純吟「禅」でロングセラーの老舗蔵
1724年(享保9年)創業。古くは鹽竈(しおかま)神社の御神酒酒屋として歴史は始まりました。銘柄は、鎌倉幕府の第3代将軍・源実朝が"塩釜の浦の松風霞むなり八十島かけて春や立つらん"と詠んだ歌より命名されています。戦後は現代の名工(平成元年)に認定された平野重一杜氏(現名誉杜氏)とともに銘酒を醸し続け、純米吟醸酒「禅」は、昨今の吟醸酒ブームの先駆けとなったロングセラーとなり、質の高い端麗辛口酒を生み続けています。また「宮城酵母」「浦霞酵母」とも呼ばれる「協会12号酵母」発祥の蔵でもあります。
東日本大震災で大きな被害
2011年3月11日に起こった東日本大震災で大きな被害を受けました。震度6強の激しい揺れで、塩釜市の本社蔵は土蔵の仕込蔵の外壁が崩落し、津波の浸水を受け機械器具の故障と約3万本のお酒が破損しました。吟醸酒造りの最盛の時期でしたが、造りを断念せざるを得ませんでした。建物の修繕、機器類の修理や買い替えを進め、同年6月1日から瓶詰業務を再開し、商品を順次出荷していきました。同年9月からは「大正蔵」、11月末には「享保蔵」で仕込みを開始し震災以前の状態を復活させました。
また、同年4月から、浦霞を1本買い上げるごとに、売上の中から5円を宮城県や塩釜の復興のために寄付する「浦霞発、日本酒のチカラ」プロジェクトを2011年4月からスタートするなど復興にも尽力しています。
地元で人気のレギュラー酒
このお酒は浦霞のレギュラー酒ともいえる地元人気が高い晩酌酒。酒造好適米を65%まで磨いています。端正な印象があり、やわらかい口あたりとスッキリとキレのよい後味は、食中酒として最高です。冷やから熱燗まで対応できる懐の深さもあり、宮城の牡蠣やマグロと合わせて呑みたいですね。
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