外国人にも日本人にも人気の観光地である、古都・京都。京都の食文化の歴史や奥深さはよく知られるところですが、一方で、観光地であるために日常的に訪れられるリーズナブルなお店を探すのが、意外と難しいのも事実。

今日はそんな京都で、観光客にも地元の京都人にも人気な「おばんざい あおい」を紹介します。オーナーである女将の中村季以(なかむらとしい)さんは、大の日本酒好き。日本酒好きなら京都を訪れる際にぜひとも訪れていただきたい名店です。

京都の旬の野菜を使った「おばんざい」

おばんざい割烹「あおい」の店内

かつて、京都市に物資を運び込むために舟が行き交っていた高瀬川。その川沿いに南北に伸びるのが「木屋町通り(きやまちどおり)」です。繁華街の裏道的な雰囲気があるその通りの一角に、「おばんざい あおい」はあります。

おばんざい割烹「あおい」の女将さん

女将の中村季以さん(右)とスタッフの野村正子さん(左)

「おばんざい」とは、京都でいうところの「おそうざい」のこと。「あおい」では、京都の特色豊かな野菜のなかから、旬のものだけを選んでおばんざいにしています。

定番と創作が共存する温故知新のおばんざいは、飲んで食べても、1人5,000円ほどで収まるほどのリーズナブルな価格設定。そのコンセプトの通り、毎日通いたくなるようなお店です。

おばんざい割烹「あおい」のある日のお通し
この日のお通しは、焼き野菜にクリームを和えた一皿でしたが、その味付けは、なんとサワークリーム、白味噌、実山椒。和洋が見事に溶け合った逸品でした。

「バジル麩と温野菜」(880円)

「バジル麩と温野菜」(880円)

「あおい」さんでは定番のおばんざいも押さえつつ、「バジル麩と温野菜」など、斬新なメニューがあるのも魅力。「バジル麩と温野菜」は、筆者が訪れたら毎回頼むメニューです。

「厚揚げのきのこあんかけ」(780円)

「厚揚げのきのこあんかけ」(780円)

「飽きないし、疲れない。ほっとする味わい」が、あおいさんのおばんざいの特徴です。一人分でボリュームを調整して出してくれるので、いろいろ食べたくなっても安心です。

「豚肉と舞茸と万願寺とうがらしの山椒炒め」(780円)

「豚肉と舞茸と万願寺とうがらしの山椒炒め」(780円)

他にも、カウンターには「豚肉と舞茸と万願寺とうがらしの山椒炒め」や「お茄子の炊いたん」(680円)、「牛蒡と牛のきんぴら」(580円)など、ほっとするおばんざいが並びます。

京都名物「鯖寿司」(1貫300円)

京都名物「鯖寿司」(300円)

京都名物として有名な「鯖寿司」は、「旬の時に最高の状態で召し上がっていただきたい」と、10月のお祭りの時期から春先までの期間限定で提供されています。

鯖寿司がない時期は、同じく人気メニューの「おいなりさん」(250円)がありますのでご安心を。中の具材がいつも違うので、こちらも毎回楽しみな一品です。

京都近郊の酒蔵の日本酒も充実

おばんざい割烹「あおい」の日本酒

おいしいおばんざいには、おいしい日本酒を合わせたいもの。女将さん自らが選ぶ日本酒は日々入れ替わり、その日のラインナップが黒板に書かれています。

極端に個性の強いお酒よりも、料理と合わせて気軽に楽しめるお酒がメインです。

おばんざい割烹「あおい」の日本酒メニュー

銘柄選びは、日本酒に不慣れな方にもうれしいフルーティーで飲みやすいお酒から、通が好む少し芯の強めのお酒までといった幅広さを意識されているようです。

おばんざい割烹「あおい」のドリンクメニュー
京都のお店らしく、メニューには観光客に喜ばれる京都近郊の酒蔵の銘柄が揃っています。一方で、地元のお客さん向けに、他県の日本酒も日替わりで取り揃えています。

日本酒好きの常連客も多いようで、ここでも「毎日行きたくなる店」を目指して、飽きさせない工夫がありました。

「薄桜」と「お茄子の炊いたん」

「薄桜」と「お茄子の炊いたん」

一合徳利でも、それに入っているお酒の量は店によって違うことがありますが、「そういうのはイヤやねん」という女将さんの気持ちから、「あおい」では、日本酒をきっちり180mlで提供しています。

陸奥八仙 1合

いろいろなお酒を飲みたい場合には、半量でも出してくれますので、気軽に女将さんに声をかけてみてください。

「天穏 ひやおろし純米」
こちらは特別に「少しだけ」出していただいた「天穏 ひやおろし 純米生詰原酒」。つい、心から「これ、うまいなぁ」とつぶやいてしまいました。

初めてなのにほっとする、毎日通いたいお店

おばんざい割烹「あおい」の燗銅壺

京都の飲食店には、「一見さんお断り」のような、入りにくいお店があることも事実ですが、「あおい」はそういった心配がまったくありません。

そんな雰囲気が伝わるのか、ひとりで訪れる観光客の方も多く、観光で疲れた身体を日本酒でほぐしながら、女将さんや周りのお客さんとの会話で盛り上がっています。シャイな方でも自然と会話に入っていけるのが、「あおい」の不思議な魅力です。

取材中、某大手ホテルのコンシェルジュの紹介で訪れていたご夫婦が、「おいしい、おいしい」とうれしそうに楽しんでいたのが印象的でした。

おばんざい割烹「あおい」の店内

おいしいおばんざいをアテに、おいしい日本酒を飲みながら地元の人と楽しく語らう。一度行けば、また行きたくなる。「おばんざい あおい」は、ついつい足を運びたくなるアットホームなお店でした。

(取材・文:星知紀/編集:SAKETIMES)

◎店舗情報

  • 店名:「おばんざい あおい」
  • 住所:京都府京都市中京区材木町181-2 ニュー京都ビル 1F奥
  • 電話番号:075-252-5649
  • 営業時間:17:00~23:00
  • 定休日:月曜日/日曜・祝 不定休

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