飲食店や酒販店で見たり聞いたりする日本酒の用語を知ることで、さらに日本酒を楽しむことができるようになります。今回は「薫酒」「爽酒」「醇酒」「熟酒」という、日本酒の「4タイプ分類」を解説します。
日本酒の「4タイプ分類」とは?
飲食店のメニューや酒販店のポップなどで、「薫酒」「爽酒」「醇酒」「熟酒」という言葉を見たことはありませんか。
この分類は、そのお酒がどんな味わいなのか、どんな飲み方がおすすめなのかを知るためにあります。「唎酒師」の資格などを管理する「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)」によって提案されたもので、飲食店や酒販店など、日本酒を取り扱うさまざまな場所で活用されています。
縦軸が香りの強弱、横軸が味わいの濃淡を表し、日本酒を大まかな4タイプに分類しています。4タイプそれぞれの特徴を知ることは、自分の好みやその日の気分に合わせたお酒選びを助けてくれます。また、自宅でお酒を楽しむ際、そのお酒に適した温度や酒器、相性の良い食事を考えるときにも役立ちます。
各タイプの特徴をみてみましょう。
- 薫酒(くんしゅ):果実や花のようなフルーティーな香りが特徴。軽めのお酒が多く、少し冷やして飲むのがおすすめ。
- 爽酒(そうしゅ):淡麗(たんれい)と表現されることが多く、軽快でスッキリした味わいが特徴。よく冷やして、グラスの酒器でキュッと一杯。
- 醇酒(じゅんしゅ):米の旨味やコクが特徴。常温はもちろん、燗にするとさらに旨味が増す。
- 熟酒(じゅくしゅ):熟成による独特の色味(黄色や褐色)と、深い香味が特徴。お好みの温度で、少しずつ楽しむのがおすすめ。
実際に飲んでみよう!
各タイプの特徴がつかみやすく、飲食店や酒販店で出会いやすいお酒を紹介しましょう。熟酒のカテゴリーは流通量があまり多くないため、リーズナブルで初心者にも馴染みやすい銘柄を選びました。
薫酒
- 「獺祭 磨き三割九分」(旭酒造/山口県)
- 720ml 2,239円 / 1800ml 4,477円
- 香り高く華やか。軽く冷やしてグラスで。
爽酒
- 「八海山 吟醸酒」(八海醸造/新潟県)
- 720ml 1,670円 / 1800ml 3,340円
- やわらかい口当たりと、キレの良い後味。良く冷やしてガラスの酒器で。
醇酒
- 「神亀 純米酒」(神亀酒造/埼玉県)
- 720ml 1,500円前後 / 1800ml 3,000円前後
- 米の旨味。 常温または燗をつけて、焼き物の酒器で。
熟酒
- 「帰山 参番 古酒 1998」(千曲錦酒造/長野県)
- 720ml 1,500円
- 熟成の味わいと、甘味・酸味のバランスが絶妙。お好みの温度・酒器でゆっくりと。
※ 価格はすべて、税抜き・箱なしの価格です
人間の味覚には差があるため、4タイプに分けきれないお酒もたくさん存在します。正確に分類することよりも「このお酒は薫酒かな?爽酒かな?」「醇酒っぽいから燗で飲んでみようか」など、お酒を楽しむためのツールとして、4タイプ分類を使ってみると良いかもしれません。
ぜひ、飲食店や酒販店でお酒を選ぶときに使ってみてくださいね。
(文/小林健太)