"100年誇れる1本を。"をテーマに掲げる、最高級日本酒ブランド「SAKE100(サケハンドレット)」。
全国トップレベルの技術と独創性をもつ酒蔵とともに、その蔵でしか造れない未来にあるべき価値をもつ日本酒をつくりあげています。
SAKE100のラインナップは、「IWC2019 ゴールドメダル」に加え、「KuraMaster 純米大吟醸酒部門プラチナ賞」を受賞したフラッグシップ商品「百光 -byakko-」。 耕作放棄地となっていた水田を開墾し、その土地で育てた酒米を使って醸した純米酒「深豊-shinho-」。累乗仕込みにより、蜜を思わせる甘美な味さをもつデザートSAKE「天彩-amairo-」の3銘柄です。
そしてこの度、SAKE100の新たな商品が発売されました。
第4弾商品の名前は、『現外 -gengai-』(以下、『現外』)。内容量500mlで価格が15万円という最高級日本酒です。日本酒としてはかなり高価格であるにも関わらず、先行予約販売分は販売開始から12時間で完売したという『現外』の発表会の様子をお伝えします。
誕生のきっかけは阪神淡路大震災
1995年1月17日、震度7の大都市直下型地震が近畿地方を襲いました。日本中に衝撃が走った阪神淡路大震災です。建造物の倒壊や大規模な火災、それら甚大な被害の記憶は未だ薄れることがないでしょう。
兵庫県に蔵を構える沢の鶴酒造も大きな被害を受け、守衛1名、蔵人2名が亡くなられたといいます。震災から2日後、状況確認のため蔵に入り、躍起になって片付けていた時に見つけたのは、幸運にも無事に残っていた日本酒のもとである酒母タンクでした。
しかしながら、震災直後の状況のなかで、その酒母で酒造りを続けることはほぼ不可能。そのため仕方なく酒母のまま搾らざるを得ませんでした。ただ、搾りの作業も、先に商品化できる醪タンクが優先。生き残っていた酒母タンクは一番最後に搾られれ、ひとまず貯蔵することにしたのです。
震災を乗り越えて酒母から直接搾られたお酒は、毎年テイスティングが行われました。本来搾られるべきタイミングで上槽されたお酒ではないので、最初は酸が高く、とても飲める状態ではありません。テイスティングといっても、それはつまり、味をみるというよりも腐敗していないかどうかを確認するための作業でした。
この酒は、商品化されることなくタンクで眠り続けるはずの酒でしたが、実は驚くことに、ここ数年で酸が減り、酒としてのバランスが良くなる現象が起きていたのです。
熟成酒の概念を覆す酒
ちょうどそのころ、株式会社Clearの生駒代表が、沢の鶴酒造へ訪問する機会がありました。
貯蔵されていた例のお酒を試飲したところ、生駒代表は、この酒を高く評価します。ちょうど「SAKE100」新商品として、熟成酒についてリサーチを行っていた時期でした。
阪神淡路大震災のあの日、杜氏と蔵人が思った「ただただ、残しておきたい」という感情。コストがかかるのを承知でその思いを汲み貯蔵し続けることを決断した社長。そして、この酒母を搾ったお酒に新たな価値を見出した生駒代表により、震災から24年の月日を経て、『現外』が誕生したのです。
「いま、世界が日本酒に注目していて、高価格な日本酒の輸出も増加しています。上質な酒を嗜む方が増えている現代において、現外はストーリー、品質、熟成年月、味わいの変化、どの点から見てもまさに上質で熟成酒の概念を覆すお酒です。SAKE100の活動全般が日本酒業界を底上げしていくんだ、という気持ちをさらに強めさせてくれるような商品が誕生しました」と、株式会社Clearの生駒代表。
「このお酒について、こうして商品となったことすら驚きです。"製造途中の狙っていないタイミングで、仕方なく酒母を搾った結果生まれた熟成酒"という感覚があり、沢の鶴社内では価値を正当に評価することができませんでした。
商品化にあたって、このお酒を改めて捉えてみると、商品の背景にある事柄や、長い年月を感じさせる味わい含め、申し分ないものでした。震災のこと、この24年間のことに思い入れのある方に封を開けて貰えたら嬉しいですね。」と、沢の鶴酒造マーケティング室の宮崎さん。
料理と合わせて完成する『現外』にしかない味わい
24年という歳月によってもたらされた奇跡の1本、『現外』その風格は、光沢のある美しいアンバー色の外観から感じとることができます。輝く液面から立ち上る香りは、カラメルのような甘味、ビターチョコレートのような苦味、そしてアーモンドのようなロースト感にスパイシーな印象がアクセントとなった、複雑でいて豊かな香りです。
甘味・酸味・苦味・旨味が一体となった凝縮感を充分に味わいながら、口づけから余韻が消えていくまで、透明感すら覚える上質な体験が続きます。
今回の発表会では、『現外』と料理のマリアージュを体験してもらうために、「フォアグラのテーリーヌ」と「子羊の現外煮込み」の2品が提供されました。
シェフや飲食関係者が数多く参加していた今回の発表会。ペアリングの感想を聞いてみると、「料理の余韻と何でも結びつく味わい。酒にスキがなく、脂っぽいものも全てを覆し、現外ワールドに持っていかれる」「自分の店だったらこういう料理と一緒に出そうと想像し、閃くほどのポテンシャルのあるお酒だった」と、絶賛の声が多く聞かれました。
「他に類のない酒」と断言する飲食店店主は、「甘くないので甘い食材と合い、高い酸で脂を切る役目をし、熟成香でスモークと合う。ワインでもできない、日本酒でもできないペアリングがこの酒ならできると思います。料理と一緒に味わうことでより一層、完成するものですね」と話し、『現外』から新しいペアリングのヒントを貰ったと話してくれました。
感動的なストーリーがあり、そしてその衝撃的な味わいに、シェフたちも納得。『現外』を口にしたすべての人が驚きと感動を得られるお酒だと思います。この『現外』によって、また新しい日本酒の世界が開かれたのではないでしょうか。
(文/まゆみ)
◎商品概要
- 商品名:「現外 -gengai-」
- 製造元:沢の鶴株式会社(兵庫県)
- 熟成期間:24年間
- 内容量:500ml
- 価格:150,000円(税込・送料別)
- 販売本数:2019年は限定100本
- 購入方法:「SAKE100」のECサイト限定で販売