こんにちは、SAKETIEMS編集部です。
みなさん、いよいよです、いよいよ今週末11/7,8はAOYAMA SAKE FLEAです!
前回、SAKE FLEAの概要についてはご説明いたしましたので、今回は主催・運営を行うメディアサーフの田中さんと、
参加する酒蔵で、今大変注目をあつめる平和酒造の山本さんにインタビューを行いました!

他では見ることのできない、イベントの意義、そこにかける想いをご覧ください。

「蔵元さんの顔ぶれが魅力のイベントです!」-メディアサーフ田中さん

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「現在メディアサーフは、青山の国連大学前でFarmers Marketを運営しています。「Life with Farm 野良を目指して」をコンセプトに、食の多様性や発酵文化を伝えていけるような活動をおこなってきました。僕自身、もともと日本酒は詳しくありませんでしたが、日本の伝統的な産業という点から日本酒への興味はあったんです。そんな折、知人が多くの人に日本酒の良さを知ってもらえるような日本酒のマーケットをやりたいといっていて、とてもおもしろい話だったので"一緒にやろう!"と。そして、その友人から山本さんを紹介してもらいました。話してみたら、山本さんの話がとてもおもしろくて。一気に惹きつけられました。
山本さんがお声がけしてくださって、集まってくれた蔵元さんの顔ぶれが何といっても魅力なイベントです。

僕は、農家さん、作り手があってこそのファーマーズマーケットだと思っています。
作り手の方の思いも、ものが作られる過程そのものも伝える場でありたいし、それを運営側の僕らも学んでいきたい。まず、自分たちが知りたいという気持ちから企画を立てています。ベースにあるのは、自分が知りたいし、まず楽しみたいという思いですね。

感度の高い人はいま、みんな日本を求めているのかなと感じています。日本の文化、慣習、といったプリミティブなものを知りたいと思っている。それは日本酒人気の勢いや、地域の食文化への若い方たちの関心度の高さからも感じます。この関心度の高まりには、ここ数年来で国外に出る機会が増えた日本人が、実際に日本の文化を海外の方から褒められるといったポジティブな体験から、海外で自国のことを知らなすぎて説明できないといったネガティブな体験まで、自国の文化を再度振り返るきっかけを得たことが大きく関わってきているのではないかと僕は感じています。

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農家さんを中心としたファーマーズマーケットが6周年、職人さんにフォーカスしたフードフリーが1周年を迎えます。食の蚤の市という意味合いではじめました。こちらは、作り手の方や職人の方が集まるコミュニティにしたい。という部分からスタートした場です。作り手の方々に集まってもらって、暮らしたり、働けるようになる、そういった場作りをしていきたいですね。

僕らの基本方針は「野良」。野に良いこと。自然を前にすると、コントロールが効かなくて、思い通りにいかないことが数多く出てきますよね。でもそんな、思い通りにいかないこともすべて受け入れて、どう対処するか、生きるかを考える。”すべての基本は野良にある”と僕らは考えています。

日本酒を造りももちろん、原料になる米づくりや水、菌や酵母にいたるまで、自然と対峙することですよね。作り手の思い通りにはいかないんです。そういったなかで造られたものであるということをまるごと知ってもらえるようなそんなイベントになればいいと思います。そしてまた、それを知ることで、食やお酒に対する新たな考え方を育んで欲しいですね。」

 

「日本の発酵文化がこれからの時代の潮流になる。」-平和酒造 山本さん

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「時代の潮流、最先端といいますか、そういった人の興味関心の感度の高さを表す最たるものとなっていたのが今までは欧米文化でした。
けれどこれからは、米文化や日本特有の文化である日本酒・味噌・醤油などの発酵文化がこれからの時代の潮流になっていくのではないかと感じています。

田中さんもおっしゃっていましたが、日本文化への関心回帰の動きは、僕もここ数年で活発化してきていると思います。
日本文化は、今後、かっこいいものになりますよ。そして、日本酒ももちろんクールな飲み物になると思います。

時代の流れとして、現在、イデオロギーに関係なく、フラットに”日本”を見直していきたいという流れがあると感じています。
戦後の日本は欧米文化への憧れがありました。
その後、そんな欧米文化に近づくための高度経済成長期を経て、世界で、"日本産"と銘打たれればなにもかもが飛ぶように売れた"ジャパンアズナンバーワン"の時代になりました。
けれど、その後のバブル経済の崩壊により"ジャパンアズナンバーワン"は破綻します。そして訪れた"失われた20年"という日本の流れを模索する時代に日本は突入しました。
時代の寵児となった日本がその舞台から転げ落ちたその影響は、経済だけではなく日本の在り方、そして日本の文化様式の模索にまで波及していきました。
戦後、イデオロギーの変化に日本人の自国の伝統的文化への捉え方は大きく影響を受けてきました。

