日本酒好きが高じて、純米酒と懐石料理の店を営んで、ライターをやってます川村です。
私の日本酒の考え方やお店での取り扱いを簡単に伝えさせていただき、あなたの日本酒ライフがより楽しくなればと思ってます。
お店に日本酒を飲むときは、色々な銘柄を飲むのが楽しいですね。
特に新しい銘柄や飲んだ事がない銘柄を見つけるとワクワクしますね。
銘柄を変えて少しづつ飲んで楽しむ飲み方もいいですが、今回は1本の日本酒をもっと楽しめる方法をお伝えいたします。
以前伝えさせていただいた、
『みんなが知らない日本酒の秘密、教えます!実は「注ぎ方」で味わいが変化する!?』
『【まだあった!知られざる日本酒の秘密】注ぎ方で味わいを引き出すってどういうこと?
この2本の記事は注ぎ方の違いで1本の日本酒を楽しむ方法ですが、今回は『時』をテーマにさせていただきます。
同じ環境下でも味が違う!!?
実は、同じタンクから搾った日本酒が、味が違うのです。
知ってるよ!あらばしりや中取りや責めのことでしょ。
『あらばしり』は最初に出てくるお酒で、少しオリがあり荒々しいですが華やかでフレッシュ感を感じる味わいです。
『中取り』はあらばしりが終わると透明になり、香りや味わいのバランスがもっともいいと言われている部分です。
『責め』は中取りが終わると圧力をかけて搾る最後の部分です。雑味(私的には旨味)がありボディーを感じる飲み応えある部分です。
(蔵によって、あらばしりや中取りや責めを混ぜることもあります)
この搾りの違いも同じタンクで味が変わるのですが、今回はそのことではないのです。
例えば『中取り』が100本瓶詰出来たとします。
もちろん同じタンクから搾ったので同じDNA。さらに同じ味なのです。
しかし、瓶詰したときから味のバラつきが始まっているのです。
蔵で保管しているときは細心の注意を払っていると思うのですが、置いてる場所が少し違うだけで味が変わってくるのです。
それは、同じ空間に置いていてもです。
例えば、扉の近くに置いてるのと、奥に置いてるのでは若干環境が違うのです。
時がかける不思議な魔法
その若干違う環境が『時』を重ねると味の違いになるのです。
さらに、味のバラつきが加速するのは、蔵から出たときです。
配送の仕方や時間。酒屋での保管方法、さらにそこから飲食店での保管方法。
同じタンクから搾った同じDNAを持っているのですが、100本あれば100通りの味に変化しているのです。
それは、一卵性双生児の双子が産まれてすぐ、まったく違う環境で大人に育つと顔まで変わるのと同じことではないでしょうか。
この味のバラつきは『おいしい』『まずい』ではないのです。
同じ銘柄でも1本ごとに味が違うことを、知って頂くと楽しめます。
「違う店で飲んだけど、この店の味はどうかな?」という飲み方も面白いのです。
次に『時』をもう少し掘り下げてみます。
生まれたての赤ちゃんが10年経つと10歳になり小学4年生ですね。
見た目がまったく違うので、大きく育ったと誰もが思います。
それは、日本酒も同じことが言えます。
しかし日本酒の瓶は10年経っても変わりません。
(厳密には透明の瓶なら色が見え、また、ラベルの風化はあるかも知れません)
今日、見た日本酒の瓶と1年後に見た瓶、5年後に見た瓶、さらに10年後に見た瓶。
見た目は変わっていないのです。人間と違うので時が経っても大きくなりません(笑)
しかし中のお酒はどんどん変化しているのです。
最初の味わいから想像できない味に変わってる場合もあります。
私がよく想像するのは、日本酒の瓶が言葉をしゃべれるのなら・・・
『今、飲み頃やで~』とか『おッちょっと味が変わってきたで~』とか『まだやなぁ~』とか
言いたいのじゃないのかな? と思っています。
もちろん10年とか待たなくても味が変わっているので、先週行ったお店で、また同じお酒を飲んでみる。
先月行ったお店でまた同じお酒を飲んでみる。
味が変わることを意識して飲むと違いがより、分かるかと思います。
私は手に入れた日本酒を、保管や保存の概念はなく『育てる』といった感覚です。
『環境』と『時』を使って育てています。
その育てた日本酒は、『かわむらナイズド』と言って来店された方に楽しんで頂いてます。
今回のまとめ
○同じDNAを持ってる日本酒が環境が違うことで個々の味になっている。
○時がさらに味わいを変える。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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