飲んたひとが幸せになれる酒

麒麟山酒造株式会社は、福島県すぐ近くの阿賀町津川にあり、阿賀町は明治19年に会津若松県(現福島県)から新潟県に編入した地域です。銘柄名は、蔵元近くの秀峰「麒麟山」に由来しています。また、古代中国で麒麟は「聖人の出現を知らせる前触れとして世に現れる」と伝えられています。その伝説にあやかり「飲んでいただいた方に幸せが訪れるように」という思いが銘柄名に込められています。創業は天保14(1843)年で当初は「福の井」という銘柄でしたが、明治15年に「麒麟山」に変更しています。

創業から辛口酒にこだわり

麒麟山といえば創業から辛口酒が伝統。戦後から昭和30年代にかけて、世の中で濃いもの、甘いものが好まれていた時代においても、蔵元五代目・齋藤徳男氏は淡麗辛口酒を好み、かたくなに呑み飽きしない辛口酒にこだわっていたのです。

米と水にもこだわっています。仕込み水は御神楽岳源流の常浪川の伏流水。周囲に広がる広大なブナ林が、水を濾過する腐葉土をつくっています。その環境を保全するため、伐採後に放置された森林に植林する活動などを行っています。米については、奥阿賀酒米研究会を協力し、生産する清酒すべてを地元阿賀町の酒米で醸すことを目標にしています。平成23年からアグリ事業部を設置し、米づくり専門社員が自社栽培にも取り組んでいます。

自社栽培の五百万石使用の生原酒

この「ぽたりぽたり」は、蔵人自らが田植えを行った、自社有機栽培の五百万石を100%使用。55%まで磨いている純米吟醸酒です。麒麟山では数少ない生酒のひとつです。

新酒、香りは穏やかな果実香で、派手さはまったくありません。口に含むと、生酒由来の力強さや渋さは感じますが、味が広がりすぎることはなく、スッキリした味わい。しかし酸味もあり米の旨みもじゅうぶんに味わえます。雑味もなく綺麗で清冽な味わいは米や水の良さも伝わってきます。そして後口は辛口の麒麟山らしく、スパッと切れてゆきます。原酒の重さは感じず、サッパリしていて、良い意味で新潟酒らしさを残した呑みやすい生酒です。

食中酒としても和食全般に幅広く合わせることができますよ。まぐろ赤身、真鯛、のどぐろなど、旨みの強いお刺身と抜群の相性となるでしょう。

ぽたりぽたりは、12月と2月に出荷します。12月にはフレッシュさ、2月には落ち着いた味わいが楽しめるでしょう。また、ボトルを手に取った時は裏ラベルも注目してほしいものです。杜氏による気持ちと気合の入った自筆メッセージが印刷されています。28BYのラベルには、長谷川良昭杜氏がリオ五輪の日本人選手の奮闘と酒造りの現場を重ね合わせて「この酒があなたにとって忘れられない感動を与えるものとなることを願っている」と書かれていました。消費者も心して呑みたいものです。

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