錦糸町の駅前で創業して22年の「海鮮居酒屋MARU」。当店のチーフ・丸満竜太(まるみつりゅうた)さんは日本酒の知識が豊富で、消費者を対象とした日本酒セミナーで講師を務めることのできる資格「日本酒学講師」の保持者でもあります。

この店の魅力は、竜太さんが厳選した日本酒だけではありません。竜太さんの父で、店の社長でもある丸満隆司(まるみつりゅうじ)さんが、水産物の輸入卸業を行なっているため、高級食材をリーズナブルな価格で楽しめるのです。

今回は、竜太さん自身に「海鮮居酒屋MARU」の魅力を教えていただきます。

新鮮な食材とともに楽しむ日本酒

まずは、季節のお酒と旬の食材を使った料理を紹介していただきました。

海鮮居酒屋MARUの刺身5点盛りの写真

刺身の5点盛り(写真は2人前)

最初のおすすめは、旬の魚介類を使った新鮮な刺身。日替わりで楽しむことができます。なんと1人前450円。とてもリーズナブルです。

海鮮居酒屋MARUのホタルイカと菜の花の酢味噌和えの写真

ホタルイカと菜の花の酢味噌和え

春を感じるメニューです。旬の時期にしか味わえないホタルイカの濃厚なミソは、燗酒との相性もぴったり。

海鮮居酒屋MARUのアスパラと筍の天ぷらの写真

アスパラと筍の天ぷら

サクサクの衣とシャキッとした食感が楽しめる一品。春らしいピンク色のラベルを愛でながら、この時期ならではのフレッシュな生酒とともに味わうのがおすすめです。

日本酒学講師・竜太さんのこだわり

続いて、厳選された日本酒を竜太さんのコメントとともに紹介します。

MARUの定番酒。左から、鶴齢(新潟)、若駒(栃木)、上喜元(山形)、三千櫻(岐阜)

まずは、新潟県・青木酒造の鶴齢(かくれい)。

「青木酒造は2017年に創業300周年を迎えました。淡麗辛口の酒が多い新潟県のなかで、しっかりとコクのある旨口の酒を醸しています。主力商品の多くに新潟県の酒米・越淡麗(こしたんれい)を使っているので、定番酒として、常に越淡麗の鶴齢を置いています。酒蔵で開催される呑み切り会にも、ほぼ毎年参加していますね」

続いてのおすすめは、栃木県・若駒酒造の若駒(わかこま)です。小山市にある同蔵は、万延元年(1860年)の創業。建物が有形文化財に指定されているほどの歴史をもつ酒蔵です。

「家族とスタッフ1人で酒造りに励んでいる小さい酒蔵で、息子の柏瀬幸裕(かしわせ ゆきひろ)さんが蔵へ戻ってから立ち上げた『若駒』という銘柄がとても人気です。店で提供しているのは、雄町を使った精米歩合50%の生酒。自分のなかでは、これぞ"若駒の定番酒"と考えているので、常に置いていますが、その他にも必ず1~2種類を扱っています。年に2,3回ほど、造りの手伝いにも行っている、特に付き合いの深い酒蔵です」

3本目は山形県・酒田酒造の上喜元(じょうきげん)。葛飾区にある杉浦酒店とのつながりで、竜太さんが店で働く前からオリジナルラベルを造ってもらっていたのだとか。

「このオリジナルラベルには、20年くらいの歴史があります。私自身も、このお酒をきっかけに上喜元が好きになり、ファンになっていきました」

最後に紹介していただいたのは、岐阜県・三千櫻酒造の三千櫻(みちざくら)です。

「杜氏を務める山田社長は酒がまったく飲めないのですが、だからこそ、繊細できれいな味わいの酒を造っています。定番として、地元向けの普通酒を置いています。優しくて、ほっこりするような味わいです。毎年、泊まり込みで酒造りを勉強させてもらっている酒蔵さんです」

卓上で楽しめる燗酒

「海鮮居酒屋MARU」には、手軽に燗をつけられる卓上酒燗器「ミニかんすけ」が常備されています。燗酒を注文すると、何℃まで温めると美味しいのか、竜太さんがアドバイスしてくれます。お客さん自身が燗をつけられるため、おすすめの温度になるまで少しずつ味わいが変化していく酒を味見できるのも、楽しみのひとつですね。

海鮮居酒屋MARUにある卓上酒燗機「ミニかんすけ」の写真

「ミニかんすけ」(左)と「ミニミニかんすけ」(右)

「ミニミニかんすけ」はすでに製造が終了しているのだそう。店としての歴史を感じますね。

日本酒にこだわるようになったきっかけ

「海鮮居酒屋MARU」が日本酒にこだわるようになった経緯を、竜太さんに伺いました。

日本酒学講師と焼酎利き酒師の資格を持ち、MARUチーフの丸満竜太さんの写真

日本酒学講師と焼酎唎酒師の資格をもつ、チーフの丸満竜太さん

創業当時、大学生だった竜太さんは在学中からこの店を手伝っていました。働いているうちにやりがいを感じ始め、「この店で、もっとやれることがいろいろある」という意気込みで、大学卒業と同時にそのまま就職したのだそう。しかし、スタートしてしばらくは、現在のように日本酒がメインではありませんでした。


試行錯誤を繰り返すなかで、最終的に落ち着いたのが日本酒。たくさんある酒のなかでも、もっとも海鮮料理に寄り添ってくれる味わいであることや、造り手に触れ合う機会が多かったことなどの理由で、日本酒にのめり込んでいくようになったのだとか。

蔵元との縁をつないでくれたのが、開店当初から酒を仕入れている杉浦酒店。現在のように、日本酒イベントが頻繁に行なわれることがなく、蔵元と会う機会がほとんどなかった当時、酒屋は酒蔵と飲食店の出会いをつくる、唯一無二のパイプでした。竜太さんは、造り手と直接会うことの多い日本酒の世界にハマっていきます。

今では冷蔵庫がいっぱいになるほどの日本酒を取りそろえるほど。冷たいお酒だけではなく、常温で熟成したお酒もラインアップされています。

海鮮居酒屋MARUのオリジナルラベルが貼られた日本酒「上喜元」

竜太さんが愛情を込めた日本酒が呑める「海鮮居酒屋MARU」。季節ごとに移ろう旬の味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

◎店舗情報

  • 店名:「海鮮居酒屋MARU
  • 住所:〒130-0022 東京都墨田区江東橋4丁目29-15
  • 電話番号:03-5600-0151
  • 営業時間:
    [月~金] 17:00~24:00 (フードL.O. 23:00, ドリンクL.O. 23:30)
    [土] 15:00~24:00 (フードL.O. 23:00, ドリンクL.O. 23:30)
    [日・祝日] 15:00~23:00 (フードL.O. 22:00, ドリンクL.O. 22:30)
  • 定休日:不定休(月1回)

(文/三浦 環)

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