近年、複数の酒蔵がユニットを結成するケースが増えています。共同でお酒の宣伝をするだけでなく、ひとつのお酒を作業分担して一緒に造ったり、テーマを決めて酒造りを競い合うなど、その活動内容は多彩です。
そんな酒蔵ユニットのなかでも、15年前に結成した先駆け的なグループを紹介します。
11PM=11人のプロダクトマネージャーたち
グループの名前は「11PM(イレブン・ピーエム)」。昭和を代表する深夜番組として一世を風靡した「11PM」とは関係ありませんよ。
PMはプロダクトマネジャー、すなわち、どんな商品を作るのかを決める責任者という意味。11蔵の日本酒酒質設計責任者(=蔵元)たちのことを指しています。
参加メンバーは、以下11人の蔵元です。
・八戸酒造(青森県「陸奥八仙」)の駒井秀介さん
・秋田清酒(秋田県「刈穂」)の伊藤洋平さん ※
・大木代吉本店(福島県「自然郷」)の大木雄太さん ※
・島崎酒造(栃木県「東力士」)の島崎健一さん ※
・小野酒造店(長野県「夜明け前」)の小野庄平さん ※
・青木酒造(新潟県「鶴齢」)の青木貴史さん
・土井酒造場(静岡県「開運」)の土井弥市さん
・利守酒造(岡山県「酒一筋」)の利守弘充さん ※
・吉田酒造(島根県「月山」)の吉田智則さん
・今田酒造本店(広島県「富久長」)の今田美穂さん ※
・天山酒造(佐賀県「七田」)の七田謙介さん ※
※印は結成当時の初期メンバー。
今年で開催30回目を迎えた合同きき酒会!
同じ酒造り関係者として知り合った伊藤さん(秋田清酒)、大木さん(大木代吉本店)、島崎さん(島崎酒造)、小野さん(小野酒造店)、利守さん(利守酒造)、今田さん(今田酒造本店)、七田さん(天山酒造)の7人が、2001年秋、当時は低迷していた日本酒市場を活性化するために何か一緒にできないかと考えたのが結成のきっかけでした。
当時のグループの呼称は「有志蔵元きき酒会」。まずは共同で試飲会を開催することから活動が始まります。昼間は酒販店や飲食店を対象に、夜は蔵元が知り合いの日本酒好きに声をかけて食事付のお酒の会を催すという内容です。
このようなスタイルで半年に一度のペースで地道に試飲会を続けてきました。その後、参加する蔵元も増えて、10年ほど前から11蔵で活動しています。
試飲会の開催だけにとどまらず、年に一度は全員が集まって技術交流会を開いたり、他の酒蔵を視察するなど活動も行っています。秋田の酒蔵ユニット「NEXT5」が脚光を浴びるようになると、「我々ももう少し気の利いたグループ名にしよう」ということになり、「11PM」が正式呼称となりました。
2016年6月、第30回目の試飲会は、一般公開のイベント「11PM SAKE COLLECTION IN 六本木」として開催され、たくさんの老若男女が集まり、音楽を楽しみながら11蔵のお酒を堪能していました。本記事の写真はそのときの様子です。
今後は他の酒蔵ユニットのように共同での酒造りも検討するそうで、「11PM」の今後の活動が楽しみですね。
(文/空太郎)
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