白神山地の湧水をすべての工程で使用

山本合名は明治34年(1901年)の創業し、常識にとらわれない商品開発とネーミング、そしてもちろん味わいともに話題を呼び、今では秋田で新政と並ぶ注目の酒蔵となりました。

sake_shirataki-dokara_1

秋田県最北の青森県境に位置し、蔵は白神山地、世界最大のブナの原生林に挟まれた大自然の中にあります。白神山地から湧き出る名水を蔵に直接引き込み、仕込み水をはじめ、すべての工程にこの湧水を使用。水自慢の全国の酒蔵の中でもまれに見る水資源に恵まれた蔵といえます。

現蔵元の山本友文さんは音楽業界から転身した変わり種で、蔵にはビートルズの曲が流れているとか。同蔵が平成18年(2006年)に杜氏制度を廃止し、同19年に蔵元杜氏となってからは特定銘酒酒のみの生産に移行、現在は全量純米蔵になっています。

蔵元が自らを「栽培醸造家」と名乗り、3600坪以上の自社田を持ち、その半分は無農薬栽培しているそうです。米の栽培にも仕込み水と同じ湧水を使用し、自分たちの土地の米と水で醸造する一貫造りは、ワインでいう「ドメーヌ」のような状況が自然と成り立っています。

センセーションを巻き起こした「どにごり」

この銘柄名にもなっている「ど」シリーズ。業界の度肝を抜いたのが、活性にごり酒の「どにごり」の登場でした。平成16年(2004年)、経営が苦しいころに、前杜氏を説得して網目の荒いザルで濾して瓶詰め。常識はずれのもろみの量で、お酒の元気が良すぎて出荷後の噴出が後を絶ちませんでしたが、ラベルの奇抜さと、ほかのにごり酒にはない切れ味鋭いドライな味わいがセンセーションを巻き起こし、やがて「どにごり」は冬の定番酒になりました。

その後は、赤色酵母を使った桃色の清酒「どピンク」、純米酒に炭を入れた「ど黒」など、チャレンジ酒を生み出しています。

生原酒らしくない切れ味と呑みやすさ

この「ど辛」の火入れは通年商品ですが。今回紹介の生原酒は春限定のお酒。
毎年、秋田県産の飯米を使用しているので、純米酒ながら非常にリーズナブルです。今回使用したお米は秋田県産の「ふくひびき」を65%まで磨いています。

sake_shirataki-dokara_0

酵母は平成20年に蔵で発見、分離した「セクスィー山本酵母」何がセクシーなのかはお酒を飲んだだけではわかりません。香りは生原酒らしく、甘やかな麹香、口にふくむと酸味と甘みを感じますが、それほど膨らまず、引き締まった味わい。日本酒度+14という辛さよりも、酸味や爽やかさが特徴的です。後口もスパッと切れていきます。アルコール度数15.8度と原酒にしては低いこともあり、しっかりした味わいながら切れ味があり呑みやすいお酒です。

sake_shirataki-dokara_2

生原酒ですが、お燗にも適しているでしょう。煮魚から牛ステーキなど、脂っこい食事には最適ですし、どんなおつまみでも合わせることができそうです。一升瓶で2,300円弱というリーズナブルさも相まって、晩酌にもおすすめしたい生原酒です。

関連カテゴリ