日本酒を知る

日本酒を楽しむ

日本酒を考える

特集

富士虎・梅澤豪さんインタビュー

> > > 富士虎・梅澤豪さんインタビュー
このエントリーをはてなブックマークに追加

こんにちは、SAKETIMES編集部、酒匠の山口奈緒子です。

WEB、雑誌、飲食店やイベントなど、さまざまな角度から日本酒の魅力を伝えようと活動している方がいることをご存知でしょうか?
梅澤豪さんはその一人です。日本が誇るべきモノやヒトを紹介していく「富士虎」というユニットで活動しています。その活動では、日本酒の造り手の思いをWEBサイトで発信していく他、LOVE日本酒!という雑誌の監修、そして「福 × 福まつり」や「東京會津祭」など数百人単位の日本酒イベントも開催してきました。
また、富士虎の活動以外にも東京都内で日本酒を楽しめる飲食店2店舗を経営しており、日本酒の魅力を伝えるためにさまざまなアプローチをしています。

今回は、そんな梅澤さんに富士虎としての活動やご自身の活動についてうかがってきました。

 

富士虎としての活動

sake_fujitora_1富士虎webサイト

日本酒の魅力といってもそれ自体の味わいにとどまりません。1本の日本酒に付随する文化や背景など余すこと無く伝えるにはさまざまな手段があると思います。
梅澤さんのように、日本酒の魅力をさまざまな方法で伝えていくことについては、どのようなメリットがあるのでしょうか。

それは「より広く発信できること。1つの方法で伝えていたときには届かなかったところにまで、情報を届けることができる」と言います。WEBサイトでの情報発信そして、イベント・飲食店で実際にお酒を飲んでもらうこと、それぞれ伝えられることが違います。だからこそ、より深く日本酒の魅力を伝えることができるのではないか、と思います。

WEBサイトでは、日本酒の造っている土地に直接足を運び、その土地の風土を含めた日本酒の魅力を丁寧に伝えてくれています。そのような情報発信に加え、イベントや飲食店として実際にお酒を飲んでもらえる場・売る場が確保されているということは生産者にとっても嬉しいことです。また、イベントや飲食店は消費者へお酒という商品を届ける窓口になるだけではありません。消費者のお酒の感想を直に得ることのできる窓口としての役割を担っています。それを生産者に伝えることで、生産者側も消費者との溝を埋めることができるというメリットもあります。

活動をしている中で大切にしていることは「黒子として生産者の意図を伝えていく」ということだそう。自分たちは裏方という立場で、生産者の思いを全面に伝えて行くこと大切だ、と考えているようです。確かに、富士虎が手がける雑誌を読んだりやイベントに参加して感じることは、富士虎というフィルターを通してその魅力に触れているはずなのに、直に魅力に触れている感じがするのも富士虎や梅澤さんの成せる技なのでしょう。

 

福島が富士虎としての原点

sake_fujitora_3曙酒造、取材記事:ピンチをチャンスに変える会津坂下の酒蔵

富士虎の主催するイベントは、福島と関連が深いように感じます。過去に、福島県と福岡県の地酒イベントや「福 × 福まつり」や、会津のお酒や食文化をテーマにした「東京会會津祭2014」を開催しています。福島は、日本酒好きであれば知らない人はいないほど、日本酒の銘醸地として有名な場所です。日本酒の「全国新酒鑑評会」という一番大きなコンテストでは、2013年・2014年と2年連続で全国最多の金賞蔵数を誇る県です。
富士虎が福島に注目する本当の理由とは、どのようなものなのでしょうか?

