名古屋からJRと明知鉄道を乗り継いでおよそ1時間半。NHK連続ドラマ小説「半分、青い。」のロケ地にもなった岐阜県恵那市に、200年以上続く老舗酒蔵の岩村醸造があります。

地元の酒米・ひだほまれを使った代表銘柄「女城主」でも知られる岩村醸造で、毎年2月ごろに開催される蔵開きに参加してきました。

約800年前から続く岩村城の城下町

ドラマの雰囲気そのままの商店街

岩村醸造は、日本100名城にも選ばれた岩村城の城下町・岩村町で、1787年に創業しました。代表銘柄「女城主」の由来にもなっている岩村城は、織田信長の叔母である"おつやの方"が女城主として治めていたお城。日本100名城のひとつにも選ばれています。

現在残っているのは城跡のみですが、城下町そのものは重要伝統的建造物群保存地区になっています。

そんな情緒あふれる町で毎年2月の日曜・祭日に開かれるイベントが、できあがったばかりの新酒をお披露目する「岩村醸造の蔵開き」です。

なんと今年で43回目の開催。地元の方々だけでなく県外の日本酒好きにも有名で、多い日は1,000人以上が来場するのだとか。今年も連日大にぎわいでした。

入場料はワンコイン、破格の500円!

格安な岩村醸造の蔵開き

会場に到着したら、まずは入り口で女城主のロゴが入ったお猪口とお買い物券がついた入場券を購入します。料金はなんと500円。女城主のお猪口持参なら400円になります。この入場券は、1,000円以上の買いものをすると400円割引券として使えます。

5種類の新酒とこの日だけの直詰めタンク酒

大盛り上がりの会場内

今年は5種類の日本酒が用意されました。いずれも菰樽(こもだる)から直接すくって試飲することができました。お酒は身体と相談しながら適度に嗜むのがルール。飲みすぎには注意ですね。

女城主 新米一番搾り

岩村醸造の新米一番搾り

岐阜の酒米「ひだほまれ」の新米を使った、できたばかりの一番搾り。落ち着いた吟醸香と、まろやかな味が飲み飽きないお酒です。

ゑなのほまれ 生原酒

岩村醸造のえなのほまれ

女城主シリーズとは別に、昔からあるブランド「ゑなのほまれ」の生原酒です。ひだほまれの濃厚な甘さのあと、スッキリと後を引く美味しさ。原酒なのでややアルコール感が強めです。

女城主 生にごり酒

女城主の生のにごり酒

品質管理が難しく、なかなか市場には出回らない貴重なお酒です。ピリピリとした微発泡感が残る生のにごり酒ながら、少し辛口でキレの良い後味が特徴です。

女城主 樽酒

女城主の樽酒

杉の香りが芳しく、さらっと飲めるお酒です。蔵開きならではの風味にお客さんが集まります。

女城主 純米おりがらみ

女城主の純米おりがらみ

こちらは「女城主」で初登場の純米生原酒。ひだほまれを使った甘さと華やかな香りのバランスが良いお酒です。うっすらとおりが見え、後口はスッキリ。

特別な直詰めタンク酒

タンク酒

1日に4回配布される整理券を手に入れて購入できるタンク酒。開催日毎に販売されるタンク酒も変わるとのことで、この日は3日前に搾ったばかり特別純米酒でした。

社長の渡會さんと娘さんが、1本ずつ目の前で瓶詰めをしてくれました。

岩村醸造の渡會さん

試飲すると華やかな金木犀やグリーンを思わせる香りで、味のノリも良くボリュームを強く感じました。

社長イチ押しの飲み方をうかがうと、「ワイングラスのような形状のグラスだと、より香りを楽しめてオススメです。苦味が強めなので、青身魚のお寿司なんかを合わせると、生臭みを取ってくれて美味しく召し上がっていただけます。」とのことでした。

お酒以外にも見どころがいっぱい!

蔵人が案内してくれる

蔵見学は午後から。蔵人たちも今日ばかりは仕事を休んでタンクや麹室の前で待機し、蔵のことやお酒の造り方をていねいに説明してくれました。

杜氏が搾り機の説明をする

蔵の一番奥では、杜氏が搾り機の説明中。機械の構造や普段の作業の手順を解説してくれます。先日搾ったばかりの板粕に触れたりと、お客さんも興味津々の様子でした

BARも特設される

試飲会場の外には特設のSAKE BARも。美女ふたりが、純米大吟醸のスパークリング酒やあま酒を使ったソフトクリームを販売していました。

地元に愛された酒蔵ならではの蔵開き

おつまみも販売されます

試飲を続けると小腹が空いてきました。場内はおつまみ厳禁ですが、酒蔵の外にある商店街では食べ物の出店があり、まるでお祭りみたいな雰囲気。

みそおでんや串カツといった定番ものから、チョリソーやスモークチーズといったおしゃれなもの、地元の美味しい厚揚げに、どれも試飲でおつまみが欲しくなった舌には目移りしてしまうほど美味しそうです。

入場券の半券があれば何度でも会場に出入りできますから、おつまみの調達も簡単です。岩村醸造ならではの地域に根付いた仕組みですね。

カキの飛島さんのガンガン焼き

牡蠣のガンガン焼き「カキの飛鳥」

三重県鳥羽産の牡蠣のガンガン焼きも人気でした。

ネギ味噌五平餅

ネギ味噌五平餅「みはら」

地元を代表する郷土料理・五平餅も、もちろんありました。

岩村醸造が醸す女城主

蔵開き以外でも、事前に連絡すれば蔵見学が可能だそうです。「半分、青い。」のロケ地めぐりをしながら、最後に美味しい日本酒をいただくのも良いですね。

町をあげて盛り上がる岩村醸造の蔵開き。次回の開催は来年の2月ごろになりますが、気になる方は今から旅の準備をすすめてみてはいかがでしょうか。

(文/spool)

◎見学ツアー情報

この記事を読んだ人はこちらの記事も読んでいます