2024年8月、東京・銀座に新潟県のアンテナショップ「銀座・新潟情報館 THE NIIGATA」がオープンしました。
その2階にある「新潟清酒・THE SAKE Stand」は、日本酒を中心に約300種類もの新潟酒を取りそろえています。県外では見かける機会の少ない珍しい日本酒を購入できるだけでなく、試飲スペースでは約40種類の新潟清酒を飲み比べることができます。
そんな「新潟清酒・THE SAKE Stand」に、SAKETIMES編集部が訪問。どんな日本酒体験ができるのでしょうか。
東京にいながら新潟の魅力を堪能
東京・銀座の銀座中央通りから一筋西にある、すずらん通りにオープンした「THE NIIGATA」。
新潟県のアンテナショップといえば、表参道にあった「表参道・新潟館ネスパス」が知られていましたが、こちらの店舗は26年間の営業を終了し、2023年12月に閉館。新潟県の魅力を伝える新たな拠点が、この「THE NIIGATA」です。
入口の横にあるショーウィンドウには、徳利やおちょこがデザインされた装飾や、大きな酒瓶がディスプレイされ、ガラス越しに見える店内の様子と合わせて、ふらりと立ち寄りたくなるような外観です。
1階は新潟県の特産である米をはじめ、野菜や果物、魚介類、肉類、菓子などの新潟グルメが充実。魚沼産のコシヒカリを使ったおにぎりのテイクアウトショップ「THE ONIGIRI・Ya」もあります。
そして2階にあるのが、日本酒好きならぜひ訪れたい「新潟清酒・THE SAKE Stand」。日本酒だけでなく、クラフトビールやワイン、焼酎などの新潟県のお酒が壁一面に並び、おつまみや工芸品なども購入できるほか、日本酒の有料試飲も提供されています。
地下1階には新潟県が運営する移住相談窓口、3階にはイベントスペース、そして8階には新潟県燕三条を本拠地とするイタリア料理店「THE NIIGATA Bit」の銀座店があり、さまざまな角度から新潟県の魅力を堪能することができます。
40種類の日本酒を味わえる「新潟清酒・THE SAKE Stand」
「新潟清酒・THE SAKE Stand」には、棚いっぱいに新潟県の日本酒が並んでいます。取り扱っている商品の数は、なんと約300種類。気軽に楽しめるカップ酒からギフトにぴったりの高級酒まで、新潟県外ではなかなか見かけない商品や、有名銘柄の珍しいスペックの商品も購入することができます。
「新潟清酒・THE SAKE Stand」で体験してほしいのは、ショーケースに並んだ約40種類の新潟清酒の有料試飲。
試飲をする時は、専用のQRコードが付いたチケット(5杯・1,500円)を購入し、「THE NIIGATA」のロゴが入ったおちょこを受け取ります。「5杯は少し多いかも......」という場合も大丈夫。QRコードの有効期限が3ヶ月に設定されているため、別の日に再訪して試飲することも可能です。
ショーケースの前には、日本酒ディスペンサー「のまっせ」がずらりと並んでいます。試飲したい商品を選んで、おちょこを置いて「のまっせ」の上部にQRコードをかざすと日本酒が注がれるという仕組みです。ちょっとしたアトラクションのように楽しむことができます。
ちなみに、白と金のカラーリングの「のまっせ」は「新潟清酒・THE SAKE Stand」限定のデザインとのこと(通常は黒と赤)。試飲できる日本酒のラインナップは、定期的に変更されます。取材当日は、以下の4種類を試飲しました。
- 「〆張鶴 純」宮尾酒造(村上市)
- 「大洋盛 純米大吟醸」大洋酒造(村上市)
- 「越の誉 純米吟醸秋酒 ひやおろし」原酒造(柏崎市)
- 「緑川 純米吟醸」緑川酒造(魚沼市)
地元で愛される定番の一本から季節限定の商品までさまざまな日本酒が並び、思わず目移りしてしまいますが、日本酒にあまり詳しくない人でも楽しめる工夫が施されています。好みや気分に合った日本酒を提案してくれるソムリエAI「KAORIUM for Sake」に日本酒選びを任せれば安心です。
「KAORIUM for Sake」は、1万点以上の日本酒の風味に関するデータと、日本酒ソムリエの感性や言語表現を学習させた最先端のAIシステム。画面の指示に沿って、「どんな日本酒が飲みたいか」「どんな気分になりたいか」などを選んでいくと、AIがおすすめのお酒を選んでくれます。
たとえば、「日本酒でどんな気分になりたいですか?」という質問には、「元気を出したい」「気合を入れたい」などの選択肢が出てきます。気分に合わせてキーワードを選んでいくと、おすすめのお酒が提示されました。
