九州北部豪雨災害で甚大な被害

2017年7月の九州北部地方における豪雨災害により、福岡県朝倉市や大分県日田市の複数の酒蔵が大きな被害を受けました。株式会社篠崎もそのひとつで、蔵全体が浸水。特に「国菊 あまざけ」工場の被害が大きく、いまだ復旧の目処が立っていないのだとか。現地へ行けない酒呑みは、呑んで応援。1日も早い復興を願いましょう。

「国菊 あまざけ」と麦焼酎古酒で人気

篠崎と言えば、樫樽で長期熟成させた麦焼酎「千年の眠り」のイメージをもっている方も多いでしょう。1990年代後半から2000年代前半の焼酎ブームで一世を風靡した逸品です。

しかし、朝倉郷は九州北部でも名立たる穀倉地帯であったことから、江戸後期に創業したときは清酒造りを行っていました。以来、一貫して清酒造りを続けています。創業からの銘柄は「国菊」。「国菊 あまざけ」は大手百貨店などでも販売され、全国的にも有名かもしれません。

100年ぶりに立ち上げた新ブランド「比良松」

今回紹介する「比良松(ひらまつ)」は、100年ぶりの新ブランドとして2014年にリリースされました。

コンセプトは「革新」。時代とともに変化する人々の嗜好に合わせ、培った伝統を生かしながらもニーズに合った清酒を造る。そして「清酒造りは地域に根差したもの」として、地元の契約栽培の山田錦のみを使用。地元の仕込み水で、地元の蔵人が醸すという、“ドメーヌ化”にこだわったお酒です。銘柄名も蔵の所在地をそのまま使用しています。今年のSAKE COMPETITION 2017では純米大吟醸部門で5位(金賞)入賞を果たしました。

米の甘み・旨味と柑橘系の酸が融合した夏酒

この夏酒は全量地元産の山田錦を60%まで磨いた、アルコール度数15度の飲みやすい仕上がり。「比良松」は米の甘み・旨味を引き出す、やさしい味わいを目指していますが、同酒はその甘みに爽やかな酸味が加わった印象です。

香りは心地良いマスカットや青リンゴ系。口に含むとジューシーな酸の中に米の甘みも感じます。フルーティーさと山田錦の上質な旨味のバランスが良く、夏酒にしては柔らかい味わい。冷やしても、常温でも美味しくいただけます。度数が低めなのでロックは味が薄まる印象です。

おつまみは、やはり夏野菜のナスやズッキーニ焼き、ピクルスなどスッキリしたものが合うでしょう。また、辛味大根のなめこおろし、白身魚のお刺身なども合いそうです。

 

この記事を読んだ人はこちらの記事も読んでいます