みなさんは「日本酒リキュール」を飲んだことがあるでしょうか?

一般的にリキュールは、蒸留酒に果実やハーブなどの風味を移したお酒のことを言いますが、日本の法律での定義では、日本酒などの醸造酒で作るものも同じように呼ばれます。今回はフルーツを使った日本酒リキュールを紹介。いつもとは少し違った日本酒の表情を楽しんでみましょう!

紹介するのは、岩手県の酒造・南部美人が醸す「糖類無添加 梅酒と、同じく岩手県の民宿とおのが自家醸造したどぶろくに赤葡萄の果汁を合わせた「どぶきゅーる 赤ぶどうです。

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1. 南部美人「糖類無添加 梅酒」

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梅酒と言えば、ブランデーや焼酎などの蒸留酒に漬け、砂糖などの糖分と共に仕上げる製法が一般的です。その点、南部美人が醸す梅酒は日本酒をベースにしている上に糖類無添加と、梅酒としてはかなり異色の一本です。

色はロゼワインにも似た、澄んだセピア色で、梅の花、チェリーなどの若く華やかな香りが特徴的です。味わいにはまろやかさとフレッシュな酸味があり、白葡萄やスモモのような風味。味のキレにグレープフルーツのような香りを感じます。歯切れがよく、驚くほどクリアな余韻でした。食中酒としては、淡白な肉料理との組み合わせがおすすめです。

糖類を添加しなくても甘みを確保できているのは、麹米100%で作り、低温でゆっくり発酵させて仕込む手法によるもの。「長年の研究によってようやくたどり着いた方法です」と、南部美人の社長の久慈さんは語っています。梅酒特有のべたつきがなく飲みやすい。それでいて、個性が光る1本です。

2. 民宿とおの「どぶきゅーる 赤ぶどう」

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こちらも岩手県のお酒で、自家製のどぶろくがベースになった赤ぶどうリキュールです。

色は鮮やかな紫。ねっとりとした香りがして、粗めの炭酸が口の中で弾けるときの風味はまるでラムネです。アルコール度数があまり高くないため、炭酸の効いた甘酸っぱいジュースのようですが、後味には葡萄の皮の渋みが尾を引き、少しワインを思わせます。

民宿とおのは、お米、米麹、水のみでどぶろくを醸しています。醸造米は、「遠野1号」という戦後に途絶えて以来ほとんど作られていない品種を自家栽培するというこだわりぶりです。どぶろく単体でも飲んでみたいです。

どちらのお酒も、造り手のこだわりが感じられ、日本酒リキュールの奥深さを知るのにおすすめです。たまには気分を変えて、日本酒の新たな味わいに触れてはいかがでしょうか。

(文/永木三月)

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