全国のコンビニやスーパーで見かける、金色の缶に入った日本酒「菊水ふなぐち」。新潟県の菊水酒造が1972年に発売し、たくさんのファンから愛されてきた、新潟県を代表するロングセラー商品のひとつです。

そんな「菊水ふなぐち」シリーズに、数量限定・期間限定の新商品「菊水大吟醸生原酒ふなぐち」が加わります。シリーズ初となるこの大吟醸酒は、2024年3月9日(土)〜10日(日)に新潟市で開催される日本最大級の日本酒イベント「にいがた酒の陣」でお披露目され、3月中旬から、全国の販売店に順次出荷されます。

菊水酒造の担当者によると、「菊水ふなぐち」の大吟醸酒を造るのは、今回のみとのこと。予約受付はすでに終了し、追加生産の予定はないそうで、このラインナップがそろうのは、本当に今だけなのです。

全国出荷の開始に先立って、SAKETIMES編集部は、この「菊水大吟醸生原酒ふなぐち」をいち早く試飲する機会を得ました。他の定番商品・季節商品とともに、今しかない「菊水ふなぐち」のラインナップを飲み比べます。

「菊水ふなぐち」は、日本初の缶入り生原酒

「菊水ふなぐち」の特徴は、火入れと呼ばれる加熱殺菌や、アルコール度数を調整するための加水をしない「生原酒」であること。生原酒はデリケートで品質管理が難しく、かつての設備や容器では、一般流通は難しいと言われていました。

しかし、酒蔵見学などで菊水酒造を訪れたお客さんは、現地でしか味わえないフレッシュな生原酒を試飲すると必ずおかわりしたそうで、商品化を熱望する声が多く寄せられていたのだとか。

菊水ふなぐち

お客さんの要望に応えるため、菊水酒造は生原酒の商品化に挑戦します。何度も試作を繰り返し、3年という開発期間を経て、1972年に「ふなぐち菊水一番しぼり」が発売。日本初の缶入り生原酒(※) が誕生した瞬間でした。

2022年には発売50周年を迎え、商品名を「菊水ふなぐち」に変更。さらに、登録商標の「ふなぐち」を強調したデザインに一新しました。酒蔵でしか味わえなかった搾りたての美味しさが気軽に楽しめるという魅力は、半世紀の時が経っても色あせることなく、熱烈なファンを全国に抱えています。

※株式会社コミュニケーション科学研究所による調査(2010年1月)

定番の「菊水ふなぐち」とは異なる上品な風味

それでは、数量限定・期間限定の「菊水大吟醸生原酒ふなぐち」を飲んでみましょう。

フルーティーでフレッシュな味わいは、他のラインナップと変わりませんが、定番の「菊水ふなぐち」と比較すると、甘味が落ち着いていて、全体的に上品な印象です。シリーズの中では軽快な風味で、穏やかな甘味の余韻が心地良く、リッチなひと口を楽しむことができます。

◎商品概要

  • 商品名:菊水大吟醸生原酒ふなぐち
  • 原材料:米、米こうじ、醸造アルコール
  • 原料米:新潟県産米100%使用
  • 精米歩合:50%
  • アルコール分:19度
  • 容量:200mL

その他の定番商品・季節商品も飲み比べました!

菊水ふなぐち

「菊水ふなぐち」は、2017年11月に累計出荷本数が3億本(※)を超えたという「菊水ふなぐち」シリーズの定番商品。

ジューシーで瑞々しい果実を思わせるフレッシュ感とボリュームのある旨味は、生原酒ならではの味わい。ほど良い酸味とアルコールの爽やかな苦味も感じられます。フルーティーな甘味の余韻が長く続きますが、後口のキレが良く、すっきりとした印象です。

※1972年10月〜2017年11月の「ふなぐち菊水一番しぼり」(200mL缶)の国内出荷量

◎商品概要

  • 商品名:菊水ふなぐち
  • 原材料:米、米こうじ、醸造アルコール
  • 原料米:新潟県産米100%使用
  • 精米歩合:70%
  • アルコール分:19度
  • 容量:200mL

菊水 薫香ふなぐち

醸造アルコールの代わりに、酒粕から造られた香り高い焼酎を添加した「菊水 薫香ふなぐち」。

ふくよかな旨味を感じる生原酒の味わいに、甘酒を思わせるような、酒粕独特の旨味や甘味が加わり、通常の「菊水ふなぐち」よりも飲みごたえがある印象です。豊かなコクのある味わいとともに、シリーズに共通するフルーティーなフレッシュさも充分に感じられます。

◎商品概要

  • 商品名:菊水 薫香ふなぐち
  • 原材料:米、米こうじ、粕取焼酎
  • 原料米:新潟県産米100%使用
  • 精米歩合:70%
  • アルコール分:19度
  • 容量:200mL

菊水熟成ふなぐち

定番の「菊水ふなぐち」を酒蔵で1年間熟成させた「菊水熟成ふなぐち」。

ドライフルーツのような凝縮した甘味、ビターチョコレートのような香り高い苦味、ナッツのような油脂感のある旨味など、さまざまな要素が複雑に絡み合った熟成香を強く感じます。しかし、熟成感がありながらも、生原酒のフレッシュでフルーティーな印象もある、絶妙なバランスの一本です。

◎商品概要

  • 商品名:菊水熟成ふなぐち
  • 原材料:米、米こうじ、醸造アルコール
  • 原料米:新潟県産米100%使用
  • 精米歩合:55%
  • アルコール分:19度
  • 容量:200mL

菊水新米新酒ふなぐち

毎年、秋に収穫されたばかりの新米を使って造られる、冬季限定の「菊水新米新酒ふなぐち」。

フルーティーでフレッシュな味わいはそのままに、若草を思わせる、青々しく爽やかな風味が特徴です。他のラインナップと比べて、甘味よりも旨味の印象が強く感じられ、後口はふくよかな旨味が持続します。キレの良い味わいで、全体の印象はさっぱりとしています。

◎商品概要

  • 商品名:菊水新米新酒ふなぐち
  • 原材料:米、米こうじ、醸造アルコール
  • 原料米:新潟県産米100%使用
  • 精米歩合:55%
  • アルコール分:19度
  • 容量:200mL

菊水ふなぐちスパークリング

「菊水ふなぐち」シリーズ初の発泡性日本酒として、2019年に発売された「菊水ふなぐちスパークリング」。

通常の「菊水ふなぐち」に炭酸ガスが充填され、フレッシュ感がより強調されています。きめ細かい泡の舌ざわりが心地良く、弾けるような味わいです。他のラインナップと比べて酸味の印象が強いため、カットレモンなどのフルーツを加えるアレンジもおすすめです。

◎商品概要

  • 商品名:菊水ふなぐちスパークリング
  • 原材料:米、米こうじ、醸造アルコール、炭酸ガス
  • 原料米:新潟県産米100%使用
  • 精米歩合:70%
  • アルコール分:19度
  • 容量:270mL

「菊水ふなぐち」シリーズの全ラインナップを飲み比べてみると、すべてに共通する魅力は「フレッシュでフルーティーな甘味」と「飲みごたえのある旨味」。新たに加わった「菊水大吟醸生原酒ふなぐち」は、その中でも特に上品な風味で、これまでの「菊水ふなぐち」シリーズにはなかった味わいです。

3月9日(土)・10日(日)の「にいがた酒の陣」に参加される方は、この「菊水大吟醸生原酒ふなぐち」を、ぜひ味わってみてください。

(文/SAKETIMES編集部)

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