さまざまな変化を経験してきた日本人はいま、やっと、自国の文化についてフラットに捉えられる時代を迎えているのです。

日本のものづくりは世界的にすごく評価されている、と感じています。
でも事実は違っている。世界的に評価されているのは、日本の先端技術産業なんです。
農作物、食品関係、伝統的なものづくりは現在、その評価の対象になりきれていない。

その評価は、国内でも変わりません。日本人は、自国の文化への賞賛はおろか、興味の度合いさえも低い。
こと日本酒が海外で売れるためには、日本人自身が日本酒をいいと思っていなければいけません。
自国の人がいいと思っているものを国外に出すべきであって、日本で売れないから国外に出す、というのではよくないんですよね。日本酒の良さを知れるような機会をもっと国内で活発化していくべきだと僕は強く思います。

そして、海外の方へどう広めるかを考えた際に、インバウンドという考え方がでてきます。
日本を訪れた外国人観光客の方に日本酒を売りこんでいくという方法ですね。
そして、日本でしか味わえない日本酒の魅力をきちんと知ってもらった上で、自国に帰って日本酒の良さをまだ日本酒を知らない方々へ伝えてもらう。

実は、海外の日本酒ラバーは不幸なんですよ。それには、3つの理由があります。

1、日本値段の3倍で輸出されている。
2、温度コントロールもできていないから劣化する状態が悪いものも出てくる。
3、選択肢が少ない。

けれど、日本国内はこの逆。日本酒ラバーにとっては、日本酒天国なんですよ。

だから、”ラッキーなんだよ!こんなに不自由なく日本酒飲めるって!”ということをもっと打ち出していいと思うんです。
日本なら、いかようにでも選択肢がありますからね。

そういった意味で、国内マーケットを無視した海外はありえないと僕は考えています。だからこそ、国内のマーケットが盛り上がるようなイベントをやりたかった。できるだけ多くの層に働きかけるような。そういった意味で、ファーマーズマーケットという場所で日本酒のイベントができることはとてもありがたかったんです。

開催場所が東京のど真ん中のオープンなところだったという点はすごく大きいですね。青山の国連大学前という場所は、とても発信力のある場所だと思っています。場所の力が十分にある。

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そして、もともとのファーマーズマーケットファンがたくさんいらっしゃる。
既存の日本酒会では同じ顔ぶれのお客さまばかりなんです。リピーターの方がとても多い。
これは大変喜ばしいことではあるのですが、もっと広く日本酒を広めていきたいですし、さまざまな層の方に味わってほしいというのが本音としてあるので、新たな層に働きかけられる可能性を持つファーマーズマーケットは、とても魅力的でした。

ファーマーズを見て感じたのは、今まで日本酒業界ができていなかったことができている、という点です。

その場で味わっていただけるというのが一番大きいですね。そして、作り手を主役にして、直接交流できるという場づくり、流れづくりは本当に重要で、AOYAMA SAKE FLEAは絶妙なバランスでイベントを開催していただいています。

田中さんとは基本的な考え方がよく似ていて、どんなイベントでも、収益だけを考えてやるのはつらいですよね。続かないですよ。自分たちがおもしろい、と思えるものを行うことが、お客さんの満足度にもつながってくると思います。その部分がよく似ている。

AOYAMA SAKE FLEAでは、イベントを運営しているスタッフの思いがきれいに融合する感覚を覚えました。2回目はさらに輪をかけてそれを感じましたね。そしてそれにお客さんがきちんと反応を返してくれている。

お客さんがこのイベントにおもしろさを感じてくれているという手応えを実際に会場の中にいて感じ取ることができました。

今後は、日本酒が視野に入らない人にとっての情報発信や、ふらっと街に行った延長線上に日本酒があるということの重要性を強く感じています。そういった場所が増えていくべきだと思う。

「こんなところに日本酒が。」という局面を増やしていきたいですね。日本酒ビギナーの方々を選択肢の多い方向に誘導してあげる。そのためには、どういう方向性でやっていきたいのかをまず明確化していく必要がありますよね。

日本酒の古参ファンではない方々にもイベントに参加していただく、そういった流れを今後も作っていきたいです。今回、イベント3回目にして、そのべース作りができそうだなと感じています。」

いよいよ開催は11/7(土),8(日)!

AOYAMA SAKE FLEAの魅力は、オープンな場所で、フラットに日本酒を楽しめることではないでしょうか。
好きなときにフラっと訪れて、蔵の方や友人と会話を弾ませながら、気軽に日本酒を楽しめる。
こうした時間を通じて、みなさんの生活に日本酒が寄り添うようになっていけばと思います。

いよいよ開催が今週末となっています!
ぜひみなさま、ふるってご参加ください!

【関連】AOYAMA SAKE FLEA フェイスブック・ページ
【関連】Farmers Market オフィシャルウェブサイト

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