香りや味わいの表現だけでなく、「淡く光る冬の日差し」など、そのお酒を表す情緒的なイメージも表示されるのがユニークです。
「お酒を贈りたいあの人はどんなイメージ?」など、ギフトを選ぶ時に使えるのも便利です。店内には5つのタブレット端末があるので、グループで来店した時や、店内が混み合っている時でも待たずに操作できます。
淡麗辛口だけじゃない!まだ知らない新潟酒がここにある
「新潟県には、日本でもっとも多い89軒の酒蔵がありますが、『新潟清酒・THE SAKE Stand』では、ほぼすべての酒蔵の商品を入れ替わりで扱っています。新潟県が誇る多種多様な日本酒を飲み比べていただけるのが魅力ですね」
そう話してくれたのは、「THE NIIGATA」のチーフを務める横山謙次さんです。
横山さんによると、お酒のラインナップは、新潟県の上越・中越・下越・佐渡の各エリアの商品をバランスよくそろえるようにしているのだそう。
「『KAORIUM for Sake』というソムリエAIのナビゲートで、日本酒を飲み慣れていない方にも気軽に楽しんでいただけるようになっています。銀座は観光目的のお客様が多く、インバウンドも多いので、外国語でのご案内もできるように準備を進めていく予定です」
8月にオープンしてから特に人気のある商品を聞いたところ、「佐渡千年の杉 純米吟醸」(尾畑酒造/佐渡市)を紹介してくれました。こちらは「新潟清酒・THE SAKE Stand」のオリジナル商品なのだそうです。
「私も新潟県出身なのですが、『越後 長岡城』や『山古志』など、地元に帰った時にしか見かけない銘柄もそろっています。新潟県の日本酒といえば、『久保田』や『越乃寒梅』が有名ですが、ここに来れば『新潟県には、まだこんなに知らないお酒があったのか』と思っていただけるはずですよ」
新潟県の日本酒の魅力を聞くと、「淡麗辛口のイメージが強いかもしれませんが、実は幅広い味わいがあること。そして、どのお酒も飲みやすくて、それでいて飲み飽きしないことですね」と横山さん。
現在は月2回ほどの頻度で、週末に酒蔵関係者を招いたイベントも実施しています。日本酒の造り手と直接話ができるだけでなく、イベント限定のお酒も楽しめるのだとか。
「いずれは、3階のイベントスペースを活用した企画も展開していきたいと思っています。アンテナショップとして、酒蔵見学ツアーの企画など、新潟県を訪れるきっかけとなるような役割を果たしていければと思います」
会社帰りや東京観光の合間に「新潟」を味わう
銀座エリアには、全国の都道府県のアンテナショップがたくさん集まっているため、他県のアンテナショップとハシゴをして楽しむこともできます。東京駅からも好アクセスで、東京観光でちょっと時間が空いたときに立ち寄るのもおすすめです。
日本酒以外にも、酒器などの工芸品も並んでいるので、海外の知人を案内する場所としても便利。気軽にテイスティングが楽しめるため、飲み会の前に寄り道してゼロ次会に使うのもよいでしょう。
約300種類の日本酒に囲まれて、東京にいながらにして新潟の日本酒を味わえる「新潟清酒・THE SAKE Stand」。新潟県の日本酒との新しい出会いを求めて、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
(取材・文:Saki Kimura/編集:SAKETIMES)
◎ 店舗情報
- 店名:銀座・新潟情報館 THE NIIGATA
- 住所:東京都中央区銀座5-6-7
- 営業時間:
【1F】ショップ:10:30~19:30(休業日:1/1~1/3)
【1F】THE ONIGIRI・Ya:10:30~19:30(休業日:1/1~1/3)
【2F】
・ショップ:10:30〜19:30(休業日:1/1~1/3)
・新潟清酒・THE SAKE Stand:12:00~19:30(休業日:1/1~1/3)
※有料試飲のチケット購入は19:00まで。
【8F】THE NIIGATA Bit GINZA:
・ランチ 平日 11:30~14:00/土日祝 11:30~15:00
・ディナー 18:00~22:00
(休業日:月曜、他不定休あり)
【B1F】移住相談窓口:10:30~18:30(休業日:火曜、祝日、年末年始)
【3F】イベントスペース:営業日や営業時間はイベントなどにより異なります。 - 電話番号:03-6280-6635