EXILEを筆頭に、多くのアーティストや俳優、アスリートなどが所属する「LDH JAPAN」。事業内容はアーティストのマネージメントや企画製作のみにとどまらず、さまざまなグループ会社が独自に展開されています。
そのなかのひとつで、飲食関連の事業を行う「LDH kitchen」が進める「LDH kitchen WALKABOUT 47. JAPAN」は、全国各地の優れた食材やその生産者、日本酒の造り手をはじめとする職人がコラボレーションして、地域の魅力を多くの人たちに知ってもらおうというプロジェクトです。
今回は「龍勢」を醸す、広島県・藤井酒造とコラボした第4弾の様子をお伝えします。
11月下旬、中目黒の蕎麦ダイニング「錦織」にて、広島の地酒「龍勢」と地元に縁のある食材を使った料理のペアリングイベントが開催されました。そこでは、7月の豪雨災害から復興に向かう藤井酒造の6代目・藤井義大氏と、参加者が交流を深めました。
藤井酒造の創業は1863年。当時から続く銘柄「龍勢」は、全国清酒品評会の第1回にて、日本一の栄誉に輝きました。創業以来、米と米麹のみによる全量純米にこだわり続けています。
「龍勢」の特徴は、軟水を使用することによる口当たりの優しさと、米の旨味をしっかりと引き出した濃醇で辛口な味わいです。料理と合わせたときにちょうど良い濃さになるように、酒質を設計しているのだそう。
それでは、料理とお酒のペアリングを紹介していきます。
「純米大吟醸 八反陸拾」× 「蕎麦豆腐の揚げ出し」
最初のお酒は、広島県の酒米「八反35号」を原料としています。熟成によって出てくる旨味と、シャープなキレ、味のふくらみが特徴です。
自家製のそば粉、本葛、豆乳を練り上げた蕎麦豆腐はとてもまろやかで、先付けとして最適な料理でした。
「純米大吟醸 別格品 生酛仕込み」「純米大吟醸 ゴールドラベル 生酛仕込み」× 「峠下牛のロースト 松露のせ」「瀬戸内鮮魚のお造り」「広島菜の漬物」「鱧小吸椀」
続いて出てきたのは、伝統的な製法「生酛造り」のお酒が2種類。手間をかけているぶん、力強いテイストになっています。酸味が強く、かつコクがあり、一般的な大吟醸タイプにはあまりない味わいです。
「別格品」は酸味が特徴的で、こちらも力強さを感じました。藤井氏によると、熟成させることで旨味が増したそうで、刺身や漬物といっしょに味わうと、お酒のキレと相まって心地良いです。また、酸味が強いので、牛肉との相性も抜群でした。
「ゴールドラベル」はぬる燗で。旨味がじんわりと広がっていきます。こちらは、料理を組み合わせることで、その味わいをさらに深めてくれる印象でした。同じ料理でも、合わせるお酒によって、まったく異なる表情が見られました。
「冷やおろし 山田錦」× 「秋鮭の瀬戸内レモン蒸し」
ひと夏を越えて熟成させた「ひやおろし」のお酒を、あえて常温で提供しました。藤井氏が「穏やかでふくよか」と表現するお酒に合わせるのは、旨味の強い秋鮭です。
飲んでみると、やや辛口でいながら優しい味わい。秋鮭の旨味が際立ち、見事なペアリングでした。
「特別純米酒 生酛備前雄町」× 「瀬戸内豚の塩麹焼き」
こちらも生酛造りのお酒。日本最古の酒米と言われる岡山県の「雄町」を使用しています。およそ2年にわたって熟成させた一本は熱燗で提供されました。熟成感が強く、味噌ベースのソースと相性抜群でした。
塩麹を使うことでやわらかくなった豚肉は、香ばしさを出すためにしっかり焼かれ、お酒と料理の相乗効果が生まれていました。
「特別純米 夜の帝王」× 「太刀魚の天婦羅とせいろ蕎麦」
藤井氏によると、「夜の帝王」という独特な名前の由来は「父の若い頃のあだ名からきているかもしれない」とのこと。「帝王は優しくあるべき」という父の口癖のとおり、とても優しい味わいです。
締めの食事は蕎麦ダイニングらしく、旨味の強い新そば。「夜の帝王」との優しいペアリングに、参加者は頬を緩ませていました。
「宝寿 大吟醸 平成元年仕込」× 「バニラアイス カカオソース」「キウイフルーツ」
コースの締めくくりは、平成元年に仕込んだ古酒で、時間の経過によって生まれる味わいを堪能。お酒の深い甘味とキウイフルーツの組み合わせに驚かされました。
料理長に話を伺うと、「藤井酒造のお酒は、時間を惜しまずていねいに造られているので、私たちも負けないように、ていねいに作ることを心がけました」とのこと。
今回のイベントには、若い女性の姿が多く見られました。話を聞いてみると「LDHのファンですが、これが他のお酒だったら参加しなかったと思います。日本酒のことを学びながら飲めるのが楽しい」「ペアリングの魅力を実際に体験することができました」など、心から楽しんでいる様子でした。
「LDH kitchen」でエリアマネージャーを務める加藤雅一氏によると、イベントをきっかけに、会場の店を再訪するファンも多いのだとか。「たくさんの人が、プロジェクトを通して日本酒を好きになっています」とのこと。
若い女性が中心の客層に蔵元も驚き!
各テーブルで「龍勢」を堪能する参加者と積極的に交流していた藤井氏。最後に、今回の感想を話してくれました。
─ 広島のお酒の特徴はなんでしょうか?
いろいろなタイプのお酒があることですね。山、川、海......自然が豊かなぶん、個性のあるお酒が多いと思います。なかでも、うちのような沿岸部にある蔵の日本酒は、水が軟らかいので、口当たりの良いお酒になるのが特徴です。
─ 今回のイベントはいかがでしたか?
料理とのペアリングに特化した日本酒イベントは、これまでほとんど経験したことがありませんでした。いつものイベントとは客層がまったく違って、とても新鮮でした。若い女性の方々が大半で、それぞれの反応を見ていて楽しかったですし、率直な意見を聞くことができてありがたかったですね。
うちでは、日本酒は食とともにあるべきだと考え、料理といっしょに楽しんでもらえる食中酒にこだわっています。料理と合わせることで新しい発見があるようなイベントを、今後も開催していきたいです。
復興に向けて
7月の豪雨災害で、約6,000本のお酒が被害を受けた藤井酒造。しかし、例年から遅れているものの、酒造りはすでに再開し、順調に進んでいるとのこと。これから、新酒が順次出荷されていくそうです。
天災に負けることなく復興へ向かう「龍勢」を応援していきましょう。
◎店舗情報
- 店名:錦織
- 住所:〒153-0042 東京都目黒区青葉台1-23-4 グランベル青葉台2F
- ランチ: 11:30 - 15:00 (L.O. 14:30)
- ディナー : 18:00 - 23:30 (L.O. 22:00)、土日・祝 : 11:30 - 23:30 (L.O. 22:30)
- 定休日 : 月曜日
- 電話番号:03-6452-4725 / FAX : 03-6452-4726