「日本酒を飲みたいんだけどメニューを見てもわからない」
「甘口って注文したけど全然甘くなかった……」
飲食店でこんな経験をされた方もいるのではないでしょうか。少ない情報の中で自分好みの日本酒を選ぶのは、実は結構難しいものですよね。
その理由のひとつは、日本酒の味わいや表現が複雑なことです。
たとえば、同じお米や精米歩合でも味わいが違ったり、味の表現が人によって異なったりします。日本酒専門のサービスマンでも、最初からお客様のドンピシャの好みを当てるのは簡単ではありません。
今回は、日本酒初心者におすすめの「飲食店で自分好みの日本酒を注文するコツ」についてご紹介します。
注文のコツ1 : 甘さ・辛さを具体的に表現する
日本酒を注文するときに「甘口・辛口」という表現がよく使われますが、実はこの言葉には落とし穴があります。それは甘口・辛口といっても、さまざまな甘口・辛口があるということです。
一般的に、「甘口=sweet」とイメージする方も多いと思いますが、日本酒の甘口はそれとは少し違うのです。
日本酒の甘口とは糖の比重であって、砂糖を舐めたときのsweetな味のことだけを指すのではありません。もちろんsweetな日本酒もあるのですが、味わいはsweetでなくても、「アルコール度数が低め」で「香りがフルーティ」なものも甘口と表現したりします。
また、辛口というのも、体がカーッとなるような香辛料のようにスパイシーな味わいを辛口と言ったり、アルコール度数が高くて「ピリっ」と感じるものを辛口と表現する方もいます。
飲食店で注文する際は、たとえば「フルーツのように爽やかな甘い日本酒」など、甘さ・辛さについて具体的な表現することで、イメージが伝わりやすくなりますよ。
注文のコツ2 : アルコール度数を基準にする
次は、「アルコール度数」を基準に考えてみる方法です。
アルコール度数の違いは口当たりや飲みやすさ、酔いに大きく影響します。一般的な日本酒のアルコール度数は、15%前後のものがほとんどです。
ですが、最近では、ワインと同程度の12%前後のものや、10%以下の低アルコール日本酒も販売されています。普段飲みなれているお酒に近いアルコール度数の日本酒を選ぶことで、日本酒の「味わい」をより楽しむことができます。
注文のコツ3 : お店の名物料理に合わせる
日本酒の素晴らしさのひとつは、「料理との相性がよいこと」です。お米と水で醸された日本酒は料理によく合います。「飲むお米」と考えて料理との相性を楽しんでみましょう。
特におすすめの注文方法は、「お店の名物料理に合う日本酒」を尋ねてみること。日本酒にこだわる飲食店の名物料理は、お酒との相性を考えて作られていることが多いもの。"お店の顔"ともいえる名物料理だからこそ、おすすめの日本酒に合うように味付けがされていることが多いのです。
店主が自信をもっておすすめする料理と日本酒を頼めば、きっと日本酒の素晴らしさが感じられますよ。
注文のコツ4 : 「すっきり」「どっしり」という表現を使う
「すっきり」や「どっしり」といった味の厚みで注文するのもひとつの方法です。普段ワインを楽しむ方ならわかりやすい考え方かもしれませんね。
日本酒の味わいはとても複雑なので、名前やラベルの表記だけで選ぶと、「思ったのと違う!」ということもあります。それはそれで楽しいですが、できるだけ自分の好みに合ったお酒を選びたいですよね。
基本的に「すっきり」を頼めば、低アルコール系や、吟醸系など、口当たりなめらかなものや、後味が爽やかなタイプを選んでくれるでしょう。「どっしり」を頼めば、お米の旨みたっぷりの純米酒や、濃厚な無濾過生原酒など、味わい深くコクのあるタイプを選んでくれると思います。
初心者の方でも選び方のコツを知っておくことで、自分に合う日本酒に出会える確率が高まるはず。美味しい日本酒を飲んで、より心地よい時間を過ごしてくださいね。
(文/sake_shin)