日本橋髙島屋は、2018年9月下旬の新館オープンに合わせて、本館・新館・東館・タカシマヤウォッチメゾンの全4館が一体となった複合施設「日本橋髙島屋S.C.」として生まれ変わりました。

今回は、新館1階の食料品フロアに入っている「KINOKUNIYA entrée(紀ノ国屋 アントレ) 日本橋髙島屋S.C.店」を紹介します。

紀ノ国屋アントレ日本橋高島屋S.C店の外観写真

「紀ノ国屋」は都内を中心に展開している、上質な食材や商品を取り扱うスーパーマーケットです。

このたびオープンした日本橋髙島屋S.C.店には、他の店舗と同じような高品質の商品に加えて、200種類を超える日本酒が並んでいます。

国内外のハイクオリティな商品を揃える老舗スーパーが、なぜ日本酒に注力することを決めたのでしょうか。日本橋髙島屋S.C.店の日本酒を監修している、フリーアナウンサーで酒サムライのあおい有紀さんに話を伺いました。

高級スーパーが日本酒に力を入れる理由

─  「紀ノ国屋」で販売している酒類というと、ワインをはじめとした洋酒のイメージが強いですが、今回の店舗はなぜ日本酒に注力しているのでしょうか。

これまでも日本酒の取り扱いはありましたが、酒類コーナーの一角に何本か置いてあるという程度でした。日本橋エリアが生活の動線上にある方々の家飲み需要や、インバウンド需要に応えたいという思いから、新たな取り組みとして日本酒に注力することになりました。

紀ノ国屋アントレ日本橋高島屋S.C店内の日本酒の陳列棚をバックに撮影したあおい有紀さんの画像

─ どのようなきっかけから、あおいさんが日本酒を監修することになったのでしょうか。

「紀ノ国屋の方と『高級スーパーでも日本酒に力を入れる店が増えてほしい』という話をしたのがきっかけですね。ちょうどその頃、日本橋髙島屋S.C.店のオープンを控えていた時期で、日本酒に力を入れていきたいという話が社内でも出ていたようです。そんな経緯から、今回のご縁をいただきました。

─ 紀ノ国屋が日本酒に力を入れることによって、どのような影響があると考えていますか。

紀ノ国屋と一般的な酒屋さんの客層はかなり異なっています。紀ノ国屋に来店されるお客様は、初めからお酒の購入を目的にしている人よりは、美味しい食材や商品を求めているグルメな方が多い印象です。そうした方々の生活動線上に、これだけたくさんの日本酒に触れられる場所ができたことで、これまで日本酒に触れる機会がなかった方々に興味をもっていただくきっかけになると考えています。

紀ノ国屋アントレ日本橋高島屋S.C店の陳列棚の写真「至福のペアリング」タグが張られた商品

「奈良萬」の隣に並んでいるのは「サンマの昆布巻き」。お酒が食卓に並ぶイメージをしやすいよう、陳列が工夫されている。

また、初心者でも日本酒を手に取りやすいように「至福のペアリング」と題して、それぞれのお酒に合わせてほしいおつまみをいっしょに陳列しています。これはスーパーマーケットだからこそできることですよね。まわりがオフィス街なので、仕事帰りにお酒とおつまみを買って、家飲みを楽しんでいただきたいと思っています。12月には、店内で購入したお酒が飲める立ち飲みスペースも設ける予定です。

─ ラインアップの特徴を教えてください。

持ち帰りやすいように、すべての商品を四合瓶で販売しています。また、ラベルデザインが特徴的で手に取りやすいものや、初心者でも飲みやすい味わいのものなどをピックアップするように意識しました。さらに、酒蔵さんに直接相談して、ここでしか買えない限定流通のお酒もそろえています。

紀ノ国屋アントレ日本橋高島屋S.C店の

日本酒を飲み慣れていない方が飲用シーンを想像できるよう、すべてのお酒を8タイプに分類しているのも特徴ですね。従来の「日本酒度」「特定名称」など、専門的な表記はできるだけ使用せず、どんな人が来ても満足していただける提案の仕方を心がけています。

日本酒へのきっかけを提供してくれる店

紀ノ国屋アントレ日本橋高島屋S.C店の日本酒が並んでいる棚の写真

「紀ノ国屋アントレ 日本橋髙島屋S.C.店」のオープンは、日本橋エリアで働く人々や、紀ノ国屋がもともと抱えていたグルメな消費者たちの生活動線上に日本酒が置かれたという点で、とても画期的な取り組みといえるでしょう。この店舗をきっかけに、潜在的な多くの消費者に興味・関心を喚起できるのではないかと思います。

「紀ノ国屋」としては、今回のオープンを皮切りに、日本酒に注力した店舗をさらに展開していく構想もあるのだそう。日本酒に力を入れるスーパーが増えることで、家飲みをはじめ、よりカジュアルに日本酒を楽しむ人が増えていくことを期待しましょう。

(文/SAKETIMES編集部)

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