あなたにとって、周囲におすすめしたいと思える日本酒とはどんなものでしょうか。味わいが自分好みだったり、酒蔵の理念に共感したり、大事な方にいただいた思い出の品だったり。その日本酒を選ぶ理由はさまざまです。

今回ご紹介するのは、上賀茂神社にほど近い、京都府北区に店を構える「和食と滋賀酒 紫竹 葵湖(しちく きこ)」。故郷・滋賀の日本酒に惚れ込み、おいしい料理との食べ合わせを楽しませてくれるお店です。

滋賀の日本酒に恋して

お店を営む店長・村田貴視(たかし)さんと村田いずみさんのご夫婦は、滋賀県出身。貴視さんは京都・西大路七条にある名店「いはら田」をはじめ、さまざまなお店で約14年ほど修業を積んできました。

(右から)店長・村田貴規(たかのり)さんと村田いずみさん

(右から)店長・村田貴視(たかし)さんと村田いずみさん

2019年5月、京都・北区の街並みにほれ込み、この地に「和食と滋賀酒 紫竹 葵湖」をオープンしました。店の名前は、お店があるエリアの名称である"紫竹"、その"紫竹"と縁深い"葵"と故郷・滋賀の"琵琶湖"にちなみ、「紫竹 葵湖」と名付けました。

店名にもある通り、滋賀酒がご夫婦にとっておすすめしたいお酒。貴視さんは、お酒がほとんど飲めないため、日本酒の仕入れはいずみさんの担当です。

「紫竹 葵湖」の日本酒メニュー

お酒のラインナップについて、いずみさんは「開店準備のころから酒蔵を巡って、いろいろ飲み比べて決めました」と話します。

「ちびちびと飲んで楽しむのに最適な純米大吟醸と、お料理に合わせて楽しめる旨味や酸味のある純米吟醸をメインに選んでいます。もちろん、美味しい日本酒は滋賀以外にもありますが、個人的には大好きな滋賀のお酒を楽しんでいただきたいので、京都にあるお店ながら、そろえているのは滋賀の日本酒一択です(笑)。本当にどれも美味しいので、悩みに悩みました」

滋賀33蔵の主要銘柄

出典:「滋賀の名品」ウェブサイトより

2018年7月時点で、滋賀県酒造組合に加盟している酒蔵数は33蔵。滋賀は周りを伊吹山地、鈴鹿山地、比良山地、比叡山地に囲まれた盆地で、滋賀の地酒の多くは、この山々を源とする地下水で仕込まれています。米作も盛んで、酒米「玉栄」を使う酒蔵も多く、酒造りに適した場所のひとつです。

「紫竹 葵湖」では、33蔵から厳選したものを揃えているとのこと。今後はメニューの入れ替えも検討しているそうです。

滋賀酒×月替わりのランチを楽しむ

今回は、地元の方にも人気のランチ(昼膳・ 1,650円税込、日本酒は別料金)をいただきました。目の前でひとつずつ仕上げてくれる料理と、滋賀の美味しいお酒を合わせます。なお、ランチのメニューは月ごとに変更されます。

「ゴーヤとパプリカ、ヤングコーン、木耳のお浸し」

まずは先付の「ゴーヤとパプリカ、ヤングコーン、木耳のお浸し」から。

ゴーヤとパプリカの色合いが目にも鮮やかです。さわやかな苦味に、シャキシャキとした歯ごたえがみずみずしさを感じさせます。

「大治郎 生もと純米 山田錦 生酒」

畑酒造「大治郎 生もと純米 山田錦 生酒」

こちらと合わせるのは、東近江の畑酒造が醸す「大治郎 生酛純米 山田錦 生酒」です。生酛独特の酸にやわらかな口当たり。同じくやわらかな印象の出汁と良く合います。香りが強すぎないお酒なので、お浸しに振りかけられた胡麻の香りを引き立たせてくれました。

「穴子の焼き霜造り」

次は「穴子の焼き霜造り」。目の前で穴子を炙る姿を見るだけでお酒がすすみます。

こちらにも先ほどの「大治郎 生酛純米 山田錦 生酒」を合わせます。同じお酒ながら、すっきりとした印象に変わりました。お浸しに合わせた時よりもお米の旨味を感じます。料理によって、日本酒の香りや味わいが変化するのも食べ合わせの魅力ですね。

「八角」

(左から)万願寺とうがらしとおじゃこの炒め煮、西瓜のゼリー寄せ、鱧せんべい、丹波の焼き枝豆、新生姜の甘酢漬け、無花果の田楽、クラゲと浅漬けの胡麻和え

間に、出汁と山葵が効いた「茶碗蒸し」を挟み、続いては、季節の食材を少しずつ取り合わせた八寸。ひとつずつていねいに仕上げられていて、思わず見とれてしまいます。

ひときわ鮮やかなのは「西瓜のゼリー寄せ」。赤い部分には西瓜(スイカ)、白い部分はうるか(鮎の塩辛)、緑の部分はきゅうりでつくられています。プルプルの食感に、うるか独特の苦味とタネを模した黒胡麻の風味が効いています。

無花果と白味噌の甘味に、甘酢漬けの酸味、おじゃこや枝豆の塩味、骨せんべいの苦味、まさに五感を刺激する味わいです。

「萩乃露 純米吟醸 里山 生原酒」

福井弥平商店「萩乃露 純米吟醸 里山 生原酒」

そんなバラエティ溢れた味わいには、いずみさんの一押しという福井弥平商店の「萩乃露 純米吟醸 里山 生原酒」を合わせます。

こちらは、滋賀県で唯一「日本の棚田百選」に選ばれた棚田で育てられたコシヒカリを使っているという、珍しい一本。「酒米で醸したお酒とは少し味わいが違います。お米の味わいはありながら、すっきりした後味が特徴です。白米みたいに、どんなお食事ともよく合いますよ」と、いずみさんは話します。

なるほど、食材の味を引き立ててくれる旨味と、キレの良さ。どこか透明感のある味わいで杯が止まりません。八寸のすべての料理とも相性がよいお酒です。

自家製マンゴーアイスとレモンジュレ

デザートの自家製マンゴーアイスとレモンジュレ

このほかにも、ランチには、白米と山椒の効いた赤だし、デザートと、コーヒーか紅茶が付いています。貴視さんは甘いものが好きだそうで、デザートも手作りなんだとか。やさしい甘さのデザートに日本酒を合わせるのも面白そうですね。

京都・北区で美味しい滋賀酒が味わえる「和食と滋賀酒 紫竹 葵湖」。ランチとディナー、いずれも美味しいお料理に合わせた滋賀酒が楽しめます。ご夫婦が惚れ込んだ滋賀酒を、皆さんも味わってみてはいかがでしょうか。

(文/spool)

◎店舗情報

  • 店舗名:和食と滋賀酒 紫竹 葵湖(しちく きこ)
  • 住所:京都市北区紫竹下竹殿町16番地(大宮玄以交差点すぐ)
  • 営業時間:
    【昼】12:00~14:00(最終入店13:30)
    【夜】17:30~21:00(最終入店20:00)
  • 席数:カウンター8席/テーブル席6名
  • 定休日:不定休
  • 電話番号:075-406-5758
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