アメリカで大人気となり“逆輸入”の「くろさわ」
北八ヶ岳の山麓、千曲川最上流の大自然に恵まれた黒澤酒造。伝統的な銘柄は「井筒長」です。「くろさわ」は海外に輸出をするために立ち上げ、生酛造りの純米大吟醸・純米酒を1992年からアメリカに輸出を始めています。人気は順調に拡大し輸出から10年後には生産量の20%となる400石を占めるまでになりました。追い風を受け逆輸入の形で、地元産のお米で、伝統の生酛造り、アルコール添加は柱焼酎で、炭素濾過をかけずに琥珀色に輝く、をコンセプトに日本でも販売しています。
長期熟成の「ビンテージ」
今回ご紹介の純米吟醸は「くろさわ」ブランドの中でもビンテージものです。ほかは酒米を「ひとごこち」で醸しますが、番外として美山錦で醸し、蔵内室温で2夏以上熟成させてから出荷します。日本酒は「秋あがり」という言葉もあるように、しっかり醸されたお酒は、日を置くごとに味がまろやかに変化していきます。
特に自然仕込みの生酛造りは熟成により真価を発揮します。このお酒は2008年度醸造ですから実に7年もの熟成を経ているわけです。また、21BY(2009醸造年度)から杜氏が中沢礎氏から蔵元兄弟の弟、黒澤洋平氏に継がれたため、前杜氏が最後に醸したお酒ということになります。これぞ、ビンテージです。
雑誌掲載で蔵元完売のプレミア酒に?
さすがに同酒を呑んだことがありませんので、蔵元に問い合わせると、1月に雑誌に掲載されてから在庫が瞬く間になくなったとのこと。味わいは「じっくりと醸した甘酸辛苦渋の五味の絶妙なバランスで、熟成からくる円熟味と、もっと熟成させたいと思わせる力強い味わい」。おすすめの呑み方は「10℃~15℃をワイングラスで。もしくは42℃のぬる燗」。
また、「牛や豚肉の味噌漬けなどこってりした料理、濃厚なバニラアイスにも合います」とおつまみからデザートまで幅広く合わせられるようです。このお酒に出会えた幸せな方、感想をお聞かせください。
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