が魅力でした。小池が住んでいる地域では、瓶ゴミの回収が隔週のため、ホームパーティーの後などはしばらくの間、瓶ゴミが場所をとってしまうことがありましたが、プラスチックゴミであれば、毎週の回収に合わせて捨てることができます。

今回は、2人家族で2週間で1袋を飲み切りましたが、実際のお客さんの「一度体験してしまったら、もう戻れない」というコメントの意味を、身に沁みて感じました。

新たな容器で、生活をより豊かに

近年の日本酒業界に目を向けてみると、国内の瓶メーカーの事業縮小をきっかけとした瓶不足や、ヨーロッパ市場における瓶商品の輸入規制に対する懸念など、瓶という容器を取り巻くさまざな課題が出てきています。そのような状況を踏まえると、瓶以外の選択肢が増えていくことは、健全とも言えるでしょう。

約50年前、日本酒の容器にイノベーションを起こした菊水酒造。スマートパウチが当たり前の選択肢として広まるために、宮尾さんは「たくさんの酒蔵にスマートパウチの魅力を知ってほしい」と話します。

画像提供:菊水酒造

次世代の新たな容器として注目され始めている「スマートパウチ」。お店で見かけたら実際に手に取ってみて、新たな容器の可能性を体感してください。

(取材・文:渡部あきこ/編集:SAKETIMES)

※「スマートパウチ」は菊水酒造株式会社の登録商標です。

Sponsored by 菊水酒造株式会社

編集部のおすすめ記事

    PAGE TOP