ほぼ全量純米蔵のセンスと情熱

大正11年(1920年)創業の株式会社みいの寿。30年以上前から純米蔵への転換を図り、生産の99%が純米酒、残り1%は鑑評会用の出品酒のみという造りには一貫してこだわっている酒蔵です。銘柄「三井の寿」は、三井郡は昔から酒造りに最適な三つのわき井戸があったことが由来とされています。

九州ではいち早く山廃仕込みに取り組むなど、伝統と挑戦を大事にする蔵ですが、「酒造りは化学とセンスと情熱」というモットーを持つ4代目の井上宰継さんが蔵元杜氏となってからは、より新しい試みにチャレンジしています。

たとえば、白ワインかと見まがう「クアドリフォリオ(四つ葉)」「チカーラ(蝉)」「ポルチーニ(きのこ)」「ネーベ」などのイタリアンラベルを採用した季節限定シリーズ、ワイン酵母を使用した純米吟醸酒などの発売。

ワインを意識していると思われる、モダンで酸の強い味わいはワイン好きや女性にも人気を博しています。またイタリアなど海外へも積極的に進出中です。

「豊穣美田 山廃純米」などは山廃酒の中でも傑作のひとつで、独特の酸と複雑味は古くからのファンを魅了しています。王道から革新まで幅広い味幅を楽しめる懐の深い蔵です。

『スラムダンク』にヒントを得た“両A面ラベル”

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この大辛口は三井の寿の“王道”に連なる1本ですが、王道の中にも、ラベルに蔵元のセンスが詰まっているのです。

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「三井の寿 大辛口」が目立ついつものラベルの逆側は赤地に白線バックに、日本酒度「+14」という黒字、数字の上には銘柄名の「三井の寿」。わかる人はピンとくると思います。そう、伝説のバスケットボール漫画「スラムダンク」の天才シューター・三井寿のユニフォームをオマージュさせるラベルとなっているのです。

これは日本酒には珍しい“ダブルA面”ラベルとのこと。音楽の世界ではレコードやCD時代に両面A面シングルなどの企画がありましたが、そのようなものかと。こんな遊び心も人気の秘密でしょうか。

夏に最適の低アルコール大辛口

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「三井の寿 純米吟醸 +14大辛口」は、山田錦を60%まで精米し、日本酒度+14と辛口に仕上げています。2年間の試験醸造を経て、大人気だったため定番化されました。

青リンゴのような爽やかな吟醸香を感じ、口に含むとほのかな甘みと、しっかりした酸味を感じます。その後辛さが舌に押し寄せてきますが、旨みも失わず、適度に筋肉質な締まりを感じながらスパッと切れていきます。ただ辛いだけじゃない爽快な旨口酒

アルコール度数も14度と抑えられていて、枝豆や冷や奴、お刺身など定番のおつまみに合わせて、夏のこの時期にスッキリ呑むには最高だと思います。

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