熟成された日本酒に「飲みにくい」「クセがある」などのイメージをもっている人は少なくないかもしれません。しかし、日本酒を熟成させることで、まったく異なる味わいが表出し、新酒とはまったく異なる美味しさを堪能できるのです。

熟成にはさまざまな方法がありますが、今回紹介する「Madena」はとても独特な手法で造られています。

本日のお酒は「一ノ蔵 Madena」

Madenaのボトル

宮城県の一ノ蔵が造る「Madena」は、ポルトガルのマデラワインに魅了された当時の社長が、酒精強化ワインのような日本酒を造ろうと開発し完成させた、"酒精強化日本酒"です。

「酒精強化」とは、醸造の過程でアルコールを添加してアルコール度数を高めること。酵母が糖分を分解することによってアルコールが生成されますが、その途中でアルコールを添加し、酵母の働きを止めることで、糖分が分解されずに残ります。

つまり、どのタイミングでアルコールを添加するかによって、糖分の量を調整できるのです。

「Madena」は酒精強化ワインであるマデラワインの製法を応用し、醪に米を原料とするアルコールを添加をしています。さらに、地元・大崎市にある鳴子温泉郷の温泉熱を利用して酒を加温し、その後、自然の温度で3年以上も熟成させる「加温熟成」という特殊な造り方を採っています。

Madenaが注がれたグラス

「Madena」は、常温で飲むのがおすすめ。見た目は熟成酒らしい琥珀色です。香りはスッキリとした爽やかな酸味とアルコール感が混ざり合っています。

口当たりはとろりとしていて、カラメルのような甘味とドライフルーツのような凝縮感のある深みが印象的。さらに、しっかりとした甘味が口いっぱいに広がり、まろやかな酸味を残した余韻はとても美しいです。バランスが良く、とてもきれいな味わいでした。

熟成酒のファンはもちろん、まだ飲んだことのない人にもおすすめできる一本です。

熟成酒にはチーズやナッツを合わせるのが定番ですが、とてもきれいでバランスが良いので、今回は焼売とのペアリングを考えました。

干し舞茸入り焼売

<材料>10〜15個

  • 干し舞茸......50グラム
  • 豚ひき肉......200グラム
  • 生姜......1かけ
  • 玉ねぎ......1/2かけ
  • オイスターソース......大さじ1
  • 醤油......大さじ1/2
  • コショウ......少々
  • 焼売の皮......10~15枚
  • 片栗粉......10グラム

干し舞茸

干し舞茸は、舞茸を風通しの良い場所でカラカラになるまで干したもの。旨味がギュッと凝縮しています。スーパーなどで手に入る干し椎茸でも代用可です。

<作り方>

1. 干し舞茸は水で戻し、みじん切りにする。

2. 玉ねぎと生姜をみじん切りにし、片栗粉を絡める。

玉ねぎのみじん切り

3. 2に1と豚ひき肉、オイスターソース、醤油、コショウを入れてよく混ぜ合わせる。

4. 焼売の皮に3を詰めていく。

焼売を作っている途中

5. 蒸し器に並べ、強火で7~8分、火を通す。

出来上がった焼売

しっかりと味が付いているので、醤油などは添えずにそのままでいただきましょう。蒸し立ての食欲をそそる香りがたまりません。

豚肉の脂、干し舞茸の風味、オイスターソースのコクがドライフルーツを思わせる「Madena」の味わいと口の中でひとつになりました。

寒くなるこれからの季節には、身体を温めてくれる料理がぴったり。蒸し立ての焼売と「Madena」で、冬の食卓を彩ってみましょう。

(文/まゆみ)

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