それは富士虎として活動していく原点が福島にあるからだそうです。
さかのぼること約4年、2011年7月。富士虎主催で行った「日本酒総選挙」というイベントで、福島県会津坂下町にある曙酒造「天明 さらさら純米」が優勝したことに端を発しています。
2011年と言えば東日本を襲った、東日本大震災のあった年です。震災では、福島も甚大な被害を受けたことはみなさんもご存知かと思います。福島全土が混沌としている中、日本酒総選挙で1位になった曙酒造の取材を、富士虎から申し込んだところ、快諾。(参考:ピンチをチャンスに変える会津坂下の酒蔵
それ以来、定期的に酒蔵訪問をするなど親交を深めています。曙酒造との繋がりから、当時まだ全員20代であった福島県の5蔵(※)との繋がり、そして他県の酒蔵との繋がりへ広く連鎖しているようです。

※福島5蔵
天明醸造元、曙酒造
山の井醸造元、会津酒造
廣戸川醸造元、松崎酒造店
一歩己醸造元、豊国酒造
大和川醸造元、大和川酒造店

福島という地を富士虎としての活動の原点とし、今までの活動やイベントの開催にまで繋げられるのは、「縁」を大切にする富士虎の魅力であり、梅澤さんの魅力であるように感じました。

 

隠れ家DJバー「32016」からひも解く、これからの日本酒

sake_fujitora_6

「32016」とは、渋谷の新南口から歩いて2~3分のところにある、隠れ家的なDJバー。看板もなく、実は名前もないそうなのですが、住所から由来し「32016」(梅澤さんの名前から「梅ちゃんBAR」とも。)と呼ばれています。ここでは日本酒の試飲会を開催しているほか、ミュージシャンやDJを招き音楽を楽しみながら日本酒を楽しめる場所として、賑わっています。

もともと梅澤さんは音楽が好きだったそう。そして、海外のバーを回っているときに海外の人と話すきっかけになるのが、音楽に加えて「お酒」の話題だったそうなのです。
海外の方は、自国のお酒自慢をし、バーに行くとその国のお酒を飲ませてくれる−−一方で日本のバーときたら置いてあるのは「洋酒」。日本で造られたお酒=和酒を置いてあるバーが無いことにカルチャーショックを受けたそう。

そのような経験から、日本人であるならば日本のお酒を知らなくっちゃ、でも日本のバーには日本酒などが置いてあるお店はないから自分で作ってしまおう、と32016を作ったのです。ちなみに、日本酒の他にも焼酎などもあり梅澤さんの和酒へのこだわりはとどまるところを知りません。

お店には海外のお客様も多いようで、私もお店には何度かうかがったことがありますが、外国人のお客様はちらほらと見かけました。

2020年の東京オリンピックもあり、これから世界中で日本に注目が集まる中で、海外の人に日本酒を伝えていくことにも注力したいと梅澤さんは考えており、日本酒を英語で伝える英会話教室も企画しているようです。

 

また、今の日本酒業界に対しては、「良いものはいっぱあるし、若手もたくさん出てきている」といい、その上で「今の日本酒ブームの継続が大事。継続し文化として根付かせるためにも伝え手の育成をしていきたい」と語ってくれました。

 

32016

場所:東京都 渋谷区渋谷3-20-16ニュー栄ビル3F
TEL:03-5579-9039

 

Umebachee

場所:東京都 世田谷区三軒茶屋2-14-12三元ビル5F
TEL:03-6413-8895
※こちらの店舗で、2月8日(日曜日)、15:00〜17:00に日本酒英会話教室第1弾があります。4000円で4〜5種の日本酒飲み放題だそうです。

 

日本酒の魅力を伝えて行くにはさまざまな手段や方法があります。しかし、梅澤さんのようにWEBや雑誌からリアルのイベント・飲食店まで手がける方はなかなかいらっしゃらないではないでしょうか?
1つの方法だけでは伝えきれない日本酒の魅力を、余すことなく伝えるには、多方面からのアプローチが非常に重要です。
ひいては、多様性のある日本酒の活動を通し、日本酒の伝え手を増やして行けることが業界全体にとっても大変意義深いことですね。

 

日本酒の魅力を、すべての人へ - SAKETIMES

このエントリーをはてなブックマークに追加

ライター募集中!

SAKETIMES

SAKETIMESは、国内最大の日本酒専門ウェブメディアです。専門用語の解説や商品レビュー、酒蔵案内、イベント情報など、さまざまな日本酒情報を日々お届けしています。