新潟県で開催されている、国内最大級の日本酒イベント「にいがた酒の陣」。
酒蔵の軒数がもっとも多い新潟県のほとんどの酒蔵が出展し、過去には2日間で約14万人を動員するなど、たくさんの日本酒ファンから愛されているイベントです。2004年から開催され、2024年に20周年を迎えました。
2024年の「にいがた酒の陣」は、3月9日(土)〜10日(日)の2日間。各日、午前の部(10:00〜13:00)と午後の部(14:00〜17:00)に分かれ、各回4,000名が参加します。今回は、SAKETIMES編集部が初日の様子をレポートします。
新潟県の日本酒を味わい尽くそう!
「にいがた酒の陣」の会場は、JR新潟駅からバスで約15分の「朱鷺(とき)メッセ」。
会場に入ると、まずは試飲用のおちょこや和らぎ水などを受け取ります。
事前に販売された参加チケットは「A」「B」の2種類。Aチケットは指定席(イス有)、Bチケットは自由席(立食)となっています。
各回、試飲のスタートは開場の30分後ということで、開場の直後はイベント限定の商品を購入する行列ができていました。
特に長い行列ができていたのは、「満寿鏡」のマスカガミ(加茂市)と「あべ」の阿部酒造(柏崎市)。他の酒蔵のブースにも、会場でしか買えない商品が並んでいました。
試飲がスタートすると、会場の熱気はさらに高まります。
酒蔵ごとに個性のあるおもてなしで、参加者を迎え入れます。
金色の缶に入った日本酒「菊水ふなぐち」でおなじみの菊水酒造(新発田市)は、自社商品の着ぐるみを着たスタッフがお出迎え。数量限定・期間限定の新しい商品「菊水大吟醸生原酒ふなぐち」のお披露目も行われていました。
「越路乃紅梅」の頚城酒造(上越市)は、大きなおちょこを頭に載せたスタッフが接客してくれました。
加賀の井酒造(糸魚川市)は、おちょこをかざすと自動で日本酒を注いでくれるシステムを導入。蔵元に話を聞いてみると「お客さんとのコミュニケーションに、より多くの時間を使いたいから」とのこと。
さて、編集部も試飲していきましょう。
まずは、笹祝酒造(新潟市)の「笹祝 五年熟成生原酒」。生原酒ならではのパンチのある味ですが、長期熟成を経たまろやかな風味も感じられます。パンダをモチーフにしたラベルもかわいいですね。
「月不見の池」の猪又酒造(糸魚川市)のブースにも、目を引くデザインの日本酒が並んでいます。ラベルやボトルの第一印象で、直感的に選んでいくのもおもしろいかもしれません。
白瀧酒造(湯沢町)のブースでは、地元限定の銘柄「バックカントリー」が提供されています。「上善如水」のきれいな印象はそのままに、すいすいと飲める落ち着いた味わいで、思わずおかわりしてしまいました。
「越の誉」の原酒造(柏崎市)のイチオシは、新潟県産の食用米「こしいぶき」をあえてあまり磨かずに、精米歩合90%で醸した「90PINK」。無濾過生原酒らしい、ジューシーでボリュームのある味わいで、甘味と酸味を強く感じます。
新潟県の日本酒というと「淡麗辛口」のイメージがあるかもしれませんが、こうした新しい味わいの日本酒も増えてきているようです。
さらに、新潟県には、近年盛り上がりを見せている「クラフトサケ」の醸造所もあります。新潟市の「LAGOON BREWERY」は、果物やハーブなどを使用したお酒を造っています。
編集部が試飲したのは、新潟県産の洋梨「ル・レクチェ」をふんだんに使った一本。濃厚な甘味を感じますが、後味はさらっとしていて、飲みやすい味わいでした。
日本酒だけでなく、リキュールを提供している酒蔵もあります。編集部が気になったのは、宝山酒造(新潟市)の「たからやま お茶リキュール」。村上市で栽培された茶葉を使ったリキュールで、しっかりとした甘味がありながらも、緑茶の苦味が後味をさっぱりとさせてくれます。ホッと一息つける味わいでした。
王紋酒造(新発田市)は、大吟醸原酒を使用したハイボール(別料金)を提供。爽やかな一杯で、リフレッシュすることができました。
「八海山」の八海醸造(魚沼市)では、香りや味わいのイメージに合わせて「ツツジ」「ヤマユリ」「ハルジオン」という名前が付けられた「唎酒(りしゅ)」というシリーズの飲み比べ(別料金)を楽しむことができました。
編集部が特におすすめしたいのは、竹田酒造店(上越市)の「かたふね」。全国的な知名度はそれほど高くない銘柄ですが、地元を中心に根強いファンを抱えています。会場限定のうすにごりは、甘味と酸味のバランスが絶妙で、完成度の高い味わいでした。
「にいがた酒の陣」の魅力は、食にもあり!
各酒蔵の日本酒を少しずつ試飲するのも楽しいですが、お気に入りの日本酒を購入して、おつまみといっしょに味わうのも「にいがた酒の陣」の楽しみのひとつです。
酒蔵のブースだけでなく、料理やおつまみのブースも充実しています。どれも日本酒に合うものばかりです。
会場で特に人気があったのは、加島屋のおつまみセット。2種類のセットが販売され、さけといくらの麹漬や貝柱のうま煮、焼き牡蠣のオイル漬、いかの赤作りなど、日本酒が思わず進んでしまう酒肴が4種類ずつ入っています。
また、おつまみは各ブースだけでなく、駅弁スタイルで会場を回るスタッフからも購入できます。
物販ブースでは、おちょこを首から提げられるアイテムの販売もありました。これがあれば、より快適に試飲できそうですね。
酒蔵ブースでオリジナルのグッズを販売しているところもあるので、注目してみてください。
推しの銘柄をとことん味わったり、まだ出会ったことのない銘柄を探したり、料理やおつまみとのペアリングを楽しんだり......参加者のみなさんは、それぞれの楽しみ方で「にいがた酒の陣」を満喫している様子でした。
「にいがた酒の陣」は、本日(3月10日)も開催されます。新潟県の日本酒を楽しみ尽くしましょう!